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叉
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また
ふりがな文庫
“
叉
(
また
)” の例文
が、少したつとその風は、またこの三つ
叉
(
また
)
になった路の上へ、前のようにやさしく囁きながら、高い空から
下
(
おろ
)
して来ました。
犬と笛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼女と弟とは固くなって
眸
(
ひとみ
)
を見張った。兄は
俯伏
(
うつぶ
)
せに横わったまま片方の眼を押えてしくしく泣いていた。その指の
叉
(
また
)
から濃い血が
滲
(
にじ
)
みでてくる。
青草
(新字新仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
須走の村の片端に、くぬぎか何かの大木が路を
蔽
(
おお
)
うていて、その高い
梢
(
こずえ
)
の
三
(
み
)
つ
叉
(
また
)
に、サンショウクイが巣を掛けていた。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
ウツボグサの紫花の四本の雄蕊は尖端が
二
(
ふ
)
た
叉
(
また
)
になっていて、その一方の叉には
葯
(
やく
)
があるのに他の一方はそれがなくて
尖
(
とが
)
ったままで反り曲っている。
高原
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
と
四辺
(
あたり
)
を見ますと、一羽の
鸚鵡
(
おうむ
)
がつくねんと樹の
叉
(
また
)
に
蹲
(
うずく
)
まって居りまする。文治は心中に、「さては鸚鵡でありしか」と我ながら
可笑
(
おか
)
しさに耐えず
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
柿本の組で作業していた上川が、猫のようにアカシヤの
叉
(
また
)
にかけられた
他人
(
ひと
)
の軍衣をひっくりかえして歩き出した。巡邏隊の一人として呼ばれた男だ。
武装せる市街
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
さて彼等の相應ぜること下の如し、蛇はその尾を割きて
叉
(
また
)
とし、傷を負へる者は足を寄せたり 一〇三—一〇五
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
と浮藻の顔の、真ん中どころを狙い澄まし、風を切って力まかせに打とうとしたとたんに猩々卯ノ丸が、
楓
(
かえで
)
の
叉
(
また
)
から二人の間へ、白布のように舞い下りて来た。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
調べ所の壁に掛かる
突棒
(
つくぼう
)
、さす
叉
(
また
)
なぞのいかめしく目につくところで、階段の下に手をついて、かねて用意して来た手形を役人たちの前にささげるだけで済んだ。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
それもみんな生きていて、身をよじったり、のたくったり、くるくる巻きになったり、それから、
尖
(
さき
)
の方が
叉
(
また
)
になって毒を
有
(
も
)
った舌をぺろぺろと出したりしました。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
四五本の小枝の
叉
(
また
)
に、柳や白楊の綿毛や、通りがかりの羊から抜き取つた羊毛やあざみの種の毛帽子で、此の鳥は其の雛に、どんな卵も今までに住んだ事もないやうな
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
梯子
(
はしご
)
をかけ、梯子の上から、門外の人馬へ何かどなった。おびただしい
松明
(
たいまつ
)
のいぶりである。十文字鎗、五ツ
叉
(
また
)
の
戈
(
ほこ
)
、
袖搦
(
そでがら
)
みなどの捕物道具、見るからにものものしい。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かう言つて、伊豆は
掌
(
て
)
を拡げて畳の上の小粒金を拾ひ集めた。小粒金は
悪戯
(
いたづら
)
つ
子
(
こ
)
のやうに指の
叉
(
また
)
を擦りぬけて転げ廻つてゐたが、それでも
終
(
しま
)
ひには素直に元の徳利に納まつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
叉
(
また
)
を組んだりゴロの上を転がしたり、彼らの
咽喉
(
のど
)
は重さに耐えてうなるのであった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
賀茂の競馬を見に行ったら、
樗
(
おうち
)
の木に坊主が上って、木の
叉
(
また
)
のところで見物していた。木につかまりながら眠りこけて、落ちそうになるかと思うと、ハッと目をさましてまた眠り出す。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
耳をどう振っても
蝉気
(
せみけ
)
がないので、出直すのも面倒だからしばらく休息しようと、
叉
(
また
)
の上に陣取って第二の機会を待ち合せていたら、いつの
間
(
ま
)
にか眠くなって、つい
黒甜郷裡
(
こくてんきょうり
)
に遊んだ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
南は標高二八四一米のレンゲ岳(
三
(
み
)
ツ
叉
(
また
)
)に始まり、うねうねと屈曲していはするものの、大体において真北を指し、
野口五郎
(
のぐちごろう
)
、
烏帽子
(
えぼし
)
、
蓮華
(
れんげ
)
、
針
(
はり
)
ノ
木
(
き
)
、
爺
(
じい
)
、
鹿島槍
(
かしまやり
)
、
五龍
(
ごりゅう
)
、
唐松
(
からまつ
)
等を経て北
可愛い山
(新字新仮名)
/
石川欣一
(著)
「そうわかったら、直ぐ様この倍の助勢を呼ぶか——いや、八丁堀までは間に合うまい、せめてさし
叉
(
また
)
、袖がらみ、目つぶしから
梯子
(
はしご
)
まで用意するか——いやそれも急場のことでは六つかしいな」
銭形平次捕物控:243 猿回し
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
また宇野の部落の、道が三つ
叉
(
また
)
になっている
辻
(
つじ
)
の掛け茶屋で、茶店の老人と話したり、古朽ちた低い家並や、小石混りの乾いた白い道を眺めたり、山を越えてゆく人や馬をぼんやり見送ったりした。
はたし状
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
庭の桜の
叉
(
また
)
になった枝の上に、鶸の巣があった。見るからに
綺麗
(
きれい
)
な、まん丸によく出来た巣で、外側は一面に毛で固め、内側はまんべんなく
生毛
(
うぶげ
)
で包んである。その中で、
雛
(
ひな
)
が四羽、卵から
孵
(
かえ
)
った。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
木の
叉
(
また
)
でつくった鉤を両側に出した鞍の一種も、見受けられる(図348)。これは薪や長い材木を運搬するのに使用される。あらゆる物を馬背で運搬する。私は人力車以外の車を見たことがない。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
これこのように枝の先が三ツ
叉
(
また
)
に分れているでしょう。これを
牧野富太郎自叙伝:02 第二部 混混録
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
六ツ
叉
(
また
)
の熊手
無法な火葬
(旧字旧仮名)
/
小泉八雲
(著)
鹿の角なら二本にきまっているようなものだが、これは角の
叉
(
また
)
がいくつに
岐
(
わか
)
れているかということらしい。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
三つ
叉
(
また
)
の路の空まで、犬を進めて来ましたが、見るとそこにはさっきの二人の侍が、どこからかの帰りと見えて、また馬を並べながら、都の方へ急いでいます。
犬と笛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
尤も、時々、身をよじって、頭をもたげ、ねむいような、しゅっしゅっという音を立てて、
叉
(
また
)
になった舌を出すのもいましたが、それもすぐ仲間の蛇の間にもぐってしまいました。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
蠍
(
さそり
)
の如く
尖
(
さき
)
を固めし
有毒
(
うどく
)
の
叉
(
また
)
を卷き上げて尾はこと/″\く虚空に震へり 二五—二七
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
楓の木の
叉
(
また
)
に
蹲居
(
そんきょ
)
して、桂子の様子を見守り出すと、猿猴の群れも啼き声をとどめ、木々の枝葉の間から、
蛍火
(
ほたるび
)
のような眼の光を、無数に点々と闇にともし、彼らの王を見守り出した。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そのうちに
筋違御門
(
すじかいごもん
)
の前まで来た。そこは
三
(
み
)
ツ
叉
(
また
)
の
交叉路
(
こうさろ
)
でまた人通りが混んでいる。編笠の侍は、目の前を突ッ切る四ツ手駕をやり過ごして、ついと、燕のように、向う側へ駈け出した。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「下りろ。下りろ。あの三つ
叉
(
また
)
になっている路の上へ下りて行け。」と、こう黒犬に云いつけました。
犬と笛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そこへ三つの団子を樹の枝の三つ
叉
(
また
)
にさして、
参詣
(
さんけい
)
かたがた村の人が焼きに来るのである。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
とうとうその
叉
(
また
)
になった角をつかまえて、
生捕
(
いけどり
)
にして家につれて帰った話をしました。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
とたんに楓の
叉
(
また
)
からも、猩々卯ノ丸の悲鳴する声が、
腸
(
はらわた
)
断つように聞こえて来た。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
村の
三
(
み
)
ツ
叉
(
また
)
道
(
みち
)
を、妙な野郎が、二つの
空桶
(
からおけ
)
を
担
(
かつ
)
いで素っ飛んできやがった
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
叉
漢検準1級
部首:⼜
3画
“叉”を含む語句
肉叉
交叉
三叉
叉手
叉枝
交叉點
夜叉
金色夜叉
如夜叉
夜叉王
内心如夜叉
三叉路
瀧夜叉姫
女夜叉
飛天夜叉
外面如菩薩内心如夜叉
夜叉神
夜叉相
南方毘留勒叉増長天
三叉箭
...