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半白
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はんぱく
ふりがな文庫
“
半白
(
はんぱく
)” の例文
黒と銀の派手なドレッシング・ガウンをまとった
半白
(
はんぱく
)
の一人物が、タオルで頬を撫でながらぽつんと直立しているのに気がついた。
踊る地平線:03 黄と白の群像
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
髪はまだ
半白
(
はんぱく
)
だが、顔には
八重
(
やえ
)
の皺の波がより、意地の悪そうな陰気な眼つきをし、薄い唇のはしにいつも皮肉な微笑をうかべている。
キャラコさん:01 社交室
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
頭も鬚も
半白
(
はんぱく
)
で、それがどちらももじゃもじゃと、まるで
叢
(
くさむら
)
の様に乱れ、その真中に巨大な
鼈甲縁
(
べっこうぶち
)
の眼鏡がキラキラと光っている。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
続いて覆面を
除
(
と
)
ったのは、この薬園の預り主、峠宗寿軒です。
半白
(
はんぱく
)
の中老人で、立居振舞に何となく物々しいところがあります。
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そばには
半白
(
はんぱく
)
の、品のいい、
桑名訛
(
くわななまり
)
のある美穂子の母親が眼鏡をかけて、高くとおった声で若い人々のためにあきずに
歌留多牌
(
うたがるた
)
を読んでくれた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
▼ もっと見る
兼太郎
(
かねたろう
)
は点滴の音に目をさました。そして油じみた
坊主枕
(
ぼうずまくら
)
から
半白
(
はんぱく
)
の頭を
擡
(
もた
)
げて不思議そうにちょっと耳を
澄
(
すま
)
した。
雪解
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そこで私は立って窓枠にのせてあった草花の鉢をもって片隅に始めから黙って坐っていた
半白
(
はんぱく
)
の
老寡婦
(
ろうかふ
)
の前に進み
追憶の冬夜
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
俺は誰が見ても六十に近い
半白
(
はんぱく
)
だ。愛子は精精で三十位にしか見えまい。俺は気はづかしくたまらなかつた。
畜生道
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
年の頃は六十前後、
半白
(
はんぱく
)
の
頭髪
(
かみのけ
)
、赭ら顔、腰を曲げて杖を突いているが、ほんとは腰など曲がっていないらしい。鋭い眼、険しい鼻、兇悪な人相の持主である。
南蛮秘話森右近丸
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
過去を
顧
(
かえり
)
みる人は
半白
(
はんぱく
)
の老人である。少壮の人に顧みるべき過去はないはずである。前途に
大
(
だい
)
なる希望を抱くものは過去を顧みて
恋々
(
れんれん
)
たる必要がないのである。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
縁
(
ふち
)
の広い昔風の黒い中折れの下から、
半白
(
はんぱく
)
の毛がはみ出している所を見ると、もうかなりな年配らしい。
父
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
頭に
半白
(
はんぱく
)
の
霜
(
しも
)
を
戴
(
いただ
)
いた帯刀は、胴丸の火鉢の
縁
(
ふち
)
を撫でまわしながら、招かんばかりに虎松に声をかけた。——虎松はじっと一礼して、二、三尺近よっては
平伏
(
へいふく
)
をした。
くろがね天狗
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
翁
(
おう
)
は、
半白
(
はんぱく
)
の髪の延びた頭を抱えて、教壇のテーブルに向って、
+
(
プラス
)
、
−
(
マイナス
)
、
×
(
マルチプライ
)
の講義をやる。
点
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
これも
半白
(
はんぱく
)
の頭で
襤褸
(
ぼろ
)
の著物の下に襤褸の
裙
(
はかま
)
をつけ、壊れかかった
朱塗
(
しゅぬり
)
の丸籠を提げて、外へ銀紙のお宝を吊し、とぼとぼと力なく歩いて来たが、ふと華大媽が坐っているのを見て
薬
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
つい
傍
(
そば
)
に、
蓮池
(
はすいけ
)
に向いて、(じんべ)と言ふ
膝
(
ひざ
)
ぎりの
帷子
(
かたびら
)
で、
眼鏡
(
めがね
)
の下に内職らしい
網
(
あみ
)
をすいて居る
半白
(
はんぱく
)
の父を呼ぶと、急いで眼鏡を
外
(
はず
)
して、コツンと
水牛
(
すいぎゅう
)
の
柄
(
え
)
を
畳
(
たた
)
んで、台に乗せて
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
後
(
おく
)
れて来りし
半白
(
はんぱく
)
の老人大原家とは同格の家柄と見えて
横柄
(
おうへい
)
にツト庭先へ入り来り
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
半白
(
はんぱく
)
の頭を、テレ隠しに
掻
(
か
)
いていた。
入れ札
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
見れば上段の
簾
(
みす
)
の前に
頭
(
かしら
)
は
半白
(
はんぱく
)
にして
威
(
ゐ
)
有て
猛
(
たけ
)
からぬ一人の
侍
(
さふら
)
ひ
堂々
(
だう/\
)
として控へたり是ぞ山内
伊賀亮
(
いがのすけ
)
なり次は未
壯年
(
さうねん
)
にして
骨柄
(
こつがら
)
賤
(
いや
)
しからぬ
形相
(
ぎやうさう
)
の侍ひ二人是ぞ赤川
大膳
(
だいぜん
)
と藤井
左京
(
さきやう
)
にて何れも大家の家老職と云とも
恥
(
はづ
)
かしからざる
人品
(
じんぴん
)
にて
威儀
(
ゐぎ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
西班牙
(
スペイン
)
国民の大闘牛士に対する崇拝ぶりはこれでもわかる。英雄ベルモントは探険家のような風俗の、もう
半白
(
はんぱく
)
に近い
軍人的
(
ミリタリイ
)
な好紳士だ。
踊る地平線:07 血と砂の接吻
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
ネズミ色のあたたかそうなオーバー・コート、
籐
(
とう
)
のステッキ、
半白
(
はんぱく
)
の頭髪、半白の口ひげ、デップリ太った顔に、べっこうぶちのめがねが光っています。
怪人二十面相
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
テッド隊長は、ほんとになんべんも目をこすって、まえに立つ
半白
(
はんぱく
)
の老探検家を見なおした。
怪星ガン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
僕はこの門の前に立ち、長い
半白
(
はんぱく
)
の
髭
(
ひげ
)
を
垂
(
た
)
らした、好人物らしい
看守
(
かんしゅ
)
に名刺を渡した。それから余り門と離れていない、
庇
(
ひさし
)
に厚い
苔
(
こけ
)
の乾いた面会人控室へつれて行って貰った。
冬
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
お富はいつでも、
半白
(
はんぱく
)
の
鬢
(
びん
)
から、後光が射すような心持で、父親彦兵衛を見て来たのです。
銭形平次捕物控:075 巾着切りの娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ダメならダメで、ひとの知らない応用の道があるのだろうなどと考えていると、さっき出て行った刑事が、人好きのしないどこかのおばさんと、上品めかした
半白
(
はんぱく
)
の紳士を連れて帰ってきた。
我が家の楽園
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
車掌の声に電車ががたりと動くや否や、席を取りそこねて立っていた
半白
(
はんぱく
)
の
婆
(
ばばあ
)
に、その娘らしい十八、九の
銀杏返
(
いちょうがえ
)
し
前垂掛
(
まえだれが
)
けの女が、二人一度に
揃
(
そろ
)
って倒れかけそうにして危くも
釣革
(
つりかわ
)
に取りすがった。
深川の唄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
半白
(
はんぱく
)
のフサフサしたかみの毛、太いふちのロイドめがね、三角がたのあごひげ、その、ひとくせありげな博士の顔が、うすきみ悪く、ニヤリと、笑ったのです。
怪奇四十面相
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
さうしてその机の
後
(
うしろ
)
、二枚重ねた座蒲団の上には、
何処
(
どこ
)
か
獅子
(
しし
)
を想はせる、脊の低い
半白
(
はんぱく
)
の老人が、或は手紙の筆を走らせたり、或は
唐本
(
たうほん
)
の詩集を
飜
(
ひるがえ
)
したりしながら、
端然
(
たんぜん
)
と独り坐つてゐる。……
漱石山房の秋
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
半白
(
はんぱく
)
の長い髪をふさふさとしたオールバックにして、半白のピンとはねた口ひげと、半白の三角に刈ったあごひげをたくわえ、黒いふちの大きなロイドめがねをかけて、その中から
妖怪博士
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
さうしてその机の
後
(
うしろ
)
、二枚重ねた座蒲団の上には、
何処
(
どこ
)
か
獅子
(
しし
)
を想はせる、
背
(
せい
)
の低い
半白
(
はんぱく
)
の老人が、或は手紙の筆を走らせたり、或は
唐本
(
たうほん
)
の詩集を
飜
(
ひるがへ
)
したりしながら、
端然
(
たんぜん
)
と独り坐つてゐる。……
東京小品
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
半白
(
はんぱく
)
の坊主頭に、あから顔にひげのない、大商人らしい
恰幅
(
かっぷく
)
の人物だが、彼はまるで、お嬢さんの見張り番ででもあるように、彼女の一挙一動を見守りながら、そのあとをつけ廻していた。
黒蜥蜴
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼は額の広い、
頬
(
ほお
)
のこけた、年にも似合わず眼に働きのある、品の
好
(
い
)
い
半白
(
はんぱく
)
の人物だった。それが紋附でこそなかったが、見苦しからぬ羽織袴で、しかも膝のあたりにはちゃんと扇面を控えていた。
疑惑
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
半白
(
はんぱく
)
の長い頭髪をオールバックにして、ピンとはねた軍人のような口ひげと、三角に刈ったいかめしいあごひげをたくわえ、黒いふちの大きなロイドめがねをかけ、西洋の
衣
(
ころも
)
とでもいった感じの
妖怪博士
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
“半白”の意味
《名詞》
毛髪が白髪混じりであること。また、そのように歳を取った人。
(出典:Wiktionary)
半
常用漢字
小2
部首:⼗
5画
白
常用漢字
小1
部首:⽩
5画
“半白”で始まる語句
半白頭
半白半分