“釣革”の読み方と例文
読み方割合
つりかわ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
身動きのならないほど客の込み合う中で、彼は釣革(つりかわ)にぶら下りながらただ自分の事ばかり考えた。去年の疼痛(とうつう)がありありと記憶の舞台(ぶたい)に上(のぼ)った。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
街路では洋装の裾(すそ)から二本の足が遠慮なく出ている、電車の釣革(つりかわ)から女の腕がぶら下る、足の美しさがグラビヤ版となって世界に拡(ひろ)がる、そして娘の足は、太く長く美しさを増して来た
楢重雑筆 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
車掌の声に電車ががたりと動くや否や、席を取りそこねて立っていた半白(はんぱく)の婆(ばばあ)に、その娘らしい十八、九の銀杏返(いちょうがえ)し前垂掛(まえだれが)けの女が、二人一度に揃(そろ)って倒れかけそうにして危くも釣革(つりかわ)に取りすがった。
深川の唄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)