トップ
>
釣革
>
つりかわ
ふりがな文庫
“
釣革
(
つりかわ
)” の例文
身動きのならないほど客の込み合う中で、彼は
釣革
(
つりかわ
)
にぶら下りながらただ自分の事ばかり考えた。去年の
疼痛
(
とうつう
)
がありありと記憶の
舞台
(
ぶたい
)
に
上
(
のぼ
)
った。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
街路では洋装の
裾
(
すそ
)
から二本の足が遠慮なく出ている、電車の
釣革
(
つりかわ
)
から女の腕がぶら下る、足の美しさがグラビヤ版となって世界に
拡
(
ひろ
)
がる、そして娘の足は、太く長く美しさを増して来た
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
車掌の声に電車ががたりと動くや否や、席を取りそこねて立っていた
半白
(
はんぱく
)
の
婆
(
ばばあ
)
に、その娘らしい十八、九の
銀杏返
(
いちょうがえ
)
し
前垂掛
(
まえだれが
)
けの女が、二人一度に
揃
(
そろ
)
って倒れかけそうにして危くも
釣革
(
つりかわ
)
に取りすがった。
深川の唄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
葉子が
釣革
(
つりかわ
)
に垂れ下がりながら先生々々と口癖のように言って何かと話しかけるのに
辟易
(
へきえき
)
したことだの、映画を見ているあいだ、そっと
外套
(
がいとう
)
の
袖
(
そで
)
の下をくぐって来る彼女の手に触れたときの
狼狽
(
ろうばい
)
だの
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
彼はフロックの上へ、とんびのような
外套
(
がいとう
)
をぶわぶわに着ていた。そうして電車の中で
釣革
(
つりかわ
)
にぶら下りながら、
隠袋
(
かくし
)
から
手帛
(
ハンケチ
)
に包んだものを出して私に見せた。私は「なんだ」と
訊
(
き
)
いた。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
釣
常用漢字
中学
部首:⾦
11画
革
常用漢字
小6
部首:⾰
9画
“釣”で始まる語句
釣
釣瓶
釣竿
釣合
釣魚
釣鐘
釣殿
釣棹
釣銭
釣針