トップ
>
僅少
>
きんしょう
ふりがな文庫
“
僅少
(
きんしょう
)” の例文
酒は飲めず、
遊蕩
(
ゆうとう
)
の志は備わっているが体力微弱である私は、先ず幸福に対する費用といえば、すこぶる
僅少
(
きんしょう
)
で足りる訳である。
油絵新技法
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
しかし、ここには音楽の白亜紀、カンブリア紀を避けて、一般人の鑑賞に
堪
(
た
)
える
僅少
(
きんしょう
)
の作品と、そのレコードを
挙
(
あ
)
ぐるに止めようと思う。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
……大国民の芸術的至宝をこしらえている
凡庸
(
ぼんよう
)
と虚偽との量に、彼は驚かされた。審査に堪え得るページは、いかに
僅少
(
きんしょう
)
なことだったろう!
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
しかし、この宮古ものというのは、きわめて
僅少
(
きんしょう
)
であるから魚河岸にもあったりなかったりで、いつでもあるとはいかない。
鮪を食う話
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
だが後者は最初からそれ以外には決してない
僅少
(
きんしょう
)
な美術品ではないか。前者の自由に比べて、後者がいかに不自由であるか。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
▼ もっと見る
あたかも日本画が
僅少
(
きんしょう
)
の線を
以
(
もっ
)
て描きて自然物を
躍如
(
やくじょ
)
たらしむるが如く、数語を以て各動物を読者の前に
躍
(
おど
)
らせるのである。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
僅少
(
きんしょう
)
のフウイトンをも含めて、一八八二年には三十二篇だったものが翌年には百二十篇、その翌々年には百二十九篇にのぼり、ついに二度目の
チェーホフの短篇に就いて
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
塵
(
ちり
)
の都に住んで雑事に忙殺されているような人が
僅少
(
きんしょう
)
な時間をさいて心を
無垢
(
むく
)
な自然の境地に遊ばせる事もできようし
蓄音機
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
貧なればよく質素に
甘
(
あまん
)
ずといへども
僅少
(
きんしょう
)
の利を得れば
直
(
ただち
)
に浪費する
癖
(
へき
)
ある事なり。常に中庸を
尚
(
とうと
)
び極端に
馳
(
は
)
する事を恐るる道徳観を
持
(
じ
)
する事なり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
何しろ人間一生のうちで数えるほどしかない
僅少
(
きんしょう
)
の場合に道義の情火がパッと燃焼した
刹那
(
せつな
)
を
捉
(
とら
)
えて、その熱烈純厚の
気象
(
きしょう
)
を前後に長く引き延ばして
文芸と道徳
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と
呟
(
つぶ
)
やいた。彼の周囲のものも、
僅少
(
きんしょう
)
な
家禄
(
かろく
)
放還金をみんな老爺さんの硫黄熱のために失われてしまっているのだということを、あたしたちも段々に
悟
(
さと
)
った。
旧聞日本橋:08 木魚の顔
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
公子 (
爽
(
さわやか
)
に)獄屋ではない、大自由、大自在な領分だ。歎くもの悲しむものは無論の事、
僅少
(
きんしょう
)
の
憂
(
うれい
)
あり、不平あるものさえ一日も
一個
(
ひとり
)
たりとも国に置かない。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
よし
富豪者
(
ふごうしゃ
)
にあらずとも、また一方、労働者にあらずとも、お互い所有する財産あるいは所得がいかに
僅少
(
きんしょう
)
であっても、その用法については大いに
思慮
(
しりょ
)
を要することで
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
そのほか公園なぞの森の中に、林間学校がいくつかひらかれていましたが、そこへかようことの出来る子たちは、全部から見ればほんの
僅少
(
きんしょう
)
な一部分にすぎませんでした。
大震火災記
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
それは主として将軍の御用であるほかに、極めて
僅少
(
きんしょう
)
の部分が、大名その他へわかたれる。
大菩薩峠:28 Oceanの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
彼は堅実で、清朗で、温和で、平和で、注意深く、まじめで、
僅少
(
きんしょう
)
に満足し、親切である。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
一遍に取る食物の量が
僅少
(
きんしょう
)
なのであるが、そのために又普通の人より早く腹を空かせる癖があって、ややともすれば脳貧血を起しそうになるので、その癖を知っている幸子は
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
この論文と
僅少
(
きんしょう
)
の時日の隔たりしか持たぬ小説『クロイツェル・ソナタ』の中で、作者が
直截
(
ちょくせつ
)
に
喝破
(
かっぱ
)
しているところによると、人間の欲望は善の目的到達を妨げる障碍であって
クロイツェル・ソナタ:02 解題
(新字新仮名)
/
米川正夫
(著)
本は恥かしくて言えないほど
僅少
(
きんしょう
)
の部数しか売れなかった。街をとおる人たちは、もとよりあかの他人にちがいなかった。彼は毎夜毎夜、まちの辻々のビラをひそかに剥いで廻った。
猿面冠者
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
而
(
しか
)
モ美醜間ニ於ケル眉目ノ寸法配列等ノ差タルヤ極メテ
僅少
(
きんしょう
)
ニ過ギナイ。美人ノ眼ガ僅カ一度傾ケバタチマチ醜人ト化シ、醜人ノ唇僅カ一
糎
(
センチ
)
短カケレバ美人ト化スト云ッタ塩梅デアル。
ヒルミ夫人の冷蔵鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
彼の知ってた日本文字は、片仮名のイロハと
僅少
(
きんしょう
)
の漢字にすぎず、彼の語る日本語は、焼津からの手紙にある通り、不思議な文法によって独創された、子供の片言のような日本語である。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
人間はただこの器械を用いて
僅少
(
きんしょう
)
の骨折りをなすにすぎざることとなるべし。
婦人の天職
(新字新仮名)
/
堺利彦
(著)
今日軍艦を
購
(
あがな
)
い大砲を購い巨額の金を外国に出すも
畢竟
(
ひっきょう
)
日本国を固むるにほかならず、されば
僅少
(
きんしょう
)
の金額にて購い得べき外国の文学思想などは続々輸入して日本文学の城壁を固めたく存候。
歌よみに与ふる書
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
こちらはさらにいっそう頒布が弘いが、ここには
僅少
(
きんしょう
)
の例を挙げておく。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
酒は飲めず、
遊蕩
(
ゆうとう
)
の志は備わっているが体力微弱である私は、先ず幸福に対する費用といえば、すこぶる
僅少
(
きんしょう
)
で足りる訳である。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
秤座役人は
苗字帯刀
(
みょうじたいとう
)
を許され、
僅少
(
きんしょう
)
ながら幕府の手当を受け、相当の見識も持っておりますが、こうなると町方の御用聞に
縋
(
すが
)
る外はありません。
銭形平次捕物控:146 秤座政談
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
これをことごとく信用するとすれば自分の企てている統計的研究の結果が、できたとしても、それは言語学的に貢献することは
僅少
(
きんしょう
)
となるであろう。
火山の名について
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
料理人は料理で
僅少
(
きんしょう
)
な金を得る生活よりも、ひたすら料理に興味を持ち続けることの方が幸福ではなかろうか。
残肴の処理
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
(それにもとより、父の財産はすっかり彼のものとなるはずだったし、その財産も
僅少
(
きんしょう
)
なものではなかった。)
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
約言すれば工藝美は
僅少
(
きんしょう
)
な個人的作品の分野を越えて、「美によって正しくせられる王国」の実現に進む。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
為
(
な
)
して著述せるものに御座
候
(
そろ
)
因
(
よ
)
って本書を
普
(
あまね
)
く一般の家庭へ製本実費に
些少
(
さしょう
)
の利潤を附して
御購求
(
ごこうきゅう
)
を願い一面
斯道
(
しどう
)
発達の一助となすと同時に又一面には
僅少
(
きんしょう
)
の利潤を
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
殊にドガの踊子軽業師、ホイスラアが港湾
溝渠
(
こうきょ
)
の風景の如き
凡
(
すべ
)
て活躍動揺の姿勢を描かんとする近世洋画の新傾向は、北斎によりてその画題を暗示せられたる事
僅少
(
きんしょう
)
ならず。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
今日軍艦を
購
(
あがな
)
ひ、大砲を購ひ、巨額の金を外国に出すも、
畢竟
(
ひっきょう
)
日本国を固むるに外ならず、されば
僅少
(
きんしょう
)
の金額にて購ひ得べき外国の文学思想
抔
(
など
)
は、続々輸入して日本文学の城壁を固めたく存候。
歌よみに与ふる書
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
ましてその人は、洋画家の収入の
僅少
(
きんしょう
)
なのを知っているのです。
平塚明子(らいてう)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
すなわち、上述の重合部が前句のほとんど全面積をおおっていて、切り捨てた残部があまりに
僅少
(
きんしょう
)
になるためである。
連句雑俎
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
金の損失は——それを彼はだれにも一言も漏らさなかったが——ごく
僅少
(
きんしょう
)
な額だった。しかしジャンナン氏がある
奸策
(
かんさく
)
家と接触するようになってからは、様子が違ってきた。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
そうしてその最後の審判の時、あの豪奢な
僅少
(
きんしょう
)
な作で救い出されたものは稀の稀であった。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
しかし、料理という仕事も
至芸
(
しげい
)
の境にまで進み得ると、まことに
僅少
(
きんしょう
)
な材料費、僅少な手間ひまでなんの苦もなく立ちどころに天下の美料理を次から次と生むことができるものである。
夜寒に火を囲んで懐しい雑炊
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
公等
(
こうら
)
の他をあつかう事、坊ばの茶碗と箸をあつかうがごとくんば、
公等
(
こうら
)
の口へ飛び込む米粒は極めて
僅少
(
きんしょう
)
のものである。必然の勢をもって飛び込むにあらず、
戸迷
(
とまどい
)
をして飛び込むのである。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
北斎
逝
(
ゆ
)
きてよりその時まで僅に半世紀を経たるに過ぎざりしが、その正確なる伝記の
漸
(
ようや
)
く不明ならんとするに当つてゴンクウルが研究考証は泰西の美術界に貢献する所
僅少
(
きんしょう
)
ならざりしといふ。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
今回の
函館
(
はこだて
)
の大火はいかにして成立し得たか、これについていくらかでも
正鵠
(
せいこく
)
に近い考察をするためには今のところ信ずべき資料があまりに
僅少
(
きんしょう
)
である。
函館の大火について
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
この肩書にたいして与えられる
僅少
(
きんしょう
)
な給料が、正確に支払われたというのではない——毎度それを請求しなければならなかった——しかし、時々、宮邸に著名な賓客がある時や、また単に
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
わたくしが枕山の女芳樹女史を訪うて親しく聞いた所によると、捨吉は叔父次郎右衛門とは
折合
(
おりあい
)
がよくなかったので、
僅少
(
きんしょう
)
の
金子
(
きんす
)
をふところにして家を出で道中辛苦して尾張に
往
(
い
)
ったという話である。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
従ってわれわれに新しく教うるところは
僅少
(
きんしょう
)
であるが、真に驚異の念を喚起して夢にも想像のできない未知の世界を展開させるものは顕微鏡的映画である。
映画の世界像
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
自分の芸術の存続を信ずることの幼稚なる幻よ! 彼は自分の作ったものがいかに
僅少
(
きんしょう
)
であるかをはっきり見てとったばかりでなく、近代音楽全体をねらってる破壊の力をもはっきり見てとった。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
もちろん座標中心の付近には科学者の多数が群集していて、中心から遠い所に
僅少
(
きんしょう
)
の星が輝いているのである。
ルクレチウスと科学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
年に二千人と言えば全国的に見て
僅少
(
きんしょう
)
かもしれないが、それでも天然痘や
猖紅熱
(
しょうこうねつ
)
で死ぬ人の数よりは多い。
函館の大火について
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
そうしたためにもしこの
僅少
(
きんしょう
)
な時間を空費したとしても、乗車してからの数十分間にからだを休息させ
電車の混雑について
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
それがその後の長い年月の間にただ
僅少
(
きんしょう
)
な物好きな学者たちの手で幾度となく繰り返され、少しずつ量的分析へのおぼつかない歩みをはこんでいただけであった。
量的と質的と統計的と
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
もちろんこれは
僅少
(
きんしょう
)
な材料についての統計であるから、一般に適用される事かどうかはわからないが
俳句の精神
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
“僅少”の意味
《名詞》
僅少(きんしょう)
極めて僅かであるさま。ほんの少し。
(出典:Wiktionary)
僅
常用漢字
中学
部首:⼈
13画
少
常用漢字
小2
部首:⼩
4画
“僅”で始まる語句
僅
僅々
僅有
僅僅
僅計
僅三時
僅有絶無