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せんだいひら
ふりがな文庫
“
仙台平
(
せんだいひら
)” の例文
友達といふものは、どんな場合にも結構なもので、床屋は仲の
善
(
よ
)
い友達から、
絽
(
ろ
)
の紋附羽織と
仙台平
(
せんだいひら
)
の
袴
(
はかま
)
を借りる事が出来た。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
肩の円みと顔が見えて、
仙台平
(
せんだいひら
)
の
袴
(
はかま
)
を
穿
(
は
)
いた男が眼の前に立った。三造はその
中古
(
ちゅうぶる
)
になった袴の
襞
(
ひだ
)
の具合に見覚えがあった。
雨夜草紙
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
立派な
仙台平
(
せんだいひら
)
の
袴
(
はかま
)
を着けてはいるが、
腰板
(
こしいた
)
の所が妙に口を
開
(
あ
)
いて、まるで
蛤
(
はまぐり
)
を割ったようである。そうして、それを
後下
(
うしろさが
)
りに
引
(
ひ
)
き
摺
(
ず
)
っている。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
仙台平
(
せんだいひら
)
の袴に
麻上下
(
あさがみしも
)
、
黒繻子前帯
(
くろじゅすまえおび
)
の
御寮人
(
ごりょうじん
)
、
絽
(
ろ
)
の振袖に錦の帯。織るような人波を押しわけながら、伝兵衛は声をひそめ
平賀源内捕物帳:山王祭の大像
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
或
(
あ
)
る年の春、
容貌
(
ようぼう
)
見にくからぬ手下五人に命じて熊の毛皮をぬがせ
頬被
(
ほおかぶ
)
りを禁じて紋服を着せ
仙台平
(
せんだいひら
)
の
袴
(
はかま
)
をはかせ、これを引連れて都にのぼり
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
▼ もっと見る
黒の紋付羽織、
仙台平
(
せんだいひら
)
の袴、真つ白の胸紐と奇麗に分けた頭の髪とがかすかに打ちふるつて居る仏壇の御燈明に、一きは目立つて鮮やかであつた。
若芽
(新字旧仮名)
/
島田清次郎
(著)
袴をつけている人は、平絹の、
仙台平
(
せんだいひら
)
のいい袴を土まみれにしていたし、黒縮緬の羽織に、
紐
(
ひも
)
をかけ、竹胴をつけている人は、水たまりに袖を汚していた。
近藤勇と科学
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
駕籠の
煽
(
あお
)
りをポカリと揚げて中から出た侍は、山岡頭巾を
真深
(
まぶか
)
に
冠
(
かぶ
)
り、どっしりした無紋の羽織を着、
仙台平
(
せんだいひら
)
の袴を
穿
(
は
)
き、四分一拵えの小長い大小を差し
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
左
(
と
)
に
右
(
か
)
く黒紋付の
対
(
つい
)
に
仙台平
(
せんだいひら
)
という
拵
(
こしら
)
えだったから、
岡目
(
おかめ
)
には借金に
苦
(
くるし
)
められてるとは少しも見えなかった。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
武男が
仙台平
(
せんだいひら
)
の
袴
(
はかま
)
はきて儀式の座につく時、
小倉袴
(
こくらばかま
)
の
萎
(
な
)
えたるを着て下座にすくまされし千々岩は、身は武男のごとく親、財産、地位などのあり余る者ならずして
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
とうとう火鉢の
周囲
(
まわり
)
へ二まわり半ほど並べたところへ、やっとの事、御大将の菊地市長が出て来た。黒
羽二重
(
はぶたえ
)
五つ紋に
仙台平
(
せんだいひら
)
か何かの風采堂々と、二人を眼下に見下して
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
湯川氏の家では不用になった
袴
(
はかま
)
が商品に化けた。
仙台平
(
せんだいひら
)
や
博多
(
はかた
)
の財袋がつくられて売られた。
旧聞日本橋:08 木魚の顔
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
黒餅
(
こくもち
)
に
立沢瀉
(
たちおもだか
)
の
黒紬
(
くろつむぎ
)
の羽織着たるがかく言ひて示すところあるが如き微笑を
洩
(
もら
)
せり。甘糟と呼れたるは、
茶柳条
(
ちやじま
)
の
仙台平
(
せんだいひら
)
の袴を着けたる、この中にて
独
(
ひと
)
り
頬鬚
(
ほほひげ
)
の
厳
(
いかめし
)
きを
蓄
(
たくは
)
ふる紳士なり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
上
(
かみ
)
の鳥居の際へ一人出て来たのが、これを見るとつかつかと下りた、黒縮緬三ツ紋の羽織、
仙台平
(
せんだいひら
)
の
袴
(
はかま
)
、黒
羽二重
(
はぶたえ
)
の紋附を着て宗十郎
頭巾
(
ずきん
)
を
冠
(
かぶ
)
り、金銀を
鏤
(
ちりば
)
めた大小、雪駄
穿
(
ばき
)
、白足袋で
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
仙台平
(
せんだいひら
)
の袴も始めてサ。こんなにキュウキュウ鳴ると恥かしいようだ。
初夢
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
いつも黒紋付に、歩くときゅうきゅう音のする
仙台平
(
せんだいひら
)
の袴姿であったが、この人は人の家の玄関を案内を乞わずに黙っていきなりつかつか
這入
(
はい
)
って来るというちょっと変った習慣の持主であった。
追憶の医師達
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
呼び上げられて東の
詰
(
つめ
)
から、幔幕をかき上げて姿を現わした机竜之助は、
黒羽二重
(
くろはぶたえ
)
に
九曜
(
くよう
)
の定紋ついた小袖に、
鞣皮
(
なめしがわ
)
の襷、
仙台平
(
せんだいひら
)
の袴を
穿
(
は
)
いて、寸尺も文之丞と同じことなる木刀を携えて進み出る。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
仙台の名に
因
(
ちな
)
むものは二つあります。「
仙台平
(
せんだいひら
)
」と「
仙台箪笥
(
せんだいだんす
)
」。仙台平は専ら
袴地
(
はかまじ
)
として作られ、その質のよさを以て名が知られました。目が密で厚みがあり
織
(
おり
)
もよく、
縞
(
しま
)
もまた上々であります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
紋附
(
もんつき
)
に
仙台平
(
せんだいひら
)
の
袴
(
はかま
)
、純白の羽織の紐が目立つ。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
山田はこう云って
食卓
(
ちゃぶだい
)
越しに眼をやった。三十前後の
微髭
(
うすひげ
)
の生えた
精悍
(
せいかん
)
な眼つきをした男が坐っていた。
中古
(
ちゅうぶる
)
になった
仙台平
(
せんだいひら
)
の
袴
(
はかま
)
の
襞
(
ひだ
)
が見えていた。
雨夜続志
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
紬
(
つむぎ
)
なのである。これは、私の結婚式の時に用いただけで、家内は、ものものしく油紙に包んで
行李
(
こうり
)
の底に蔵している。家内は之を
仙台平
(
せんだいひら
)
だと思っている。
善蔵を思う
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
何方
(
どちら
)
を見ても目移りが致しますような有様、今
襖
(
ふすま
)
を開けて出て来ましたは
仙台平
(
せんだいひら
)
の
袴
(
はかま
)
に黒の紋付でございます。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
自然主義といふ言葉とヒロイツクと云ふ文字は
仙台平
(
せんだいひら
)
の袴と
唐桟
(
とうざん
)
の前掛の様に懸け離れたものである。従つて自然主義を口にする人はヒロイツクを描かない。
文芸とヒロイツク
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
紋服に
仙台平
(
せんだいひら
)
の袴。すこし
下凡
(
げぼん
)
の気あいがあるが、どうしてなかなかの器量。
顎十郎捕物帳:15 日高川
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
其の時店先へ立止りました
武士
(
さむらい
)
は、ドッシリした
羅紗
(
らしゃ
)
の
脊割羽織
(
せわりばおり
)
を
着
(
ちゃく
)
し、
仙台平
(
せんだいひら
)
の
袴
(
はかま
)
、
黒手
(
くろて
)
の
黄八丈
(
きはちじょう
)
の
小袖
(
こそで
)
を
着
(
き
)
、四分一
拵
(
ごしら
)
えの大小、寒いから黒縮緬の頭巾を
冠
(
かぶ
)
り
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
村の先生は、もうだいぶおとし寄りのようで、そうして
仙台平
(
せんだいひら
)
の
袴
(
はかま
)
を着け、白足袋をはいておられた。
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
仙台平
(
せんだいひら
)
をずるずる地びたへ引きずって
白足袋
(
しろたび
)
に
鼠緒
(
ねずお
)
の
雪駄
(
せった
)
をかすかに出した三十
恰好
(
がっこう
)
の男だ。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
勝色定紋
(
かちいろじょうもん
)
つきの羽二重の小袖に、茶棒縞の
仙台平
(
せんだいひら
)
の袴を折目高につけ、金無垢の
縁頭
(
ふちがしら
)
に秋草を毛彫りした見事な脇差を
手挾
(
たばさ
)
んでいる。どう安くふんでも、大身の家老かお側役といったところ。
顎十郎捕物帳:10 野伏大名
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
行列の中には
怪
(
あや
)
し
気
(
げ
)
な
絹帽
(
シルクハット
)
を
阿弥陀
(
あみだ
)
に
被
(
かぶ
)
って、耳の御蔭で目隠しの難を
喰
(
く
)
い
止
(
と
)
めているのもある。
仙台平
(
せんだいひら
)
を窮屈そうに
穿
(
は
)
いて
七子
(
ななこ
)
の紋付を人の着物のようにいじろじろ
眺
(
なが
)
めているのもある。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
鶴の丸(私の家の紋は、鶴の丸だ)の紋服を着て、
仙台平
(
せんだいひら
)
の
袴
(
はかま
)
をはいて、白足袋、そんな姿でこの馬車にゆったり乗って銀座八丁を練りあるきたい。ああ、このごろ私は毎日、
新郎
(
はなむこ
)
の心で生きている。
新郎
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
“仙台平”の解説
仙台平(せんだいひら)は、日本の宮城県仙台市で作られる絹織物である。江戸時代から明治時代にかけて袴地の最高級品として知られたが、袴の需要減少とともに生産量が少なくなり、現在製造するのは合資会社仙台平だけである。重要無形文化財(2002年7月8日指定、指定名称「精好仙台平」)。
(出典:Wikipedia)
仙
常用漢字
中学
部首:⼈
5画
台
常用漢字
小2
部首:⼝
5画
平
常用漢字
小3
部首:⼲
5画
“仙台”で始まる語句
仙台
仙台侯
仙台萩
仙台藩
仙台領
仙台味噌
仙台川岸
仙台河岸
仙台箪笥
仙台虫喰