乳呑兒ちのみご)” の例文
新字:乳呑児
ところへ、細君さいくんはしどけない寢衣ねまきのまゝ、かしつけてたらしい、乳呑兒ちのみご眞白まつしろちゝのあたりへしつかりといていろあをうしてえたが、ぴつたりわたし椅子いすもとすわつて
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
こぼれるほどにつたきやく行商ぎやうしやう町人ちやうにんがへりの百姓ひやくしやう乳呑兒ちのみごかゝへた町家ちやうか女房にようばうをさなおとうといた町娘まちむすめなぞで、一かゝつたふねが、おほきな武士ぶしめに後戻あともどりさせられたのを
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
下女げぢよれてゐた醜女計みにくいをんなばかりをともなふてたので、さうして此女このをんなには乳呑兒ちのみごつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
それは高瀬船たかせぶね船頭夫婦せんどうふうふが、りてもりなくても自分じぶん家族かぞく唯一ゆゐいつ住居すまゐであるへさきつくられたはこのやうなせばいせえじのなかはなしてこゑであつた。乳呑兒ちのみごこゑまじつてきこえた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
夫婦ふうふ乳呑兒ちのみごと三にん所帶しよたい彼等かれら卯平うへいから殼蕎麥からそばが一しようむぎが一と、あとにもさきにもたつただけけられた。正月しやうぐわつ饂飩うどんてなかつた。有繋さすがにおふくろ小麥粉こむぎこかくしておしなつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
念佛ねんぶつつぎ同一どういつ反覆はんぷくされた。午後ごごになつて村落むらのどのいへからも風呂敷包ふろしきづゝみはこばれた。子供等こどもら學校がくかうからかへつて風呂數包ふろしきづゝみ脊負しよつたのも、乳呑兒ちのみごおびくゝつたのも大抵たいていれうにはあつまつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)