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下手
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したで
ふりがな文庫
“
下手
(
したで
)” の例文
ただ先方はどこまでも
下手
(
したで
)
に出る手段を主眼としているらしく見えた。不穏の言葉は無論、
強請
(
ゆすり
)
がましい様子は
噫
(
おくび
)
にも出さなかった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
今度はわたしが手を替へて、優しく
下手
(
したで
)
に出た。すると娘はシク/\泣きだして
半巾
(
ハンカチ
)
で顔を
覆
(
おほ
)
つてばかりゐる。わたしは情けなくなつた。
愚かな父
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
侍「
汝
(
おのれ
)
下手
(
したで
)
に出れば
附上
(
つけあが
)
り、ます/\
募
(
つの
)
る
罵詈暴行
(
ばりぼうこう
)
、武士たるものゝ
面上
(
めんじょう
)
に痰を唾き付けるとは
不届
(
ふとゞき
)
な奴、勘弁が出来なければ
斯
(
こ
)
うする」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
相手が
下手
(
したで
)
から出ると、ついホロリとしてしまふ瑠璃子であつたが相手が正面からかゝつて呉れゝば、一足だつて踏み退く彼女ではなかつた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
それでいて
婦人
(
おんな
)
はいつも
下手
(
したで
)
に就いて、無理も
御道理
(
ごもっとも
)
にして通さねばならないという、そんな勘定に合わないことッちゃあ、あるもんじゃない。
化銀杏
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
重吉はかつて
我儘
(
わがまま
)
で身の
修
(
おさま
)
らない年上の女と
同棲
(
どうせい
)
した時の経験もあるので、
下手
(
したで
)
に出て女をあやなすことには
馴
(
な
)
れている。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そしていま迄、
下手
(
したで
)
に
謙遜
(
けんそん
)
に学び取っていた仕方は今度からは、争い食ってかかる
紛擾
(
ふんじょう
)
の間に相手から
捥
(
も
)
ぎ取る仕方に方法を替えたに過ぎなかった。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
こじれだしたらおさめようのないことを知っているので、ずいぶん
下手
(
したで
)
に出てなだめたが、どうしてもきかない。
重吉漂流紀聞
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
まだ
厄
(
やく
)
を越したばかり、若くて美しくて、氣立てのいゝお靜は、氣の毒なほど
下手
(
したで
)
に出て、綺麗で年上で、何となく押の強いお樂を立てゝやつたのです。
銭形平次捕物控:024 平次女難
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
直接
(
じか
)
にかけ合ったり、
下手
(
したで
)
に出ればいい気になって
勿体
(
もったい
)
をつけてさ、それがためにこの子が
焦
(
じ
)
れ出して、こんな病気になるのもほんとに無理がありませんよ
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
どういう態度で返事をしてやろうかという事が、いちばんに頭の中で
二十日鼠
(
はつかねずみ
)
のようにはげしく働いたが、葉子はすぐ腹を決めてひどく
下手
(
したで
)
に尋常に出た。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
としきりとなだめている男は、
裾野落
(
すそのお
)
ちのひとりである
早足
(
はやあし
)
の
燕作
(
えんさく
)
。なぜか、きょうにかぎってばかに
下手
(
したで
)
だ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私を
打
(
ぶ
)
ちでもするかと思った。私、あれが新さんが厭なの。そりゃ姉の亭主だから
義兄
(
にい
)
さんにいさんと
下手
(
したで
)
に出ていれば親切なことは親切な人なんですけれど
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
下手
(
したで
)
に息子を説きすすめて食べさせようとした。彼は強情を張った。彼女はついにいらだってきて、不愉快なことを口にのぼせた。彼もそれに言い返してやった。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
人の家なれば使ひの來る事もありと
無情
(
すげなき
)
こたへに、左樣いはれては返すに詞も無けれど、どこからの使ひだ位は聞かせて呉れてもよき筈、喧嘩かひのとげ/\しき言葉ならでもと
下手
(
したで
)
に出れば
暗夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
それまでは、何事も
穏
(
おだや
)
かに、おだやかに、
飽
(
あ
)
くまでも
下手
(
したで
)
に出て、この、一度血を見た若い
獣
(
けもの
)
のごとき神尾喬之助を、何とかあしらって置かねばならぬ……と、思ったが、あぶない。
傍
(
そば
)
へは寄れぬ。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
法印は、ひどく
下手
(
したで
)
だ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「ま、板倉は
下手
(
したで
)
に出てるよってに大した事にもならなんだけど、こいさんのために、二人の男が場所柄も忘れて
喧嘩
(
けんか
)
するなんて云うことは、あんまり見っともええこッちゃないな。こんなことが世間へぱっとせんうちに、何とか解決しとく方がええで」
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
相手が
下手
(
したで
)
から出ると、ついホロリとしてしまう瑠璃子であったが相手が正面からかゝって
呉
(
く
)
れゝば、一足だって踏み
退
(
しりぞ
)
く彼女ではなかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
平次は穏やかな調子で、
下手
(
したで
)
に出ました。手柄や功名は誰にさしても、それは大した問題ではありません。
銭形平次捕物控:072 買った遺書
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「さっきから
下手
(
したで
)
にでていればツケあがって、
素直
(
すなお
)
にわたさねえとまた
痛
(
いた
)
い目に会わすからそう思え」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
内の奴は返事のないほどこちらが
下手
(
したで
)
に痛み入るほかはないが、この外の奴の返事のないのは——これは全くようしゃがならない、時節柄ではあり、現に先日の夜も
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
其時
(
そのとき
)
裏
(
うら
)
の
山
(
やま
)
、
向
(
むか
)
ふの
峯
(
みね
)
、
左右
(
さいう
)
前後
(
ぜんご
)
にすく/\とあるのが、一ツ一ツ
嘴
(
くちばし
)
を
向
(
む
)
け、
頭
(
かしら
)
を
擡
(
もた
)
げて、
此
(
こ
)
の一
落
(
らく
)
の
別天地
(
べツてんち
)
、
親仁
(
おやぢ
)
を
下手
(
したで
)
に
控
(
ひか
)
へ、
馬
(
うま
)
に
面
(
めん
)
して
彳
(
たゝず
)
んだ
月下
(
げツか
)
の
美女
(
びぢよ
)
の
姿
(
すがた
)
を
差覗
(
さしのぞ
)
くが
如
(
ごと
)
く
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「うむ……お宮というんだが、君は知らないのか……。」と
下手
(
したで
)
に出た。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
彼は今までこれほど猛烈に、また真正面に、
上手
(
うわて
)
を引くように見えて、実は偽りのない
下手
(
したで
)
に出たお延という女を見た
例
(
ためし
)
がなかった。弱点を
抱
(
だ
)
いて逃げまわりながら彼は始めてお延に勝つ事ができた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
矢頃
(
やごろ
)
を計ってから語気をかえてずっと
下手
(
したで
)
になって
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
平次は穩かな調子で、
下手
(
したで
)
に出ました。手柄や功名は誰にさしても、それは大した問題ではありません。
銭形平次捕物控:072 買つた遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そこで御機嫌斜めな
内
(
うち
)
つ
方
(
かた
)
の
御思惑
(
おんおもわく
)
を察してみると、お代官も
権柄
(
けんぺい
)
ずくではどうにもならないから、
下手
(
したで
)
に出てその雲行きの
和
(
やわ
)
らぎを待つよりほかはないとあきらめたものらしい。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と、やがてその前へ家の内から
柴進
(
さいしん
)
が会釈に出ていた。そしてあくまで
下手
(
したで
)
に。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
新子が出来るだけ、
下手
(
したで
)
に出ての哀願に、夫人はニコリともせず
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
下手
(
したで
)
に出ると、宅助は、その泣き落しに誘われないで
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平次は靜かに、
下手
(
したで
)
に出ました。
銭形平次捕物控:193 色若衆
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「行き過ぎをやるな。何事によれ、
下手
(
したで
)
に下手に」
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「あの野郎、悪く
下手
(
したで
)
になっていたが? ……」
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“下手”の意味
《名詞》
下 手(げしゅ)
手を下すこと、手をつけること、手ずからなすこと。
(出典:Wiktionary)
下
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
“下手”で始まる語句
下手人
下手糞
下手物
下手碁
下手廻
下手弓
下手者
下手將棋
下手象戯