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万更
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まんざら
ふりがな文庫
“
万更
(
まんざら
)” の例文
旧字:
萬更
実際方面における抱負も或る人々の思うように
万更
(
まんざら
)
詩人的空想から
産出
(
うみだ
)
したユートピヤ的あるいは志士気質の自大放言ではなかった。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
源も
万更
(
まんざら
)
憐
(
あわれ
)
みを知らん男でもない。いや、大知りで、随分
落魄
(
おちぶ
)
れた友人を助けたことも有るし、難渋した旅人に恵んでやった例もある。
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
帰って柳吉に話すと、「お前もええ友達持ってるなア」とちょっぴり皮肉めいた言い方だったが、肚の中では
万更
(
まんざら
)
でもないらしかった。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
○「お慈悲深い旦那だから本当の事を喋って其の上でお慈悲を願え、お
前
(
めえ
)
だって
万更
(
まんざら
)
素人
(
しろうと
)
じゃアなし、
好
(
い
)
い道楽者じゃアねえか」
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「実のところ
万更
(
まんざら
)
自信がなくもありませんのよ。かえりましたら、いずれ店を出すことになりましょうから、どうぞよろしく」
道標
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
▼ もっと見る
彼は
牌
(
こま
)
を握る
合間
(
あいま
)
合間に顔をあげて、星尾助教授の手の内を後からみたり、川丘みどりの真白な
襟足
(
えりあし
)
のあたりを
盗
(
ぬす
)
み
視
(
み
)
して
万更
(
まんざら
)
でない気持になっていた。
麻雀殺人事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そらア川島だッて新華族にしちゃよっぽど財産もあるし、武男さんも
万更
(
まんざら
)
ばかでもないから、おれもよほどお豊を入れ込もうと骨折って見たじゃないか。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
けれども敬太郎にはこの申し出が
万更
(
まんざら
)
の
冗談
(
じょうだん
)
とも思えなかったので、彼は紹介状を
携
(
たずさ
)
えて本当に
眉間
(
みけん
)
の
黒子
(
ほくろ
)
と向き合って話して見ようかという
料簡
(
りょうけん
)
を起した。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「ウン……それにおやじだって
万更
(
まんざら
)
じゃねえんだかんナ……ヤングはそこを睨んでいるんだよ」
支那米の袋
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
だが、
万更
(
まんざら
)
、有り得ないことではないかも知れんなと思った。しかし、また一方、警官の訊問を避けるための偽りでないと誰が知ろう。「さあね」と私はもう一度首を
傾
(
かし
)
げた。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
私は腹の中で下らん奴だと思ったが、感服した顔をして
媚
(
こ
)
びたような事を言うと、先生
万更
(
まんざら
)
厭な心持もせぬと見えて、
稍
(
やや
)
調子付いて来て、夫から
種々
(
いろいろ
)
文学上の事に就いて話して呉れた。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
なにがも、かにがもあるもんじゃねえ、まかり
間違
(
まちが
)
や、てえした
騒
(
さわ
)
ぎになろうッてんだ。おめえンとこだって、
芝居
(
しばい
)
のこぼれを
拾
(
ひろ
)
ってる
家業
(
かぎょう
)
なら、
万更
(
まんざら
)
かかり
合
(
あい
)
のねえこともなかろう。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
陛下崩御——其れは
御重態
(
ごじゅうたい
)
の報伝わって以来
万更
(
まんざら
)
思い掛けぬ事ではなかったが。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「なに高い事は無いさ、幾万円払つた骨董が
宅
(
うち
)
の土蔵にしまひ込んであるとなると、
外
(
ほか
)
に
沢山
(
どつさり
)
あるがらくた道具までが、そのお蔭で
万更
(
まんざら
)
な物ぢや無からうといふので、自然
値
(
ね
)
が出て来ようといふものぢやないか。」
贋物
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
随
(
したが
)
って会えば
万更
(
まんざら
)
路人のように扱われもしなかったが、親しく口を
利
(
き
)
いた正味の時間は前後合して二、三十分ぐらいなもんだったろう。
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
万更
(
まんざら
)
の他人が受賞したではなし、定めし瀬川君だつても私の為に喜んで居て呉れるだらう、と斯う貴方なぞは御考へでせう。ところが大違ひです。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
併し貴公も手を出したからには
万更
(
まんざら
)
気に入らん訳でもあるまいから、真に貴公の
妻
(
さい
)
に致して呉れるなら、改めて僕が離別して実家へ沙汰をするから
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
烏啼も大よろこび、お志万はいうに及ばず貫一も今は
万更
(
まんざら
)
ではない面持で、お志万の手を握って放さなかった。
奇賊悲願:烏啼天駆シリーズ・3
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
もしやという希望も
万更
(
まんざら
)
もたないわけではおありなさらなかったでしょうし、もってかえれるものならば、というぼんやりした願いだっておありになったでしょうが
獄中への手紙:06 一九三九年(昭和十四年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「ところが
万更
(
まんざら
)
世話好ばかりでやってるんでもないようですよ。だから君も好い加減に貰っちまったら好いじゃありませんか。器量は悪かないって話じゃないか。君には気に入らんのかね」
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
これは
万更
(
まんざら
)
形のないお
噺
(
はなし
)
でもない。四五日
前
(
ぜん
)
何かの
小言序
(
こごとついで
)
にお政が
尖
(
とが
)
り声で
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
黒焼流行の折柄ですから
万更
(
まんざら
)
、
利
(
き
)
き目のない事は御座いますまい。
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「なに高い事は無いさ、幾万円払つた骨董が
宅
(
うち
)
の土蔵にしまひ込んであるとなると、
外
(
ほか
)
に
沢山
(
どつさり
)
あるがらくた道具までが、そのお蔭で
万更
(
まんざら
)
な物ぢや無からうといふので、自然
値
(
ね
)
が出て来ようといふものぢやないか。」
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
彼様
(
あん
)
な
茫然
(
ぼんやり
)
した
奴
(
やつ
)
だが、
万更
(
まんざら
)
学問が嫌ひでも無いと見えて、学校から帰ると直に机に向つては、何か独りでやつてますよ。どうも数学が出来なくて困る。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
紅葉は
豈夫
(
まさか
)
に三円五十銭やそこらのものを買えないほど窮していなかったが、こういう馬鹿々々しい誤聞が伝わるのも
万更
(
まんざら
)
でないほど切詰めた生活であった。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
富「お隅は
万更
(
まんざら
)
でもねえ了簡であるのに、あゝ
太
(
ふて
)
え婆アだ」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「それはちと怪しい。
万更
(
まんざら
)
でもないのが居るぜ」
街頭から見た新東京の裏面
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
坑夫共の冷かしたのも
万更
(
まんざら
)
無理ではない。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
土地の
習慣
(
ならはし
)
から『奥様』と
尊敬
(
あが
)
められて居る
斯
(
こ
)
の
有髪
(
うはつ
)
の尼は、昔者として多少教育もあり、
都会
(
みやこ
)
の生活も
万更
(
まんざら
)
知らないでも無いらしい口の利き振であつた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
この考察も
万更
(
まんざら
)
見当違いでなく、世には確かに二葉亭の信ずるような
拠
(
よんどこ
)
ろない境遇の犠牲となって堕落した天才や、立派な主張を持ってる敗徳者もあるにはあるが
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
しかし、源も
血気盛
(
けっきざかり
)
な年頃ですから、若々しい
頬
(
ほお
)
の色なぞには、
万更
(
まんざら
)
人を引きつけるところが無いでもない。
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
緑雨は相応に影では
悪語
(
わるくち
)
をいっていたが、それでも新帰朝の秀才を竹馬の友としているのが
万更
(
まんざら
)
悪い気持がしなかったと見えて、咄のついでに能く万年がこういったとか
斎藤緑雨
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
こうした兄の話は、
万更
(
まんざら
)
岸本にも思い当らないでは無かった。彼は一度家の方で嫂と話したことがある。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
事業家としてドレほどの手腕があったかは疑問であるが、事を
侶
(
とも
)
にした人の
憶出
(
おもいで
)
を綜合して見ると相当の策もあり腕もあったらしく、
万更
(
まんざら
)
な講釈屋ばかりでもなかったようだ。
二葉亭追録
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
万更
(
まんざら
)
文学の尊重を認めないどころか、現代文化における文芸の位置を十分知り抜いているくせに、頭の隅のドコかで文学を遊戯視して男子畢世の業とするに足るか否かを疑っていた。
二葉亭追録
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
紅葉は
万更
(
まんざら
)
外国文学が嫌いじゃなかったが近代文学には
殆
(
ほと
)
んど同感を持たなかった。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
世間が二葉亭を無視して春廼舎の影法師と
早呑込
(
はやのみこ
)
みしたのも
万更
(
まんざら
)
無理ではなかった。が、誰でも処女作を発表する時は臆病で、著作の経験上一日の長ある先輩の教えを聞くは珍らしくない。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
紅葉初め硯友社の同人が美妙を
謀反人
(
むほんにん
)
扱いしたのも
万更
(
まんざら
)
無理ではなかった。
美妙斎美妙
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
が、紙面に載ってるのは
尽
(
ことごと
)
く匿名だから、誰が誰であるか今では模索しがたい。が、
万更
(
まんざら
)
楠
(
くすのき
)
の藁人形らしくもなかったので、今なら大方後援者とか維持会員とかいうような連中であったろう。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
中には戯文や駄洒落の才を頼んで京伝三馬の旧套を追う、あたかも今の歌舞伎役者が
万更
(
まんざら
)
時代の推移を知らないでもないが、手の出しようもなくて歌舞伎年代記を繰返していると同じであった。
四十年前:――新文学の曙光――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
万
常用漢字
小2
部首:⼀
3画
更
常用漢字
中学
部首:⽈
7画
“万”で始まる語句
万
万一
万歳
万事
万年青
万斛
万々
万屋
万象
万端