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こつとう
ふりがな文庫
“
骨董
(
こつとう
)” の例文
われを
目
(
もく
)
して「
骨董
(
こつとう
)
好き」と言ふ、誰か
掌
(
たなごころ
)
を
拊
(
う
)
つて
大笑
(
たいせう
)
せざらん。唯われは古玩を愛し、古玩のわれをして
恍惚
(
くわうこつ
)
たらしむるを知る。
わが家の古玩
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
隣の部屋を覗いて見ると、其處はザラに見かける事のできない
夥
(
おびたゞ
)
しい
骨董
(
こつとう
)
を飾つた廣間で、疊敷にして十五疊ほどあるでせうか。
銭形平次捕物控:155 仏像の膝
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
目の前の
餉台
(
ちやぶだい
)
にあるお茶道具のことから、話が
骨董
(
こつとう
)
にふれた。ちやうどさういふ趣味をもつてゐる養嗣子が、
先刻
(
さつき
)
から
裂
(
きれ
)
で拭いてゐた
鍔
(
つば
)
を見せた。
町の踊り場
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
木で造つた
渡船
(
わたしぶね
)
と年老いた船頭とは現在
並
(
なら
)
びに将来の東京に対して最も尊い
骨董
(
こつとう
)
の一つである。古樹と寺院と城壁と同じく飽くまで保存せしむべき都市の
宝物
(
はうもつ
)
である。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
然
(
しか
)
し
骨董
(
こつとう
)
と
名
(
な
)
のつく
程
(
ほど
)
のものは、
一
(
ひと
)
つもない
樣
(
やう
)
であつた。ひとり
何
(
なん
)
とも
知
(
し
)
れぬ
大
(
おほ
)
きな
龜
(
かめ
)
の
甲
(
かふ
)
が、
眞向
(
まむかふ
)
に
釣
(
つ
)
るしてあつて、
其下
(
そのした
)
から
長
(
なが
)
い
黄
(
き
)
ばんだ
拂子
(
ほつす
)
が
尻尾
(
しつぽ
)
の
樣
(
やう
)
に
出
(
で
)
てゐた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
「さうだ。曾鉄誠老人に会つておくのもわるくない。ついこの筋向ふの椿樹胡同といふところにゐるよ。
骨董
(
こつとう
)
店なぞの妙に多い横町で、うちの副社長の官舎にもぢきなのだ。」
南京六月祭
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
此処
(
こゝ
)
は
御案内
(
ごあんない
)
の
通
(
とほ
)
り
古器物
(
こきぶつ
)
骨董
(
こつとう
)
書画類
(
しよぐわるゐ
)
を
商
(
あきな
)
ふ
方
(
かた
)
で
中々
(
なか/\
)
面白
(
おもしろ
)
い人でございます。
牛車
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
孔雀の真似を
為
(
す
)
る
鴉
(
からす
)
の六左衛門が東京に別荘を置くのも其為である。赤十字社の特別社員に成つたのも其為である。慈善事業に賛成するのも其為である。書画
骨董
(
こつとう
)
で身の
辺
(
まはり
)
を飾るのも亦た其為である。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
唐櫃は
骨董
(
こつとう
)
やガラクタ道具を入れたもので、舊家にこんな物のあることはなんの不思議もありませんが、その唐櫃の中に、骨董品に交つて
銭形平次捕物控:132 雛の別れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
書物さへ
既
(
すで
)
にさうである。
況
(
いはん
)
や書画とか
骨董
(
こつとう
)
とかは一度も集めたいと思つたことはない。
尤
(
もつと
)
もこれはと思つたにしろ、
到底
(
たうてい
)
我我売文の徒には手の出ぬせゐでもありさうである。
続野人生計事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
なに
書畫
(
しよぐわ
)
どころか、
丸
(
まる
)
で
何
(
なに
)
も
分
(
わか
)
らない
奴
(
やつ
)
です。あの
店
(
みせ
)
の
樣子
(
やうす
)
を
見
(
み
)
ても
分
(
わか
)
るぢやありませんか。
骨董
(
こつとう
)
らしいものは
一
(
ひと
)
つも
並
(
なら
)
んでゐやしない。もとが
紙屑屋
(
かみくづや
)
から
出世
(
しゆつせ
)
してあれ
丈
(
だけ
)
になつたんですからね
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「それから、もう一つ訊き度い。お内儀さんは先に亡くなつた大主人が、
骨董
(
こつとう
)
を買ひ集めるのを、大層嫌がつたさうだな」
銭形平次捕物控:144 茶碗割り
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
此
(
この
)
男
(
をとこ
)
は
書畫
(
しよぐわ
)
骨董
(
こつとう
)
の
道
(
みち
)
に
明
(
あか
)
るいとかいふので、
平生
(
へいぜい
)
そんなものの
賣買
(
ばいばい
)
の
周旋
(
しうせん
)
をして
諸方
(
しよはう
)
へ
出入
(
でいり
)
するさうであつたが、すぐさま
叔父
(
をぢ
)
の
依頼
(
いらい
)
を
引
(
ひ
)
き
受
(
う
)
けて、
誰
(
だれ
)
某
(
それがし
)
が
何
(
なに
)
を
欲
(
ほ
)
しいと
云
(
い
)
ふから、
一寸
(
ちよつと
)
拜見
(
はいけん
)
とか
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「でも、俺はそこまで
詮索
(
せんさく
)
する氣がなかつたよ。土地の御用聞に任せて置くことだ。——あの兄妹はよく/\
骨董
(
こつとう
)
に凝る人間が憎いやうだから」
銭形平次捕物控:133 井戸の茶碗
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
一兩小判はざつと四匁、
元祿
(
げんろく
)
以前の良質のものは、今の相場にして
骨董
(
こつとう
)
値段を加へると何萬圓といふことになるでせう。
銭形平次捕物控:274 贋金
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「井筒屋重兵衞は
疝癪
(
せんしやく
)
で
溜飮
(
りういん
)
持だ。氣の毒だが金に不自由はなくなつても大福餅には縁がありませんよ。——淺ましいことに重兵衞は
骨董
(
こつとう
)
に
凝
(
こ
)
り始めた」
銭形平次捕物控:144 茶碗割り
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それに、困つたことに親の私は古道具屋で、
骨董
(
こつとう
)
には一應眼が利くだらうし、隱すにも賣るにも、何彼と都合がよからうと、斯う思つて居る樣子で御座います。
銭形平次捕物控:060 蝉丸の香爐
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「親分、あつしには
薩張
(
さつぱ
)
り解らない。銀次は
骨董
(
こつとう
)
を打ち壞して井筒屋の父子を殺したんですか」
銭形平次捕物控:144 茶碗割り
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
曾
(
かつ
)
ては人にも
羨
(
うらや
)
まれる榮華も見ましたが父親が
骨董
(
こつとう
)
に凝り始め、巨萬の身上を費ひ果し、死んだ後に殘つたのは、
夥
(
おびたゞ
)
しい僞物の骨董とそれから身に餘る借金だけといふみじめな有樣でした。
銭形平次捕物控:133 井戸の茶碗
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
何處の藩の
糊米
(
のりまえ
)
を頂いたとも知れない、親代々の浪人者で、辯口がうまいのと、押出しが立派なのと、書畫
骨董
(
こつとう
)
が少しわかるのを
資本
(
もとで
)
に金持に取り入つて僞物を賣込んだり、才取りをしたり
銭形平次捕物控:200 死骸の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
修復して、書畫
骨董
(
こつとう
)
などを片付けるのださうで、一と月も前から
棟梁
(
とうりやう
)
の佐太郎一人だけを入れて働かせてをりました。私も番頭もお常さんでさへも、土藏へは入れないことになつてをりました
銭形平次捕物控:152 棟梁の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
母屋
(
おもや
)
から廊下傳ひに續いて、其處には
夥
(
おびたゞ
)
しい金銀と、數代に
亙
(
わた
)
つて
貯
(
たくは
)
へた
骨董
(
こつとう
)
類が入れてあるのですが、三重の扉を開くとムツと
腥氣
(
せいき
)
が漂つて、一歩踏み込んだ孫三郎も、思はず足を淀ませました。
銭形平次捕物控:154 凧の詭計
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
中から出て來るのは、
夥
(
おびたゞ
)
しい
骨董
(
こつとう
)
、金銀、香木。
銭形平次捕物控:140 五つの命
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“骨董”の意味
《名詞》
骨 董(こっとう)
希少価値のある古道具や古美術品。
(出典:Wiktionary)
骨
常用漢字
小6
部首:⾻
10画
董
漢検準1級
部首:⾋
12画
“骨董”で始まる語句
骨董屋
骨董品
骨董店
骨董商
骨董集
骨董的
骨董物
骨董羹
骨董癖
骨董飯