トップ
>
驀進
>
ばくしん
ふりがな文庫
“
驀進
(
ばくしん
)” の例文
もちろん、足利がたの浜の手、
少弐頼尚
(
しょうによりひさ
)
の一軍は、すでに駒ヶ林へその
先駆
(
せんく
)
を突ッかけて来、
直義
(
ただよし
)
の本軍も、西国街道を、
驀進
(
ばくしん
)
していた。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
冬の、(イヤ、秋かな、マアどっちでもいいや)まだ薄暗い
暁
(
あかつき
)
の、
静寂
(
せいじゃく
)
を破って、上り第○号列車が
驀進
(
ばくしん
)
して来たと思い給え。
一枚の切符
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
石と鉄と石炭の巨大な暗黒の底に白いしぶきをあげて、くろ光りにひかる道路に、
驀進
(
ばくしん
)
する自動車の灯火がながく流れている。
踊る地平線:02 テムズに聴く
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
と、アンは叫んだが、そのまま速力をゆるめないで
驀進
(
ばくしん
)
した。その辻のところでは、
半壊
(
はんかい
)
の建物から、また、ばらばらと
石塊
(
せきかい
)
がふってきた。
英本土上陸戦の前夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
これを運命という狭い眼界から諸行無常と観ずるなら、その諸行無常にこそ次に向けた運命への勇歩
驀進
(
ばくしん
)
の力点があるのでもございましょう。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
レニングラードに向かって
驀進
(
ばくしん
)
する機関車と食用蛙を描いて東洋人が彼女の未来の夫であることを象徴するのであった。
恋の一杯売
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
狭い一本道路を、田舎のバスらしい権威で
驀進
(
ばくしん
)
するから、重吉の家の店のガラス戸も、前の沢田という家の四枚のガラスも、泥はねだらけであった。
播州平野
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
父死後の始末も一段落ついた頃彼女を海岸からアトリエに引きとったが、病勢はまるで汽缶車のように
驀進
(
ばくしん
)
して来た。
智恵子の半生
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
恰度四時四十二分に夜行の旅客列車が物凄い唸りを立てて、直ぐ眼の前の上り線路を
驀進
(
ばくしん
)
して行きました。そして
辺
(
あたり
)
は再び元の
静寂
(
しじま
)
に返ったのです。
とむらい機関車
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
三年間休んだのは、右腕を切られた後の養生と、左腕を自由に使ひこなす迄の練習期間で、それが
了
(
をは
)
ると再び百軒一萬兩の大願へ
驀進
(
ばくしん
)
したのでした。
銭形平次捕物控:157 娘の役目
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
土田
(
どた
)
は
名鉄
(
めいてつ
)
の犬山口から分岐する今渡線の終点に近い。ちらとその駅をのぞいて、また右へ、ライン遊園地へ向けて、またまた
驀進
(
ばくしん
)
驀進驀進である。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
しかしあの苦行がなければあの社会への
驀進
(
ばくしん
)
はなかつたのである。その孤独がなければあの融合はなかつたのである。そこを考へて見なければならない。
静かな日
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
ああ、昭和遊撃隊は、今や海の猛獣となって、東へ東へまっしぐらに
驀進
(
ばくしん
)
するのだ。速力、実に三十八ノット!
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
彼等は店の
内
(
なか
)
が込んでいると見るや、
忽
(
たちま
)
ち鋭い眼付になって、空席を見出すと共に人込みを押分けて
驀進
(
ばくしん
)
する。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
砲
塁
(
るい
)
や他の艦が、それと気づいた頃にはおそく、本艇は、白みゆく薄闇を
衝
(
つ
)
いて、
唸
(
うな
)
りながら
驀進
(
ばくしん
)
していた。
潜航艇「鷹の城」
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
然
(
しか
)
りといえども一世の
輿論
(
よろん
)
と戦い、天下の趨勢に抗し、愚人と争い、智者と闘い、社会を挙げて、その敵たるも顧慮する所なく、猛然として
驀進
(
ばくしん
)
したるもの
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
下り一〇五列車は、黒く
澱
(
よど
)
んだ夜の空気を引裂き、眠った風景を地軸から揺り動かして、
驀進
(
ばくしん
)
して行った。
鉄路
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
あたり一面は
闇
(
くら
)
いのに、ヘッドライトに照された景色だけは昼のようです。そうしてその光景を展開させながら真黒な怪物が爆音を立てて
驀進
(
ばくしん
)
して行くのです。
死者の権利
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
……オートバイかトラックかがあちらから、大へんな勢ひで
盲目
(
めくら
)
滅法に
驀進
(
ばくしん
)
して来る。私はその道を横切らうとして、それに気がつき、危いと避けようとする。
大凶の籤
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
ところが先生ひとたび意を決して国のため社会のためにこれなりと認めると、
如何
(
いか
)
なる反抗があっても生命を賭して
驀進
(
ばくしん
)
する。即ち破壊的大運動をなすのである。
明治文明史上に於ける福沢翁
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
世間はわが福音に背を向け、わが願わざる方向へと
驀進
(
ばくしん
)
する。我は
悵然
(
ちょうぜん
)
として
己
(
おの
)
が孤影を顧みるのです。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
闇の中から光明を目ざして
驀進
(
ばくしん
)
する彼の心霊に対する究極の理想として映じたからにほかならない。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
不幸にして彼は有力な藩に生れなかったから、独力で今日の地位に
驀進
(
ばくしん
)
しただけのもので、彼を西南の大藩にでも置けば、勤王方の有力なる一城壁をなす人物なのだ。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そして尻をしたたかにぶん殴られたように前方へ
驀進
(
ばくしん
)
した。隊長は、
辷
(
すべ
)
り落ちそうになりながら
パルチザン・ウォルコフ
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
地響き立てて
驀進
(
ばくしん
)
中の列車とはいえ、今の二発の
轟音
(
ごうおん
)
と、この硝煙の香は、旅客の平安を破るに充分であったろう。開けろ、開けろと扉が破れんばかりに
叩
(
たた
)
かれている。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
どこかの山中の
嶮崖
(
けんがい
)
を通る鉄道線路の夜景を見せ、最後に機関車が観客席に向かって
驀進
(
ばくしん
)
するという甚だ物々しいふれだしのあった一景は、実は子供だましのようなものであった。
マーカス・ショーとレビュー式教育
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
これだけの用意が出来上ったら、もう何の躊躇もなく
驀進
(
ばくしん
)
すべき準備が整ったのだ。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
理想境
(
ユートピア
)
に向って
驀進
(
ばくしん
)
するんだ。……吾輩もカフェー・ユートピアに居る。即ち酒だ。酒が即ち吾輩の
理想境
(
ユートピア
)
なんだ。あとは睡る事。永遠に酔い永遠に眠る。これが吾輩のユートピアだ。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と、彼は無言のままその紅の一点を目がけて、押し寄せる敵軍の中へただ一騎
驀進
(
ばくしん
)
した。
鋒
(
ほこ
)
の雨が彼の頭上を飛び廻った。彼は
楯
(
たて
)
を差し出し、片手の
剣
(
つるぎ
)
を振り廻して飛び来る鋒を
斬
(
き
)
り
払
(
はら
)
った。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
それに次いで起った問題は、劇道革進の第一程として、欧米風の劇場を建設することで、川上は万難を排してその事業に
驀進
(
ばくしん
)
した。それとても奴の力がどれほどの援助であったか知れなかった。
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
ゆっくり/\車をひいて、身の上話でもする老車夫は、今は春の日永のいなか道に見出す位のものであろう。いなか道でも自動車のいつ
驀進
(
ばくしん
)
して来るかわからぬところではなか/\油断がならぬ。
丸の内
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
文聘は、近くの兵船七、八隻、快速の小艇十余艘をひきつれて、波間を
驀進
(
ばくしん
)
し、たちまち彼方なる大船団の進路へ漕ぎよせ
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
地下道の厚い壁はわが自動車めがけて、鋼鉄艦のごとく
驀進
(
ばくしん
)
してきたが、私が、力一ぱいハンドルを切ったため、壁は、ぐーッと右に流れた。
地球要塞
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
僕は毎日毎日、東へ東へと
驀進
(
ばくしん
)
する大編隊の無数の埃のような幻を見るのです。蚊柱のような唸りを聴くのです。ハハハハハハ、むろん幻ですよ。
偉大なる夢
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
父死後の始末も一段落ついた頃彼女を海岸からアトリエに引きとつたが、病勢はまるで
汽罐車
(
きかんしや
)
のやうに
驀進
(
ばくしん
)
して来た。
智恵子抄
(新字旧仮名)
/
高村光太郎
(著)
とにかくこれが当分のお別れであろう日本の春の夜を、汽車はいま狂女のように
驀進
(
ばくしん
)
している。下関へ、ハルビンへ、
莫斯科
(
モスコウ
)
へ、
伯林
(
ベルリン
)
へ、やがてロンドンへ。
踊る地平線:01 踊る地平線
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
や、例の
樺
(
かば
)
と白との別荘だなと思うと、中仙道は川添いの松原と桃林との間を東へ東へと
驀進
(
ばくしん
)
しつつある。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
然れどもその説く所の人生
驀進
(
ばくしん
)
の意気余りに豪壮に過ぐるを以てわれは忽ちこれを捨てて顧みざりき。
矢立のちび筆
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
さもなければ、自分の食慾に対して何かその人としてのおきてをもち、同時にソヴェト政権の
驀進
(
ばくしん
)
力に対しても何かその人だけの曰くを抱いていそうな人たちだった。
道標
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
いきなり横町から自動車が
驀進
(
ばくしん
)
して来て、アッと言う間もなく車輪にかけられた——。
焔の中に歌う
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
しつこくその一点に向かって一直線に
驀進
(
ばくしん
)
するといった頑固一点張りの人間であった。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
この両神が
剣
(
つるぎ
)
をぬきかざして、鹿島灘の上を
驀進
(
ばくしん
)
し
来
(
きた
)
る
面影
(
おもかげ
)
を、ただいま見る。
大菩薩峠:28 Oceanの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
彼は突然に眼を閉じ、唇を
噛締
(
かみし
)
めて、
雑木藪
(
ぞうきやぶ
)
の中を
盲滅法
(
めくらめっぽう
)
に
驀進
(
ばくしん
)
し初めた。
笑う唖女
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そして自分は、義景を逃がすためにふみとどまり、千余の手兵をもって、
驀進
(
ばくしん
)
して来る織田軍を、
幾刻
(
いくとき
)
かそこで支えていた。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「なるほど、そうですか。これも
天佑
(
てんゆう
)
の一つでしょうな」自動車隊は、暗闇の中を、なおもグングンと、
驀進
(
ばくしん
)
して行った。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
おそらく、私たちを乗せた巨大な
甲虫
(
かぶとむし
)
は、今は一千五百尺以上の山中を
驀進
(
ばくしん
)
している。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
それだけに、興味も異常に集中して、ともかくもこれをひとつ手捕りにして置いてその上——と、彼は全能力をつくして
驀進
(
ばくしん
)
しようとした時に、その行手にはたと立ち塞がったものがあります。
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
この
稀有
(
けう
)
な人間の正体がどんなものであるかを見きわめようとした。私の脳裏のミケランジェロはその行蔵の表裏矛盾にみちしかも底の底ではただ一本道を
驀進
(
ばくしん
)
するタンクのような人間であった。
(私はさきごろ)
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
そのまま列車を廃鉱へ
驀進
(
ばくしん
)
させた。
探偵小説の「謎」
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
武蔵が、それへ眸を
反
(
そ
)
らした
咄嗟
(
とっさ
)
、狙い澄ましていたもう一名の法師は、槍もろとも勢いよく彼へ向って、
驀進
(
ばくしん
)
して来た。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
驀
漢検1級
部首:⾺
20画
進
常用漢字
小3
部首:⾡
11画
“驀”で始まる語句
驀地
驀
驀然
驀直
驀向
驀出
驀走