なれ)” の例文
さうしてただ夢の樣に何ものかを探し囘つてもうなれつこになつて珍らしくもない自分たちの瀉くさい海の方へ歸らうとも思はなんだ。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
引開れば是はまた家は裳脱もぬけのからころもつゝなれにし夜具やぐ蒲團ふとんも其まゝあれど主はゐず怪有けふなる事の景況ありさまに是さへ合點がてんゆかざりけり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
其の間に余程手間が取れるから往々貰いそこないます、少しなれて来ると、有難う存じますとすぐに扇からてのひらへおあしを取る様に成る、もう一歩慣れたらうなりますか
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そのゝち家に人なき時はをり/\来りて飯をふゆゑ、後にはなれておそろしともおもはずくはせけり。
つていふはなし思出おもひだして「おぢさん、ライオンはなれたらねづみでもひませんか」と動物園どうぶつゑんのおぢさんにきました。すると、おぢさんのこたへはこうでした「すぐつちまふ」
孵化すだけは誰にでも少しなれれば楽ですが雛を育てるのがなかなか面倒でそれがためには仮母器かぼきという物もりますし食物の分量や病気の予防なんぞに手がかかります。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
新聞懐中して止むるをきかずたって畳ざわりあらく、なれ破屋あばらや駈戻かけもどりぬるが、優然として長閑のどかたて風流仏ふうりゅうぶつ見るよりいかりも収り、何はさておき色合程よく仮に塗上ぬりあげ
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
己は毎々まい/\、外出中の時間を有効に使用する事になれて居るので、自転車を小屋の木戸番きどばんに預けると、直に切符の売り場へ行って、「魔術は何時から始まるのですか。」と、其処の少女に聞いて見た。
小僧の夢 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
なれツこになつてしたしんで居たけれども、泊るのは其夜そのよ最初はじめて
処方秘箋 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ふと遠方をちかたなれてしひとがたち
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
きくなれたる野べの松虫行澄
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
引摩々々ひきずり/\來るは如何にもたびなれぬ樣子なりしが夫婦づれの者此寶珠花屋このはうじゆばなや八五郎の見世にこしを打懸やれ/\草臥くたびれたりと云ていき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そのゝち家に人なき時はをり/\来りて飯をふゆゑ、後にはなれておそろしともおもはずくはせけり。
なれたものは根の上からポクリと折り取るようにして根の先の土を動かさずにおきますからまた雨が降ると幾度いくどでも出て幾度でも採れます。松露しょうろを採ってもその通りです。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
自然と焔硝えんしょうの煙になれては白粉おしろいかおり思いいださず喇叭らっぱの響に夢を破れば吾妹子わぎもこが寝くたれ髪の婀娜あだめくも眼前めさきにちらつくいとまなく、恋も命も共に忘れて敗軍の無念にははげみ、凱歌かちどきの鋭気には乗じ
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
手渡しにして今夜にも必ず御出の有やうに其言傳そのことづて斯々かう/\幾干いくら小遣こづかにぎらせれば事になれたる吉六ゆゑ委細承知と請込うけこみつゝ三河町へといそゆき湯屋ゆやの二階で容子ようす
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
たけは六尺ばかり、赤髪あかきかみ裸身はだかみ通身みうち灰色はいいろにて、ぬけたるにたり、こしより下にかれ草をまとふ。此物よく人のいふことにしたがひて、のちにはよく人になれしと高田の人のかたりき。
たけは六尺ばかり、赤髪あかきかみ裸身はだかみ通身みうち灰色はいいろにて、ぬけたるにたり、こしより下にかれ草をまとふ。此物よく人のいふことにしたがひて、のちにはよく人になれしと高田の人のかたりき。
よく人になれてはなはだあいすべきもの也。こゝかしこに持あるきしがそのをはりをしらず。