青山あをやま)” の例文
青山あをやまうちからは何の消息もなかつた。代助は固よりそれを予期してゐなかつた。彼はつとめて門野を相手にして他愛ない雑談にふけつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
え……それぢやアぼくは死んだんだ、こりやアおどろいた、六だうつじだとえ、むかし青山あをやまにさうところつたが、困つたね、ぼくは死んだのからん……ねえさんなんでげすかえ
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
禮吉れいきち悚然ぞつとしながら、それでも青山あをやま墓地ぼちなかを、青葉あをばがくれに、はなむ、しろさをおもつた。……
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おのづから水ながれたるさはえて青山あをやま見ゆるところまで
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
青山あをやま枯山かれやまになして泣きいざちて泣きおらぶとも我は貧しき
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
こゝに寶永三年四月紀伊きい大納言光貞卿御大病ごたいびやうの處醫療いれうかなはず六十三歳にて逝去せいきよまし/\ける此時松平主税頭ちからのかみ信房卿は御同家青山あをやま百人町なる松平左京太夫さきやうのたいふ養子やうしとなり青山の屋敷やしきおはせりさてまた大納言光貞卿の惣領そうりやう綱教卿つなのりきやう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ふりさけ見れば青山あをやま
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
かつては、ふか青山あをやま
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
ひるすこまへ迄は、ぼんやりあめながめてゐた。午飯ひるめしますや否や、護謨ごむ合羽かつぱを引き掛けて表へ出た。なか神楽坂下かぐらざかした青山あをやまうちへ電話をけた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
見舞みまひ盛花もりばなを、貴方あなたなんだとおもひます——わざとね——青山あをやま墓地ぼちつて、方々はう/″\はか手向たむけてあります、其中そのなかから、りたけれてないのをつて、こしらへてたんですもの、……
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ふりさけ見れば青山あをやま
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
青山あをやまから御兄おあにいさんが御見えになりました」と云つた。代助は今直いますぐむねを答へて、奇麗に身体からだつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
……そのうち場所ばしよことだから、べつあひでもないが、柳橋やなぎばしのらしい藝妓げいしやが、青山あをやま知邊しるべげるのだけれど、途中とちう不案内ふあんないだし、一人ひとりぢや可恐こはいから、にいさんおくつてくださいな、といつたので、おい
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あるはけはしき青山あをやま
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)