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陋劣
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ろうれつ
ふりがな文庫
“
陋劣
(
ろうれつ
)” の例文
あの胸くその悪くなるような警部風情の鼻息をうかがったり、ごきげんをとったりしたが、なんという
陋劣
(
ろうれつ
)
なざまだ! もっとも
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
彼等の越権行為を私が
屡々
(
しばしば
)
攻撃しているからだ。今日の記事など、実に
陋劣
(
ろうれつ
)
だ。初めは腹が立ったが、近頃は
寧
(
むし
)
ろ光栄を覚えるくらいだ。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
だが、いずれにしても、模倣というほどに邪気のあるものでなく、焼直しというほどに
陋劣
(
ろうれつ
)
なるものでもあるまい。次を聞いてやって下さい
大菩薩峠:28 Oceanの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「出て下さい……スグに出て! 紳士のくせに鍵を破ってはいって来るなんて! 何という見下げ果てた!
陋劣
(
ろうれつ
)
な……」
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
けれども、さっき、娘が
不憫
(
ふびん
)
のあまり、ふいと恐ろしい手段を考えました。ただいまハムレットさまのおっしゃったような
陋劣
(
ろうれつ
)
な事を考えました。
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
▼ もっと見る
それは
陋劣
(
ろうれつ
)
なる偽善の最後の段階ではないか。それは
賤
(
いや
)
しい
卑怯
(
ひきょう
)
な陰険な
唾棄
(
だき
)
すべきまた
嫌悪
(
けんお
)
すべき罪悪ではないか!
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
この哀れな私の同胞に対して、今まで此室に入って来た者共が、どんな残忍なことをしたか、どんな
陋劣
(
ろうれつ
)
な恥ずべき
行
(
おこない
)
をしたか、それを聞こうとした。
淫売婦
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
其
(
そ
)
れで
私
(
わたくし
)
は
反應
(
はんおう
)
してゐます。
即
(
すなはち
)
疼痛
(
とうつう
)
に
對
(
たい
)
しては、
絶※
(
ぜつけう
)
と、
涙
(
なんだ
)
とを
以
(
もつ
)
て
答
(
こた
)
へ、
虚僞
(
きよぎ
)
に
對
(
たい
)
しては
憤懣
(
ふんまん
)
を
以
(
もつ
)
て、
陋劣
(
ろうれつ
)
に
對
(
たい
)
しては
厭惡
(
えんを
)
の
情
(
じやう
)
を
以
(
もつ
)
て
答
(
こた
)
へてゐるです。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
唯当時私はまだ若かったから、
陋劣
(
ろうれつ
)
な吾にしても、私の吾には尚お多少の活気が有って、多少の活機を捉え得た。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
だから芸を
售
(
う
)
って口を
糊
(
こ
)
するのを恥辱とせぬと同時に、学問の根底たる立脚地を離るるのを深く
陋劣
(
ろうれつ
)
と心得た。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
吾人の標準とか題したる某君の国家主義論は、推断
陋劣
(
ろうれつ
)
、着眼浅薄、由来皮相の国家主義を、
弥益
(
いやます
)
皮相に述べ来りたる所、稚気
紛
(
ふん
)
として近づく可からず候。
渋民村より
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
思いもかけぬ
貪婪
(
どんらん
)
な
陋劣
(
ろうれつ
)
な情欲の持ち主で、しかもその欲求を貧弱な体質で表わそうとするのに出っくわすと
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
彼らの人柄の下品
陋劣
(
ろうれつ
)
唾棄すべきものがありますが、また反面には、イエスの言行が平生いかに強く彼らの憎悪を招いていたかが、これによってわかります。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
芸者や女給に持てたいという
陋劣
(
ろうれつ
)
な料簡だろうと人身攻撃に及びましたから、私はやり返しました。
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
資本家の新聞雑誌の
陋劣
(
ろうれつ
)
な
讒誣
(
ざんぶ
)
虚報や、警察官等の法外な迫害は左程彼女を傷めはしなかつた。しかし、自分達の仲間からの攻撃は彼女にとつて堪えがたいものであつた。
乞食の名誉
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
事実だとすれば、それがもし事実だとすれば……いや! 人間はそんな
陋劣
(
ろうれつ
)
にはなれぬはずだ、心の企む不善にも限度がある。そこまで自分を卑劣に堕すことは不可能だ。
夜明けの辻
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
人格のない人に、芸術はあり得ず、卑俗
陋劣
(
ろうれつ
)
な人間に、美しくも気高き芸術が生れる筈はない。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
うまうまと自分の
陋劣
(
ろうれつ
)
な
術數
(
たくらみ
)
に
瞞
(
だま
)
された不幸な彼女の顏が眞正面に
見戍
(
みまも
)
つてゐられなかつた。
崖の下
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
光一は悲しかった、かれの心は政党に対する
憤怒
(
ふんぬ
)
に燃えていた。どういう理由か知らぬが、校長がぼくの家へ見舞いにきただけで政党が校長を排斥するのはあまりに
陋劣
(
ろうれつ
)
だ。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
私は心から中谷の
陋劣
(
ろうれつ
)
な心事を憎みました。どうかして復讐してやりたいという望みを押えることができません、そこで取調べのとき中谷の聞いている前でこう云ってやりました。
流転
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
職業的の
賭博者
(
とばくしゃ
)
の
陋劣
(
ろうれつ
)
きわまる
手管
(
てくだ
)
を覚えこもうとし、また、その卑劣な術策の達人になってからは、いつもそれを実行して、仲間の学生たちのなかの愚鈍な連中から金をまき上げて
ウィリアム・ウィルスン
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
はては犬畜生にも劣つた精神
陋劣
(
ろうれつ
)
佞奸
(
ねいかん
)
邪智の曲者などと病的な考にとらはれる。
総理大臣が貰つた手紙の話
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
趣味の上からは高潔純正をよろこび、高い理想の文芸を味おうてる身で、生活上からは凡人も
卑
(
いや
)
しとする
陋劣
(
ろうれつ
)
な行動もせねばならぬ。八人の女の子はいつかは相当に
婚嫁
(
こんか
)
させねばならぬ。
去年
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
と罵倒しながら「おれの儲け処が貴様達にわかるものか」という
陋劣
(
ろうれつ
)
な本心——
鼻の表現
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それから引続きジョルジ三世が王権を再興するがため
陋劣
(
ろうれつ
)
なる手段を採りて議会に於ける自己の勢力を
扶殖
(
ふしょく
)
せんとするあり、ために七、八十年ほどは非常に憂うべき状態にあったのである。
選挙人に与う
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
勿論標尺と引金を糸で結び付けて、反対の方向へ自働発射を試みるようなことはやらんだろうし、汁で縮むレットリンゲル紙を指に巻いて、引金に偽造指紋を残すような
陋劣
(
ろうれつ
)
な手段にも出まい。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
遠林寺の
祐海
(
ゆうかい
)
とやらが、柳沢家に
伝手
(
つて
)
を求めているとか、大奥の縁引へ奔走しているとか、その結果を見た上でとか何とか、まるで
女人
(
にょにん
)
の
為
(
す
)
るような
陋劣
(
ろうれつ
)
な策に大事を
恃
(
たの
)
んでいるのじゃないか。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
陋劣
(
ろうれつ
)
な作業を、私に向っても開始したことを理解したのであった。
一九三二年の春
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
卑怯
(
ひきょう
)
にも
陋劣
(
ろうれつ
)
にも、金の力であの
清廉
(
せいれん
)
な父を苦しめようとするのかしら。そう思うと、瑠璃子は、女ながらにその小さい胸に、相手の卑怯を
憤
(
いきどお
)
る熱い血が、沸々と声を立てゝ、煮え立つように思った。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
父の
心事
(
しんじ
)
の
陋劣
(
ろうれつ
)
さは余りにも明白である。だが、叔父についてなぜこう言うのであるか。言うまでもなくそれは、
姪
(
めい
)
を妻としようと約束した不義不徳のためではあるが、ただそればかりではないのだ。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
陋劣
(
ろうれつ
)
にも
食物
(
しよくもつ
)
をもてす。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
彼の心をかくも急に転向させたのは、副署長を相手にした打明け話の
陋劣
(
ろうれつ
)
さでもなければ、また彼に対する中尉の勝利の下劣さでもない。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
世には
陋劣
(
ろうれつ
)
なる小人と、商売根性というものがあって、盛名あるものの出づるごとに、ことさらにそれを
卑
(
いや
)
しきものに引当てて
貶黜
(
へんちつ
)
を試みようとする。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それで
私
(
わたくし
)
は
反応
(
はんのう
)
しています。
即
(
すなわち
)
疼痛
(
とうつう
)
に
対
(
たい
)
しては、
絶呌
(
ぜっきょう
)
と、
涙
(
なみだ
)
とを
以
(
もっ
)
て
答
(
こた
)
え、
虚偽
(
きょぎ
)
に
対
(
たい
)
しては
憤懣
(
ふんまん
)
を
以
(
もっ
)
て、
陋劣
(
ろうれつ
)
に
対
(
たい
)
しては
厭悪
(
えんお
)
の
情
(
じょう
)
を
以
(
もっ
)
て
答
(
こた
)
えているです。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
警察のある種の役人は、
陋劣
(
ろうれつ
)
と権威との交じった複雑な特別な相貌をそなえてるものである。ジャヴェルは陋劣の方を欠いたその特別な相貌を持っていた。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
従って
何程
(
なにほど
)
古手の思想を積んで見ても、木地の吾は
矢張
(
やっぱり
)
故
(
もと
)
のふやけた、
秩序
(
だらし
)
のない、
陋劣
(
ろうれつ
)
な吾であった。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
死ねば天堂へ行かれる、未来は
雨蛙
(
あまがえる
)
といっしょに蓮の葉に往生ができるから、この世で善行をしようという下卑た考と一般の論法で、それよりもなお一層
陋劣
(
ろうれつ
)
な考だ。
倫敦消息
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかし、それは矢島の
陋劣
(
ろうれつ
)
なあてこすりだったのだ。そこには藤野先生も周さんもいるから、試験問題の「
漏洩
(
ろうえい
)
」を暗に皮肉るつもりで、矢島が卑屈の小細工をしたのだ。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
かれらがそんなにも無恥
陋劣
(
ろうれつ
)
で、その悪徳非道にとめどがないとすれば、これを抑える法は一つしかないでしょう、私はそう決心した、私の決心に賛成する者が九人、それぞれが持場を
日日平安
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そしてその
陋劣
(
ろうれつ
)
さを、自分でちゃんと承知しているのだ。それにまだ、兄のミーチャから花嫁を横取りしようとしているが、たぶんこの目的は成功するだろう。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
一粒の
粟
(
あわ
)
をも持たない小鳥から十万フランの年金をも持たない僕自身に至るまで、空と地上とにかくも多くの
陋劣
(
ろうれつ
)
と貧弱と困厄とを見、はなはだしく疲弊してる人類の宿命を見
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
その時期の、様々の情ない自分の姿を、私は、みんな知っている。忘れられない。私は、日本一の
陋劣
(
ろうれつ
)
な青年になっていた。十円、二十円の金を借りに、東京へ出て来るのである。
東京八景:(苦難の或人に贈る)
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
人気を
煽
(
あお
)
ろうというほどな
陋劣
(
ろうれつ
)
な根性に出でたのではなく、誰かにそそのかされて、何の気なしにやったことが諒解が届いたから、役人たちも、単に張紙をさせるだけで、後は問いませんでした。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その後は決して猫の良心に恥ずるような
陋劣
(
ろうれつ
)
な振舞を致した事はない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
きさまはまだ自分の
陋劣
(
ろうれつ
)
さに気付いていないだろう。
夜明けの辻
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それは僕に対する
誹謗
(
ひぼう
)
だ。しかもかなり
陋劣
(
ろうれつ
)
なものなんだ。僕はきのう途方に暮れているやもめに金をやった。しかし『葬儀費と称して』じゃない、じっさい葬式の費用にやったんだ。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
これは一体、誰の
猿智慧
(
さるぢえ
)
なんです? ばかばかしくて、見て居られません。どうせ、いやがらせをなさる積りなら、も少し気のきいた事でやって下さい。あなたがたは
卑怯
(
ひきょう
)
です。
陋劣
(
ろうれつ
)
です。
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
陋劣
(
ろうれつ
)
不名誉なる刑場であった。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「何という
陋劣
(
ろうれつ
)
な男だろう」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“陋劣”の意味
《名詞》
心が卑しく、劣っていること。
(出典:Wiktionary)
陋
漢検1級
部首:⾩
9画
劣
常用漢字
中学
部首:⼒
6画
“陋劣”で始まる語句
陋劣漢