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錦襴
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きんらん
ふりがな文庫
“
錦襴
(
きんらん
)” の例文
ホステスのスエスリング夫人は長い立派な緑色のお召物の上に
錦襴
(
きんらん
)
の
裲襠
(
うちかけ
)
を着て、それはそれは鮮やかな姿でお待ちしているところへ
お蝶夫人
(新字新仮名)
/
三浦環
(著)
太宗
(
たいそう
)
皇帝の
水陸大会
(
だいせがき
)
に、
玄奘法師
(
げんじょうほうし
)
の
錦襴
(
きんらん
)
の
袈裟
(
けさ
)
が
燦然
(
さんぜん
)
と輝き、
菩薩
(
ぼさつ
)
が雲に乗って天に昇ると、その雲がいつの間にか
觔斗雲
(
きんとうん
)
にかわって
『西遊記』の夢
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
蜷川の友人達には、陶器、磁器、貨幣、刀剣、カケモノ(絵)、
錦襴
(
きんらん
)
の切、石器、屋根瓦等を、それぞれ蒐集している者がある。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
赤地
(
あかぢ
)
、
蜀紅
(
しよくこう
)
なんど
錦襴
(
きんらん
)
の
直垂
(
ひたゝれ
)
の
上
(
うへ
)
へ、
草摺
(
くさずり
)
曳
(
ひ
)
いて、さつく/\と
鎧
(
よろ
)
ふが
如
(
ごと
)
く
繰擴
(
くりひろ
)
がつて、
人
(
ひと
)
の
俤
(
おもかげ
)
立昇
(
たちのぼ
)
る、
遠近
(
をちこち
)
の
夕煙
(
ゆふけむり
)
は、
紫
(
むらさき
)
籠
(
こ
)
めて
裾濃
(
すそご
)
に
靡
(
なび
)
く。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
奉書だったか鳥の子だったか何でも立派な紙で、
錦襴
(
きんらん
)
の表装が施してあり、一冊の厚さ二寸に近く、夫が十冊揃っている。
木曽駒と甲斐駒
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
▼ もっと見る
アパルトマンに引越して来てから、白地
錦襴
(
きんらん
)
の包みものは、夫婦の寝台の枕元の台の上におかれているのだった。
道標
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
夜
(
よる
)
のやうな
漠
(
ばく
)
とした憂愁の影に包まれて、色と音と
薫香
(
くんかう
)
との感激をもて一糸を乱さず織りなされた
錦襴
(
きんらん
)
の
帷
(
とばり
)
の粛然として垂れたるが如くなれと心に念じた。
黄昏の地中海
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
錦襴
(
きんらん
)
の
裃
(
かみしも
)
をつけた美しい娘手品師が、手を挙げれば手の先から、足をあげれば足の先から、扇子を開けば扇子から、裃の角からも、袴のひだからも水が吹き出す。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そうしてその上には怪しげな
楊柳観音
(
ようりゅうかんのん
)
の軸が、
煤
(
すす
)
けた
錦襴
(
きんらん
)
の
表装
(
ひょうそう
)
の中に
朦朧
(
もうろう
)
と
墨色
(
ぼくしょく
)
を弁じていた。
疑惑
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
神像のうしろには
錦襴
(
きんらん
)
の幕が、だらりとひだをなしてかかっていたが、龕灯の光に照らされて、その刺繍が浮き出していた。
逞
(
たくま
)
しい両性の肉体が、からみ合っている刺繍である。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
私に
宛
(
あ
)
てた紅葉の手紙が
錦襴
(
きんらん
)
表装の軸となって床の間に掛けてあったと知らせて来た。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
無論
(
むろん
)
それは
言
(
い
)
わば
刀
(
かたな
)
の
精
(
せい
)
だけで、
現世
(
げんせ
)
の
刀
(
かたな
)
ではないのでございましょうが、しかしいかに
査
(
しら
)
べて
見
(
み
)
ても、
金粉
(
きんぷん
)
を
散
(
ち
)
らした、
濃
(
こ
)
い
朱塗
(
しゅぬ
)
りの
装具
(
つくり
)
といい、
又
(
また
)
それを
包
(
つつ
)
んだ
真紅
(
しんく
)
の
錦襴
(
きんらん
)
の
袋
(
ふくろ
)
といい
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
行家は、肌身に奉じて来た宮の
御文
(
おんふみ
)
を
錦襴
(
きんらん
)
の
嚢
(
ふくろ
)
ぐるみ、額に拝んで持ち出し
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼岸の
中日
(
ちゅうにち
)
には、その原稿がもうたいていできかかっていた。その日は本堂の如来様にはめずらしく
蝋燭
(
ろうそく
)
がともされて、和尚さんが朝のうち一時間ほど、紫の衣に
錦襴
(
きんらん
)
の
袈裟
(
けさ
)
をかけて
読経
(
どきょう
)
をした。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
いちばん前の列に、なんだか白い
法衣
(
ころも
)
と
錦襴
(
きんらん
)
のかざりが日にかがやいているのをわたしは見た。これはぼうさんたちで、
鉱山
(
こうざん
)
の口へ来て、わたしたちの
救助
(
きゅうじょ
)
のためにおいのりをしてくれたのであった。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
侍女二
錦襴
(
きんらん
)
の服を着けて、青い
頭巾
(
ずきん
)
を
被
(
かぶ
)
りました、立派な
玉商人
(
たまあきんど
)
の売りますものも、
擬
(
にせ
)
が多いそうにございます。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
女の方は
白粉
(
おしろい
)
や
頬紅
(
ほおべに
)
で化粧を
凝
(
こら
)
し、髪はその頃流行の耳かくしに
結
(
ゆ
)
い、
飛模様
(
とびもよう
)
の着物に
錦襴
(
きんらん
)
のようなでこでこな
刺繍
(
ししゅう
)
の
半襟
(
はんえり
)
をかけ
甲高
(
かんだか
)
な調子で笑ったりしている
側
(
そば
)
に
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その坊さんたちの仰々しい
錦襴
(
きんらん
)
の装いや、不動明王御本尊と記した
旗幟
(
はたのぼり
)
が、いかにも景気がよいものですから、お絹も足をとどめて、人の肩からちょっとのぞいて見ますと
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それから
錦襴
(
きんらん
)
の帯、はこせこの銀鎖、白襟と順を追って、
鼈甲
(
べっこう
)
の
櫛笄
(
くしこうがい
)
が重そうに光っている高島田が眼にはいった時、私はほとんど息がつまるほど、絶対絶命な恐怖に圧倒されて
疑惑
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
またもう一名は、古物だが、
錦襴
(
きんらん
)
の
腰帯
(
こしあて
)
に、おなじく
大刀
(
だんびら
)
を
帯
(
たい
)
し、
麻沓
(
あさぐつ
)
の足もかろげに、どっちもまず、伊達な男ッ振りといえる旅の二人が、何か、笑い声を交わしながら峠を北へ降りかけて来た。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
床の間には
肩衣
(
かたぎぬ
)
をした武将の像が一つ、
錦襴
(
きんらん
)
の表装の中に、
颯爽
(
さっそう
)
たる英姿を現わしている。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
錦
常用漢字
中学
部首:⾦
16画
襴
漢検1級
部首:⾐
22画
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錦襴地
錦襴手