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じんらい
ふりがな文庫
“
迅雷
(
じんらい
)” の例文
と、声色共に
厲
(
はげ
)
しく、
迅雷
(
じんらい
)
まさに来らんとして風雲大いに動くの概があった。これを聴いたパピニアーヌスは
儼然
(
げんぜん
)
として
容
(
かたち
)
を正した。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
それ御前の
御機嫌
(
ごきげん
)
がわるいといえば、台所の
鼠
(
ねずみ
)
までひっそりとして、
迅雷
(
じんらい
)
一声奥より響いて耳の太き下女手に持つ
庖丁
(
ほうちょう
)
取り落とし
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
雷横の刀術に、
鳳
(
おおとり
)
の
概
(
がい
)
があれば、赤髪鬼の野太刀にも、羽を
搏
(
う
)
つ鷹の響きがあった。赤髪の影が
旋風
(
つむじ
)
に沈めば、
迅雷
(
じんらい
)
の姿が、彼の上を躍ッて跳ぶ。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
茫然
(
ぼうぜん
)
自失している彼等の前に、疾風
迅雷
(
じんらい
)
のように乗り込んで来たのは皮肉にも南部の藩士である。没収を宣言された彼らの土地や家屋には
主
(
あるじ
)
は無い筈であった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
そして一年のある月と同じく、
生涯
(
しょうがい
)
のある年齢は、きわめて多くの電気を飽和しているので、
迅雷
(
じんらい
)
がそこに生じてくる——随意にでなくとも——少なくとも期待する時に。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
▼ もっと見る
二万五千六百
尺
(
呎
)
の雪峰 であって
巍然
(
ぎぜん
)
として波動状の山々の上に聳えて居る様はいかにも素晴らしい。その辺へ着きますと
閃々
(
せんせん
)
と電光が輝き渡り
迅雷
(
じんらい
)
轟々
(
ごうごう
)
と耳を
劈
(
つんざ
)
くばかり。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
迅雷
(
じんらい
)
を
掩
(
おお
)
うに
遑
(
いとま
)
あらず、女は突然として
一太刀
(
ひとたち
)
浴びせかけた。余は全く
不意撃
(
ふいうち
)
を
喰
(
く
)
った。無論そんな事を聞く気はなし、女も、よもや、ここまで
曝
(
さら
)
け出そうとは考えていなかった。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
海賊船
(
かいぞくせん
)
は
此時
(
このとき
)
砲戰
(
ほうせん
)
もどかしとや
思
(
おも
)
ひけん、
中
(
なか
)
にも
目立
(
めだ
)
つ
三隻
(
さんせき
)
四隻
(
しせき
)
は
一度
(
いちど
)
に
船首
(
せんしゆ
)
を
揃
(
そろ
)
へて、
疾風
(
しつぷう
)
迅雷
(
じんらい
)
と
突喚
(
とつくわん
)
し
來
(
きた
)
る、
劍戟
(
けんげき
)
の
光
(
ひかり
)
晃
(
きらめ
)
く
其
(
その
)
甲板
(
かんぱん
)
には、
衝突
(
しやうとつ
)
と
共
(
とも
)
に
本艦
(
ほんかん
)
に
乘移
(
のりうつ
)
らんず
海賊
(
かいぞく
)
共
(
ども
)
の
身構
(
みがまへ
)
。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
室に入れば野人斗酒を酌んで樽を撃ち、皿を割り、四壁に轟く
濁声
(
だくせい
)
をあげて叫んで曰く、ザールの首を
肴
(
さかな
)
にせむと。この声を聞かずや、無限の感激は
迸
(
ほとば
)
しつて
迅雷
(
じんらい
)
の如く四大を響動せんとす。
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
その
迅雷
(
じんらい
)
風烈を放ち出す手は、また一隻の雀をだに故なくして地に
墮
(
おと
)
すことなきなり。わが久しき間の經歴は我前に現じて一瞬時の事蹟に同じく、神の
扶掖嚮導
(
ふえききやうだう
)
の絲は
分明
(
ぶんみやう
)
に辨識せられたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
本阿弥
(
ほんあみ
)
の
折紙
(
をりかみ
)
古今
(
ここん
)
に変ず。
羅曼
(
ロマン
)
派起つてシエクスピイアの名、四海に轟く事
迅雷
(
じんらい
)
の如く、羅曼派亡んでユウゴオの作、八方に
廃
(
すた
)
るる事
霜葉
(
さうえふ
)
に似たり。茫々たる
流転
(
るてん
)
の
相
(
さう
)
。目前は泡沫、
身後
(
しんご
)
は夢幻。
骨董羹:―寿陵余子の仮名のもとに筆を執れる戯文―
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
深山越
(
みやまごし
)
の峠の茶屋で、
凄
(
すさま
)
じき
迅雷
(
じんらい
)
猛雨に逢って、
遁
(
に
)
げも、引きも、ほとんど
詮術
(
せんすべ
)
のなさに、飲みかけていた
硝子盃
(
コップ
)
を電力遮断の悲哀なる焦慮で、
天窓
(
あたま
)
に
被
(
かぶ
)
ったというのを、改めて思出すともなく
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
学校友達と
名宣
(
なの
)
りし客はその
言
(
ことば
)
の如く重ねて
訪
(
と
)
ひ
来
(
き
)
ぬ。不思議の対面に
駭
(
おどろ
)
き惑へる貫一は、
迅雷
(
じんらい
)
の耳を
掩
(
おほ
)
ふに
遑
(
いとま
)
あらざらんやうに
劇
(
はげし
)
く吾を失ひて、
頓
(
とみ
)
にはその
惘然
(
ぼうぜん
)
たるより覚むるを得ざるなりき。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
迅雷
(
じんらい
)
と電光とのみなぎった黒影が頭上をおおうのを感じた。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
怖るべき
早技
(
はやわざ
)
で、一人を斬り、一人を蹴仆し、疾風
迅雷
(
じんらい
)
に駈け去った弦之丞の姿は、時既に、遠い闇に消えていた。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
けれども雲の軍勢が
鬱然
(
うつぜん
)
と勃起し、時に
迅雷
(
じんらい
)
轟々
(
ごうごう
)
として山岳を震動し、電光
閃々
(
せんせん
)
として凄まじい光を放ち、
霰丸
(
さんがん
)
簇々
(
そうそう
)
として矢を射るごとく降って参りますと修験者は必死となり
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
北条方でも、もちろん、
迅雷
(
じんらい
)
の急とは予測していたろうが、こうまでとは、考えきれなかったものとみえる。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
仏ヶ根山も、前山も、それと同時に、
迅雷
(
じんらい
)
のとどろきを発し、雲を吐くように、弾けむりを、白くひいた。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
寸断された
百足虫
(
むかで
)
のように、輜重車は、なだれくだって、谷間のふところへ出た。ここにも待っていた一隊の敵があった。許褚の影を見かけるや否、その敵将は、
迅雷
(
じんらい
)
一電
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「兄貴、その敵は、おれにくれ」と、張飛が見つけて、
迅雷
(
じんらい
)
のようにかかって来た。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
序戦の立ち上がり——起——の疾風
迅雷
(
じんらい
)
の点では、
遺憾
(
いかん
)
なかったのであるが、勝家の六回の
諫使
(
かんし
)
も退けて、「キレ」を取らずに、
傲然
(
ごうぜん
)
、その夜も陣地を動かさずにいたことは、まさに
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“迅雷”の意味
《名詞》
迅 雷 (じんらい)
激しいかみなり。
(出典:Wiktionary)
迅
常用漢字
中学
部首:⾡
6画
雷
常用漢字
中学
部首:⾬
13画
“迅”で始まる語句
迅
迅速
迅足
迅風耳
迅業
迅風
迅兵
迅烈
迅衝隊
迅来