いつ)” の例文
いやうも永持ながもちはあるまいとおもはれる、ほとんど毎日まいにちぬといつとほ人間にんげんらしき色艷いろつやもなし、食事しよくじ丁度ちやうど一週間いつしうかんばかり一粒いちりふくちれることいに
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
帰りには、主僧は停車場まで人車くるまを用意して置いて呉れた。わかれを告げた時には日はもう暮れかけて居た。『もう、何うぞ——』私達はかういつて幾度も辞した。
百日紅 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
主人ながら友達ともだち共思ふ仲よしのかうはいつた物の、言過て病にさわりはせぬかと今更冷汗色をかえての心配顏、嬉敷うれしいに附我身のかひなさ堪兼たえかねて夜着に顏差入て忍なき
うづみ火 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
「おれのつのはなんてうつくしいんだらう。だが、このあしほそいことはどうだろう、もすこしふとかつたらなア」と独語ひとりごといつた。そこへ猟人かりうどた。おどろいて鹿しかげだした。
殺した時其方そつち利根川とねがはへ死骸を打込うちこまふといつたら三五郎が言には川へ流しては後日ごにち面倒めんだうだ幸ひ此彌十に頼んで火葬くわさうもらへば死骸しがいも殘さず三人の影もかたちも無なるゆゑ金兵衞を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
出家しゆつけのいふことでも、おしへだの、いましめだの、説法せつぱふとばかりはかぎらぬ、わかいの、かつしやい、といつかたした。あとくと宗門しうもん名誉めいよ説教師せつけうしで、六明寺りくみんじ宗朝しうてうといふ大和尚だいおしやうであつたさうな。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「四十六せんりんいくらとかいつたつけな」おしなすぐにいつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
殘らず白状はくじやうすべしとするどく問糺とひたゞされしかば段右衞門は此時このときはじめてハツトいつ歎息たんそくなしまこと天命てんめいは恐ろしきものなり然ば白状つかまつらんと居なほり扨も權現堂ごんげんだうつゝみに於て穀屋平兵衞を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)