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街衢
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がいく
ふりがな文庫
“
街衢
(
がいく
)” の例文
街衢
(
がいく
)
に罪福を説いたりしたがために、釈教に背き法令を犯すものとして罰せられ、枳林に禁錮されたとさえ言われているのである。
俗法師考
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
街衢
(
がいく
)
はよく整頓され、家屋も道路も清潔に保たれてはあるが、なんだか方程式を見るような都市で、それ以上でもなければ、それ以下でもない。
レンブラントの国
(新字新仮名)
/
野上豊一郎
(著)
そして通りがかりに最初見てとったもの、無様式な新しい
街衢
(
がいく
)
や四角な大建築などは、もっとローマを知りたいとの念を起こさせはしなかった。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
摂待というのは「仏寺あるいは
街衢
(
がいく
)
にて往来の人に茶湯を施すこと」と歳時記にある。日は別に
定
(
きま
)
っておらぬらしい。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
堀割に沿うて造られた
街衢
(
がいく
)
の
井然
(
せいぜん
)
たることは、松江へはいるとともにまず自分を驚かしたものの一つである。
松江印象記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
震災後
街衢
(
がいく
)
が段々立派になり、電車線路を隔てた栄久町の側には近代茶房ミナトなどという看板も見えているし、浄土宗浄念寺も立派に
建立
(
こんりゅう
)
せられているし
三筋町界隈
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
日は
明
(
あか
)
くヱネチアの
市
(
まち
)
を照して、寺々の鐘は皆鳴り響けり。されど
街衢
(
がいく
)
は
闃
(
げき
)
として人影なきに似たり。
船渠
(
せんきよ
)
を覗へば、只だ一舟の
横
(
よこたは
)
れるありて、こゝにも人を見ざりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
張昺等を北平城の内外に分ち、甲馬は
街衢
(
がいく
)
に
馳突
(
ちとつ
)
し、
鉦鼓
(
しょうこ
)
は
遠邇
(
えんじ
)
に
喧鞠
(
けんきく
)
し、臣が府を囲み守る。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
江戸繁華の
街衢
(
がいく
)
を行くものもまた路傍の犬と共に長き日を暮らしかぬるが如き態度を示せり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
此方
(
こなた
)
の
街衢
(
がいく
)
に輝いて居れば、対岸には宏壮のビルディングが、——上海製糸、川崎ドック、英米煙草会社、日華
紗廠
(
さしょう
)
、そういったビルディングが窓々から、強い光度の電燈を
さまよう町のさまよう家のさまよう人々
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そして風の強い
街衢
(
がいく
)
を一時間近く走り続けた。その間栄介は腕組みをしたまま、一言も口をきかなかった。やがて車は銀杏並木の道を走っていた。途中で右折すると、並木は
欅
(
けやき
)
に変る。
狂い凧
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
海辺に
家宅
(
かたく
)
ある士民、老幼婦女の立退かんとて家財雑具を持運ぶ様、さしもにひろき府下の
街衢
(
がいく
)
も、奔走狼狽して
錐
(
きり
)
を立つべき処もなし。
訛言
(
かげん
)
随
(
したが
)
って沸騰し、人心
恟々
(
きょうきょう
)
として定まらず。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
すべての夜の
街衢
(
がいく
)
のよそおいが晴晴しく輝いて、私どもの健康なからだに触れるものを懐しがった。美しい逞しい女の散歩する姿もひとりでに今夜は、わけてもしめやかに眼にうつった。
或る少女の死まで
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
天
(
てん
)
未
(
いまだ
)
に
闇
(
くら
)
し。
東方
(
とうはう
)
臥龍山
(
ぐわりうざん
)
の
巓
(
いたゞき
)
少
(
すこ
)
しく
白
(
しら
)
みて、
旭日
(
きよくじつ
)
一帶
(
いつたい
)
の
紅
(
こう
)
を
潮
(
てう
)
せり。
昧爽
(
まいさう
)
氣
(
き
)
清
(
きよ
)
く、
神
(
しん
)
澄
(
す
)
みて、
街衢
(
がいく
)
縱横
(
じうわう
)
の
地平線
(
ちへいせん
)
、
皆
(
みな
)
眼眸
(
がんぼう
)
の
裡
(
うち
)
にあり。
然
(
しか
)
して
國主
(
こくしゆ
)
が
掌中
(
しやうちう
)
の
民
(
たみ
)
十萬
(
じふまん
)
、
今
(
いま
)
はた
何
(
なに
)
をなしつゝあるか。
鉄槌の音
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
列車の窓が次々に送り迎える
巍然
(
ぎぜん
)
たる
街衢
(
がいく
)
、その街衢と街衢との切れ目毎にちらつく議事堂の
尖塔
(
せんとう
)
を遠望すると、今更に九年の歳月と云うものの長さ、———その間には帝都の
変貌
(
へんぼう
)
のみならず
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
京都の諸坊、諸司、諸衛が、おのおの一団となって、田楽を踊りながら、寺へ
詣
(
まい
)
り、
街衢
(
がいく
)
をうろつくのである。高足一足、腰鼓、振鼓、
銅鈸子
(
どびょうし
)
、
編木
(
びんざさら
)
、
殖女養女
(
うえめかいめ
)
の類、日夜絶ゆることなしとある。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
見えない街路の中に行動してる密集した軍隊の
気配
(
けはい
)
、おりおり高まる騎兵の疾駆する音、砲兵の行進する重いとどろき、パリー
街衢
(
がいく
)
に交差する銃火と砲火、屋根の上に立ち上ってゆく金色の
戦塵
(
せんじん
)
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
車はさっき乗って来た
街衢
(
がいく
)
を、逆にしごいて走る。五郎は忙しく地図の形を頭に浮べていた。二十年前のここらは、すっかり爆撃にやられて、骨組みだけの建物と瓦礫だけの町であった。
幻化
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
黒田権少属、熊城史生出デヽ
郛門
(
ふもん
)
ニ迎フ。コノ地原ハ仙台ノ支族伊達
安芸
(
あき
)
ノ居所ニ係ル。
街衢
(
がいく
)
井然
(
せいぜん
)
トシテ
商估肆
(
しょうこし
)
ヲ
列
(
つら
)
ネ隠然トシテ一諸侯ノ城邑ノ如シ。今春土浦ノ藩士朝命ヲ以テ来リ鎮ス。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
街衢
(
がいく
)
の地割の
井然
(
せいぜん
)
たるは、幾何學の圖を
披
(
ひら
)
きたる如く、軒は同じく出で、
梯
(
はしご
)
は同じく高く、家々の並びたるさまは、檢閲のために列をなしたる兵卒に殊ならず。清潔なることはいかにも清潔なり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
小僧行基及びその徒弟等、
街衢
(
がいく
)
にて妄りに罪禍を説き、朋党を構えて
指臂
(
しひ
)
を
焚剥
(
ふんぱく
)
せしめ、諸家を歴訪仮説して強いて余物を乞い、聖道を詐称し
百姓
(
ひゃくせい
)
を妖惑する。ために道俗
擾乱
(
じょうらん
)
し四民は業を棄てる。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
オペラは欧洲の本土に在っては風雪
最
(
もっとも
)
凛冽
(
りんれつ
)
なる冬季にのみ興行せられるのが例である。それ故わたくしの西洋音楽を聴いて直に想い起すものは、深夜の燈火に照された雪中
街衢
(
がいく
)
の光景であった。
帝国劇場のオペラ
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
古劇場の
觀棚
(
さじき
)
の如し。當面には細長き一條の町ありて通ず。熔巖の板を敷けること拿破里の
街衢
(
がいく
)
と異なることなし。
蓋
(
けだ
)
しこの板は遠く彼基督紀元七十九年の前にありて噴火せし時の遺物なるべし。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
しかしこれら市中の溝渠は大かた大正十二年
癸亥
(
きがい
)
の震災前後、
街衢
(
がいく
)
の改造されるにつれて、あるいは埋められ、あるいは暗渠となって地中に隠され、旧観を存するものは殆どないようになった。
葛飾土産
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
西洋文明を
模倣
(
もほう
)
した都市の光景もここに至れば驚異の極、何となく一種の悲哀を催さしめる。この悲哀は
街衢
(
がいく
)
のさまよりもむしろここに生活する女給の境遇について、更に一層痛切に感じられる。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
銀座は極東帝国の
街衢
(
がいく
)
なり尚武の国風自らステッキに現わる。
偏奇館漫録
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
街
常用漢字
小4
部首:⾏
12画
衢
漢検1級
部首:⾏
24画
“街”で始まる語句
街
街道
街路
街燈
街上
街頭
街中
街角
街々
街樾