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融通
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ゆうずう
ふりがな文庫
“
融通
(
ゆうずう
)” の例文
その帆村から、若い女探偵の
助力
(
じょりょく
)
を得たいことがあるから、誰か
融通
(
ゆうずう
)
してくれといってきたんだ。どうだ、君ひとつ、行ってくれんか
什器破壊業事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
もじもじしながら、私は
質種
(
しちぐさ
)
を出して金の
融通
(
ゆうずう
)
を頼んだ。番頭は小うるさそうにしていたが、私の顔をじろじろと眺めながら言った。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
鬱勃
(
うつぼつ
)
たる事業慾を押えることが出来ず、彼は山林の一部を
抵当
(
ていとう
)
にして信用会社から資本の
融通
(
ゆうずう
)
を受け、
糞尿汲取事業
(
ふんにょうくみとりじぎょう
)
を開始した。
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
むしろ、まことにけっこうなことだろうと思うんだが、なにしろ、法月様ときた日にゃ、そこになると、まったく
融通
(
ゆうずう
)
が
利
(
き
)
かねえからなあ
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
乙
(
おつ
)
さん、あまりたくさんな
金
(
かね
)
は
融通
(
ゆうずう
)
もできないが、すこしくらいならいたしましょう。」と、ある
日
(
ひ
)
、
甲
(
こう
)
は
乙
(
おつ
)
にいいました。
一本の釣りざお
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
朝霞の兄弟も泰文の弟の
権僧正光覚
(
ごんのそうじょうこうかく
)
も、いずれも
融通
(
ゆうずう
)
のきかない凡骨ぞろいで、事件のおさまりをあきたらなく思っていた。
無月物語
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
どうして/\、モオパッサンは彼等のような
融通
(
ゆうずう
)
のきかない、平面描写や
無技巧主義
(
むぎこうしゅぎ
)
の小説なんぞを書いては居ない。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「七月末が限度だった。無理もない。それでもあの時には何うにも
融通
(
ゆうずう
)
がつく積りだったんだから、おれも図々しい」
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
といって、お糸さんに迷ってから、散々無理を仕尽した今日此頃、もう
一文
(
もん
)
の
融通
(
ゆうずう
)
の余地もなく、又余裕もない。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
ツイ父親に
内証
(
ないしょ
)
で五百両という大金を染五郎の一存で
融通
(
ゆうずう
)
したことなどが知れたためだと言われております。
銭形平次捕物控:137 紅い扱帯
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ルピック氏——
融通
(
ゆうずう
)
のきかないちっぽけな人類だよ、お前は。その理窟は、
屁
(
へ
)
みたいだ、そりゃ。人の心が、いちいち奥底まで、お前にはっきり見えるかい?
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
而
(
しこう
)
して遂に彼の発議により、寛永
打払
(
うちはらい
)
令を修正して、外舶の
来
(
きた
)
るものにはその来意を
質
(
ただ
)
し、漂流船には、
薪水
(
しんすい
)
食料を供して立ち退かしむるの
融通
(
ゆうずう
)
法を設けたり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
理由は云わずと知れたことじゃ! いったいその方という人間は、いやに馬鹿堅くて
融通
(
ゆうずう
)
が
利
(
き
)
かぬ。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ちょうど非番の日で、菖助は家にいて、半蔵らの立ち寄ったことをひどくよろこんだ。この人は伏見屋あたりへ金の
融通
(
ゆうずう
)
を頼むために、馬籠の方へ見えることもある。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
融通
(
ゆうずう
)
の利かぬ男じゃから、
帯刀
(
たてわき
)
と談合の上、
丁度
(
ちょうど
)
、感応院の蔵の中に、宝沢の笠のあったのを幸い、犬の血をつけて、切り目を作っての、越前の下役共の先廻りをして
大岡越前の独立
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
それで幸い今度転任者が一人出来るから——もっとも校長に相談してみないと無論受け合えない事だが——その俸給から少しは
融通
(
ゆうずう
)
が出来るかも知れないから、それで都合を
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
女郎屋の朝の居残りに
遊女
(
おんな
)
どもの顔を
剃
(
あた
)
って、
虎口
(
ここう
)
を
遁
(
のが
)
れた床屋がある。——それから見れば、旅籠屋や、温泉宿で、上手な仕立は
重宝
(
ちょうほう
)
で、六の名は
七
(
しち
)
同然、
融通
(
ゆうずう
)
は利き過ぎる。
浮舟
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
知らない。不親切きわまる。切符の手違いとわかったら、できないまでも、いちおう車室の
融通
(
ゆうずう
)
を考えてみるのが至当じゃないか——まあま、貴女もそう泣くことはないでしょう。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
意志に
礙
(
とどこお
)
って肉情はほとんどその方へ
融通
(
ゆうずう
)
してしまった木人のような復一はこれを見るとどうやらほんのり世の中にいろ気を感じ、珍らしく独りでぶらぶら六本木の夜町へ散歩に出たり
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
モンローの宣言は立派に文字になって残っているけれども、法律というわけではなし、文章も
融通
(
ゆうずう
)
がきくようにできているので、取りようによっては、どうにでも伸縮する事ができるのです。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
俺は、そう聴いたときに、
此
(
こ
)
の一軸で一時の窮境を逃れようと思ったのだ。素晴らしい逸品だ、
殊
(
こと
)
に俺の手から持って行けば、三万や五万は、
直
(
す
)
ぐ
融通
(
ゆうずう
)
が出来ると思ったのだ。果して融通は出来た。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
中田に通うころに和尚さんに
融通
(
ゆうずう
)
してもらった二円も返さなかった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
融通
(
ゆうずう
)
の利く男でない。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「——まったく、いいご身分だよ、男ってものはね。金も力も、なくても、亭主づらして威張ってられるんだものね。そこへいくと、女なんてかわいそうなものさ。棺おけにかた足つっこむほどの年になっても、女中になと子もりになと
融通
(
ゆうずう
)
がきくんだからね。」
雑居家族
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
「はやく、どうかしてやらなくちゃいけねえ。預かってる七十両を、俺が、
融通
(
ゆうずう
)
でもしちまったように思ってるんじゃねえか」
脚
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「それです、妻籠の方で
融通
(
ゆうずう
)
がつくかと思いましてね、今、今、そのことを寿平次さんにも頼んで見たところです。妻籠にも米がないとすると、山口はどうでしょう。」
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「お祖父さんがもう少し
融通
(
ゆうずう
)
の
利
(
き
)
く人だったら、お前も子爵夫人になっているのになあ」
小問題大問題
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
松前様のお金を
融通
(
ゆうずう
)
して、一代に万という金を
拵
(
こしら
)
えたが、主人三郎兵衛は、女房のお駒と、小さい娘のお君を
遺
(
のこ
)
して五年前に病死——それにも変な
噂
(
うわさ
)
がありますが、ともかくも
銭形平次捕物控:282 密室
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
あの
未曾有
(
みぞう
)
の
超々大戦果
(
ちょうちょうだいせんか
)
こそ、金博士が日本軍に対し、博士の発明になる
驚異
(
きょうい
)
兵器を
融通
(
ゆうずう
)
されたる結果であろうという
巷間
(
こうかん
)
の評判ですが、どうですそれに違いないと一言いってください
不沈軍艦の見本:――金博士シリーズ・10――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
けれど、何といってもここは身内の家であるから多少の時間の
融通
(
ゆうずう
)
はついた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
金の出所は全くとだえてしまっていたから。岡がしきりと
融通
(
ゆうずう
)
しようと申し出たのもすげなく断わった。弟同様の少年から金まで融通してもらうのはどうしても葉子のプライドが承知しなかった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
私の
考
(
かんがえ
)
によると、責任を解しない金力家は、世の中にあってならないものなのです。その訳を一口にお話しするとこうなります。金銭というものは至極重宝なもので、何へでも自由自在に
融通
(
ゆうずう
)
が利く。
私の個人主義
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
どうも貴公は、何事もすぐそのまま、真正直に考えるので
融通
(
ゆうずう
)
がきかん。もとよりこの婚儀は初めから謀略にきまっている。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
正金を
融通
(
ゆうずう
)
したり米穀を輸入したりして時局を救おうとする当局者の奮闘は悲壮ですらある。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
現に俺の知っている重役は一番や二番を集めたら
融通
(
ゆうずう
)
の利かないのばかり揃って困ったと言っている。
真正
(
ほんとう
)
に使えるのは勉強しないで十番どころを占めている実力家だそうだよ。
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「
融通
(
ゆうずう
)
のきかねえ野郎だ、兎も角、今のうちから心掛けて、カラ咳でもして居るがいい」
銭形平次捕物控:246 万両分限
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
顔色を変えてカンカン寅の留守宅へ行って、いままでの事情を話すと共に、この際是非に
融通
(
ゆうずう
)
を頼むと
歎願
(
たんがん
)
をした。しかし留守を預る人達は、老人の話を鼻であしらって追いかえした。
疑問の金塊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「少しばかりでいいんです、一つ
融通
(
ゆうずう
)
してください」
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「どうにかなるよ。世の中はそんな
融通
(
ゆうずう
)
の
利
(
き
)
かねえものじゃない。愚痴を云ったって始まるもんか」
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
請書
(
うけしょ
)
は出した。今度は帰りじたくだ。半蔵らは東片町にある山村氏の屋敷から一時旅費の
融通
(
ゆうずう
)
をしてもらって、長い
逗留
(
とうりゅう
)
の間に不足して来た一切の支払いを済ませることにした。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「幸い石川様が
融通
(
ゆうずう
)
して下すって研屋の
身上
(
しんしょう
)
を建て直したようなわけでございます」
銭形平次捕物控:072 買った遺書
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
融通
(
ゆうずう
)
が利くというのか、それからそれと考えて妙な理窟をつける」
人生正会員
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
むしろその寡黙や沈剛の風を愛するのではございますが、どうもその……
融通
(
ゆうずう
)
がききません。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何んかの
手蔓
(
てづる
)
で田原屋から千と
纏
(
まとま
)
った大金を
融通
(
ゆうずう
)
してもらい、それでようやく稼業は立ち直ったが、その恩があるから、田原屋の言うことなら、どんな無理なことでも
否
(
いや
)
とは言えない
銭形平次捕物控:200 死骸の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
実は八月一杯と吹っかけたいんだが、せめて中旬までガヷナーの御機嫌を繋いで貰えまいか? 昨日の権幕では
覚束
(
おぼつか
)
ない限りだが、マザーを説いてくれ給え。八月は
閑
(
ひま
)
なんだぜ。
融通
(
ゆうずう
)
は充分つくんだ。
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
どうにも
融通
(
ゆうずう
)
のきかねえ人間だった。——それにひきかえ、この三蔵は、親に
似気
(
にげ
)
なき
天晴
(
あっぱ
)
れ者と、きのうも直々、池田入道勝入さまから、お褒めのことばを頂戴し……さ。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
融通
(
ゆうずう
)
が利かないんですね?」
嫁取婿取
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
家財は
固
(
もと
)
より持物を売り尽し、まったく身一つになっている者が大部分だし、又、生活力のない者には、多少余裕のあった者から
融通
(
ゆうずう
)
しているので、これも
忽
(
たちま
)
ち
枯渇
(
こかつ
)
してしまう有様なのだ。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
融
常用漢字
中学
部首:⾍
16画
通
常用漢字
小2
部首:⾡
10画
“融通”で始まる語句
融通性
融通等
融通変化
融通無碍
融通無礙
融通黙会