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からま
ふりがな文庫
“
絡
(
からま
)” の例文
戸をあけて
宅
(
うち
)
へ入らうとすると、闇の中から、
哀
(
あはれ
)
な細い
啼聲
(
なきごゑ
)
を立てゝ、雨にビシヨ/\濡れた飼猫の三毛が
連
(
しきり
)
に
人可懷
(
ひとなつかし
)
さうに
絡
(
からま
)
つて來る。
絶望
(旧字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
愛情はまだ参木の後姿に
絡
(
からま
)
ったまま、沈み出した。すると、お杉は通りかかった
黄包車
(
ワンポウツ
)
を呼びとめて、参木の面前を
馳
(
か
)
け抜いた。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
喬生の手首には金蓮の手が
絡
(
からま
)
ってきた。喬生はその手を振り放して逃げようとしたが逃げられなかった。金蓮は強い力でぐんぐんと引張った。
牡丹灯記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
Kはキラキラと輝く光線の中にその白い素足の小さく、しかも割合に早く、浴衣の裾に
絡
(
からま
)
るやうにして動いて行くのをじつと見詰めながら徐かに歩いた。
浴室
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
と
思
(
おも
)
ひながら
瓜井戸
(
うりゐど
)
の
野
(
の
)
の
眞中
(
まんなか
)
に、
一人
(
ひとり
)
で
頭
(
あたま
)
から
悚然
(
ぞつと
)
すると、する/\と
霞
(
かすみ
)
が
伸
(
の
)
びるやうに、
形
(
かたち
)
は
見
(
み
)
えないが、
自分
(
じぶん
)
の
居
(
ゐ
)
まはりに
絡
(
からま
)
つて
啼
(
な
)
く
猫
(
ねこ
)
の
居
(
ゐ
)
る
方
(
はう
)
へ
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
孔明自身の四輪車すら、煙に巻かれ、炎に迷い、あやうく敵中につつまれ
絡
(
からま
)
るところを、関興、張苞に救われて、ようやく死中に一路を得たほどであった。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かく言捨てて蒲田は片手して
己
(
おのれ
)
の帯を解かんとすれば、時計の
紐
(
ひも
)
の
生憎
(
あやにく
)
に
絡
(
からま
)
るを、
躁
(
あせ
)
りに躁りて引放さんとす。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
彼に
絡
(
からま
)
る記憶が一族の将来に対して何事かを暗示していたような気がしてならないのである。
三等郵便局
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
文錦
(
あやにしき
)
やさしき
眉
(
まゆ
)
に切り結ぶ火花の相手が、相手にならぬと見下げられれば、手を出す必要はない。
取除者
(
とりのけもの
)
を仲間に入れてやる親切は、取除者の方で、うるさく
絡
(
からま
)
ってくる時に限る。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
唯
一言
(
ひとこと
)
、手早く尻をからげてザブ/\と流れる小供の後を追ふ。小供は刻々
中流
(
おき
)
へ出る、間隔は三間許りもあらう。水は吉野の足に
絡
(
からま
)
る。川原に上つた小供らは声を限りに泣騒いだ。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
もう往来で凧を揚げるなと断られたから、乃公達は教会の
後手
(
うしろで
)
の
空地
(
あきち
)
へ行った。
暫時
(
しばらく
)
は工合が善かったが、
終
(
しまい
)
には乃公の凧が木に
絡
(
からま
)
ってしまった。いくら引張って見ても取れ様としない。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
今日となツては、父子爵は
最早
(
もはや
)
猶豫
(
ゆうよ
)
して居られぬと謂ツて、
猛烈
(
もうれつ
)
な
勢
(
いきほひ
)
で最後の
決心
(
けつしん
)
を
促
(
うなが
)
してゐる。で是等の事情がごツちやになツて、彼の頭にひツかゝり、
絡
(
からま
)
ツて
激
(
はげ
)
しい
腦神經衰弱
(
なうしんけいすゐじやく
)
を
惹起
(
ひきおこ
)
した。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
途中で道を失って、
何時
(
いつ
)
まで
経
(
た
)
っても出られない、
何処
(
どこ
)
をどう歩いたものか、この二時間あまりというものは、草を分けたり
蔓
(
つる
)
に
絡
(
からま
)
ったりして、無我夢中で道を求めたが、
益々
(
ますます
)
解らなくなるばかり
怪物屋敷
(新字新仮名)
/
柳川春葉
(著)
喬生の手首には金蓮の手が
絡
(
からま
)
って来た。喬生はその手を
揮
(
ふ
)
り放して逃げようとしたが逃げられなかった。金蓮は強い力でぐんぐんと引張った。
牡丹灯籠 牡丹灯記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
絡
(
からま
)
ったパイプの
蔓
(
つる
)
の間から、凄艶な工女がひとり参木の方を睨んでいた。参木は彼女の眼から狙われたピストルの鋭さを感じると高重に耳打ちした。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
と
思
(
おも
)
ひながら、
瓜井戸
(
うりゐど
)
の
野
(
の
)
の
眞中
(
まんなか
)
に、
一人
(
ひとり
)
で
頭
(
あたま
)
から
悚然
(
ぞつ
)
とすると、する/\と
霞
(
かすみ
)
が
伸
(
の
)
びるやうに、
形
(
かたち
)
は
見
(
み
)
えないが、
自分
(
じぶん
)
の
居
(
ゐ
)
まはりに
絡
(
からま
)
つて
鳴
(
な
)
く
猫
(
ねこ
)
の
居
(
ゐ
)
る
方
(
はう
)
へ
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
水は吉野の足に
絡
(
からま
)
る。川原に上つた子供らは聲を限りに泣き騷いだ。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
転がる人の上を越す足と、起き上る頭とが、同時に再び
絡
(
からま
)
って倒れると這い廻った。踏まれた蓬髪に傾いた頭が、疾風のように駈ける足先に蹴りつけられた。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
やがて登は、月の光のような
微暗
(
うすぐら
)
い
燈
(
ひ
)
の
点
(
つ
)
いた
室
(
へや
)
で女と寝そべって話している
己
(
じぶん
)
に気が
注
(
つ
)
いた。彼の手には女の手が
絡
(
からま
)
っていた。彼はまた酒のことを思いだした。
雑木林の中
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
小褄
(
こづま
)
を取った手に、
黒繻子
(
くろじゅす
)
の襟が緩い。胸が少しはだかって、褄を引揚げたなりに乱れて、こぼれた
浅葱
(
あさぎ
)
が長く
絡
(
からま
)
った、ぼっとりものの中肉が、帯もないのに、
嬌娜
(
しなやか
)
である。
鷭狩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼女たちは矢車草の紫の花壇と薔薇の花壇の間を朗かに笑いながら、朝日に
絡
(
からま
)
って歩いていった。噴水は彼女たちの行く手の
芍薬
(
しゃくやく
)
の花の上で、朝の虹を平然と噴き上げていた。
花園の思想
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
女は
起
(
た
)
って出て往った。登は出て往く女の紫色の
単衣
(
ひとえもの
)
の
絡
(
からま
)
った白い
素足
(
すあし
)
に眼をやりながら、前夜の女の足の感じをそれといっしょにしていた。彼はうっとりとなって考え込んでいた。
雑木林の中
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
絡
常用漢字
中学
部首:⽷
12画
“絡”を含む語句
連絡
脈絡
掛絡
附絡
引絡
纏絡
足手絡
絡合
籠絡
手絡
聯絡
絡繹
経絡
絡繰
対外文化連絡協会
込絡
繽紛絡繹
袈裟掛絡
足絡
緋手絡
...