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究竟
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くっきょう
ふりがな文庫
“
究竟
(
くっきょう
)” の例文
しかし人間の仕事は人情ということを離れて外に目的があるのではない、学問も事業も
究竟
(
くっきょう
)
の目的は人情のためにするのである。
我が子の死
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
松火
(
たいまつ
)
を持った
甲冑
(
かっちゅう
)
武者が、その先頭に立っていた。後に続いた数十人の者は、いずれも
究竟
(
くっきょう
)
の若者であったが、一人残らず縛られていた。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
生かして返さぬまでも、
究竟
(
くっきょう
)
なとりことして、これを責め
折檻
(
せっかん
)
のすえ、敵状を知る手懸りとするなどは、武門の常識、
慣
(
なら
)
わしといってよい。
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
太子の念じ
給
(
たま
)
える「和」とは超政治的な「和」、
究竟
(
くっきょう
)
「
涅槃
(
ねはん
)
」であったと思う。僕はこの一語に宿る深い夢を思いつづけた。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
この血の跡を慕い行かばその行先を突留め得べきが、
単身
(
ひとり
)
にては気味悪しと、一まず家に立帰りて、近隣の
壮佼
(
わかもの
)
の
究竟
(
くっきょう
)
なるを四人ばかり語らいぬ。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
それは外記のためであるということが判ったので、かねて機会を待っていた大菱屋ではこれを
究竟
(
くっきょう
)
の口実にして、すぐに茶屋に通じて外記を
堰
(
せ
)
いた。
箕輪心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「そうじゃ、多数をもって一人をかこみ、じゃまを入れずに斬り伏せるには、あの草原こそ
究竟
(
くっきょう
)
、足場はよし、味方は地理を心得ておるしのう——」
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
それから老人や女は自殺し、幼いものはてんでに刺し殺した。それから庭に大きい穴を掘って
死骸
(
しがい
)
を埋めた。あとに残ったのは
究竟
(
くっきょう
)
の若者ばかりである。
阿部一族
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そう云う別世界こそ、身を
匿
(
かく
)
すには
究竟
(
くっきょう
)
であろうと思って、
此処彼処
(
ここかしこ
)
といろいろに捜し求めて見れば見る程、今迄通ったことのない区域が
到
(
いた
)
る
処
(
ところ
)
に発見された。
秘密
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
究竟
(
くっきょう
)
の
話敵御参
(
はなしがたきござん
)
なれと、こそこそと近づきを試みてみましたが、なんだか物凄くてうっかり近寄れません。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
此処
(
ここ
)
はスチームも通っていないし、冬になるととても寒いので余り人も通らず、先ず
究竟
(
くっきょう
)
の場所である。
雪雑記
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
当兵道のためには、
究竟
(
くっきょう
)
の機でござりますが、これが、或いは、一生の御別れになるかも知れませぬ
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
硯箱
(
すずりばこ
)
を持って彼女に近寄り、何を描こうかと思ってふと傍らを見ると、ギリシャ神話の本が開いたままになり、メデューサの首の絵が出ておりましたので、これ
究竟
(
くっきょう
)
と
メデューサの首
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
東京じゅうでこの公園ほど、犯罪者にとって
究竟
(
くっきょう
)
の隠れ場所はないともいえるんだ。ここは都会のジャングルだよ。和洋あらゆる種類の建物がゴタゴタと立ち並んでいる。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
この肉体さえも
仏陀
(
ぶっだ
)
と等しき不生不滅の性質や働きを得なければ
究竟
(
くっきょう
)
とは考えられなかった。
宝永噴火
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
結合なくして、
究竟
(
くっきょう
)
の美があり得ようか。工藝もまた、美の Order 宗団を求める。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
◯しかしながら天上におけるエホバ対サタンの対話の実否
如何
(
いかん
)
はしばらく別として、吾人キリスト者の実験に訴うる時は、この記事がその
究竟
(
くっきょう
)
的意味において至当たるを知るのである。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
一ノ瀬には宿屋は無いが
何
(
ど
)
の家でも大概は泊めて呉れる。信州の梓山は金峰山から甲武信岳に至る間の諸峰
及
(
および
)
十文字峠、三国山等へ登るには
究竟
(
くっきょう
)
な根拠地で、皆一日で上下することが出来る。
秩父の奥山
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
そういう申込みをするには、
究竟
(
くっきょう
)
の条件だと思っているようでもあった。
みずぐるま
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
悟空はかかる廃寺こそ
究竟
(
くっきょう
)
の
妖怪
(
ようかい
)
退治の場所だとして、進んで選ぶのだ。
悟浄歎異:―沙門悟浄の手記―
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
が、何はともあれ、樫田武平にとっては
究竟
(
くっきょう
)
の機会であった。
電気風呂の怪死事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
究竟
(
くっきょう
)
の稼ぎ場と考え付いた。
S岬西洋婦人絞殺事件
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
直覚説において直覚的に明であるというのは、人性の
究竟
(
くっきょう
)
的目的という如きものではなくて、行為の法則である。
善の研究
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
「どいつもまるで
血眼
(
ちまなこ
)
だ。ウム、この分では
明日
(
あした
)
は疲れる、その隙に天井裏を引ッ
剥
(
ぱ
)
いで逃げ出すには
究竟
(
くっきょう
)
だ」
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
究竟
(
くっきょう
)
の
捕虜
(
とりこ
)
、
遁
(
の
)
がしはせぬ! 引っ捕えて
逆
(
さか
)
さ
磔刑
(
はりつけ
)
、その覚悟あって参ったか? 返答致せ、えい、どうじゃ⁉
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
勿論、ほんとうの生首などがむやみに手に入るわけでもないのであるが、それに
究竟
(
くっきょう
)
の道具があった。ロイドは蝋細工の大きい人形を故郷から持って来ていた。
半七捕物帳:40 異人の首
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「斬る方では、こんなところが
究竟
(
くっきょう
)
だけれど、わざわざこんなところへ斬られに来る奴はあるまい」
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「
御救米
(
おすくいまい
)
が出るになぜ
来
(
こ
)
ない。」「下され物だ下され物だ。辞退は失礼に当るぞ。」「早く出ろ、直ぐに来い。」と声
嗄
(
か
)
るるまで触流すを、ござんなれと待居たる、
究竟
(
くっきょう
)
の
破落漢
(
あぶれもの
)
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
白髥橋上流には、遠く
千住
(
せんじゅ
)
大橋まで一つの橋もなく、しかも大川はその中間で
殆
(
ほとん
)
ど直角に折れ曲り、見通しが利かぬので、人知れずこの異様な流し物をするには、
究竟
(
くっきょう
)
の場所であったに相違ない。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ちょうど彼等の出る
路
(
みち
)
が、松林の多い、身を隠すのに
究竟
(
くっきょう
)
な物蔭のある、暗い別荘街であるのを知っていたので、そこならもっと傍へ寄っても、多分彼等に発見される恐れはないと思ったからです。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そうしてそれが東洋の静かな精神に適合したのは云うまでもない。それは美の宗教であった。あの「渋さ」の世界は、
老子
(
ろうし
)
の言葉を使えば「
玄
(
げん
)
」の世界と呼び得よう。「渋さ」は
究竟
(
くっきょう
)
な美の相である。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
……そこを狙って敵討ち本懐、おとげなされたら
究竟
(
くっきょう
)
一! ……ということになるではござらぬかな
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
油断なく見ていよう。ここは
究竟
(
くっきょう
)
な語り場所と申すもの。……さて、爺、卯木はどんな容子でいたか
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こう思って
各々
(
めいめい
)
は同じく山下へ入り込んで行きましたが、
究竟
(
くっきょう
)
と思う
木蔭
(
こかげ
)
山蔭
(
やまかげ
)
をも無事に通り抜けさして、ついに
鶯谷
(
うぐいすだに
)
、
新坂
(
しんざか
)
の下まで乗物を送って来てしまいました。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
棍棒
(
こんぼう
)
を取れる
屠犬児
(
いぬころし
)
、籠を担える屑屋、いずれも
究竟
(
くっきょう
)
の
漢
(
おのこ
)
、隊の左右に翼たり。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そこのところを埋合わせるには
究竟
(
くっきょう
)
な道庵先生である。この先生こそは江戸で名代の先生であって、酒を飲んでふざけてこそいるが、字学の出来ることは底が知れない。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
尊氏の逆心を証拠だてるにはこれ
究竟
(
くっきょう
)
なものである。ひと
束
(
たば
)
にして
僉議
(
せんぎ
)
の席へもちだされた。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
垂れ下したる
日蔽
(
ひおおい
)
は、これ
究竟
(
くっきょう
)
の
隠所
(
かくれどころ
)
と、泰助は雨戸とその幕の間に、
電
(
いなずま
)
のごとく身を隠しつ。と見れば正面の板床に、世に
希有
(
めずら
)
しき人形あり。人形の前に坐りたる、十七八の美人ありけり。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
桓武天皇
(
かんむてんのう
)
の
御代
(
みよ
)
、
巍石鬼
(
ぎせっき
)
という鬼が有明山に登って、その山腹なる
中房山
(
なかぶさやま
)
に温泉の湧くのを発見し、ここぞ
究竟
(
くっきょう
)
のすみかと、多くの手下を集めて、自ら八面大王と称し
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
切るには
究竟
(
くっきょう
)
な場所と、御舎弟さまには、はやそこで、お待ちうけにございまする
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
江戸護持院ヶ原の
野仏
(
のぼとけ
)
だった地蔵様が、
負
(
おぶ
)
われて行こう……と
朧夜
(
おぼろよ
)
にニコリと笑って申されたを、通りがかった当藩三百石、
究竟
(
くっきょう
)
の勇士が、そのまま中仙道北陸道を
負
(
おぶ
)
い通いて帰国した、と言伝えて
古狢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ところで、このたびの
上方
(
かみがた
)
のぼりこそ
究竟
(
くっきょう
)
である。
大菩薩峠:30 畜生谷の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
究
常用漢字
小3
部首:⽳
7画
竟
漢検1級
部首:⽴
11画
“究竟”で始まる語句
究竟涅槃
究竟地
究竟道