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禿山
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はげやま
ふりがな文庫
“
禿山
(
はげやま
)” の例文
兎だの、亀だの、その
他
(
ほか
)
五六
(
ごろく
)
匹の動物は、その時ちょうど森のはずれの小高い
禿山
(
はげやま
)
の上にいたので、すぐ火事を見つけることが出来ました。
兎と亀
(新字新仮名)
/
ロード・ダンセイニ
(著)
下りが急になって、笹も
茅
(
かや
)
も人丈を没する程に伸びている。今迄
禿山
(
はげやま
)
であったのが此辺から木立が現れて来た。殊に西側の方が繁っている。
美ヶ原
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
それがまた非常に佳い景色のように感ぜらるるものですからもちろん山の形などは
巌窟
(
いわや
)
や
禿山
(
はげやま
)
ばかりで面白くも何ともないが
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
丘を越えると、行手の山道は、灰色の岩に深くジグザグに刻み込まれ、血が流れて赤黒くかたまったように、遠い
禿山
(
はげやま
)
の山腹まで続いている。
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
貴方
(
あなた
)
が越えておいでになった
周防山
(
すおうやま
)
の、もう少し右手寄りに、
禿山
(
はげやま
)
があるの、御存知? 今日はそこへいきましたの。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
▼ もっと見る
この島よりも、もつと無人な島へ、いま自分は行きつゝあるのだと、富岡は、呆んやり、近くなつてゆく島の港を見てゐた。
禿山
(
はげやま
)
のやうな島である。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
富岡老人はそのまま三人の者の足音の聞こえなくなるまで
対岸
(
むこう
)
を
白眼
(
にら
)
んでいたが、次第に眼を遠くの
禿山
(
はげやま
)
に転じた、
姫小松
(
ひめこまつ
)
の
生
(
は
)
えた丘は静に日光を浴びている
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
君の顔を見た瞬間に、故郷の
禿山
(
はげやま
)
が
彷彿
(
ほうふつ
)
として眼前に浮んだね。イヤ。
禿
(
は
)
げているから云うんじゃない……アハハハ。今夜はこの風を
肴
(
さかな
)
に飲み明かそうじゃないか。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
神戸の山々が
禿山
(
はげやま
)
なのを見て最初雪が積っているのかと思った。土佐の山には禿山はないからである。
牧野富太郎自叙伝:01 第一部 牧野富太郎自叙伝
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
此方
(
こなた
)
の岸から水の真中へかけて、草も木もない黄色の
禿山
(
はげやま
)
が、曇った空に
聳
(
そび
)
えて眺望を
遮
(
さえぎ
)
っている。
放水路
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
禿山
(
はげやま
)
で、
頂
(
いただき
)
には樹木も無い。草花が所々
懸崕
(
けんがい
)
の端に咲いてゐる。私の傍には二人の
小兒
(
こども
)
が居た。
夢
(旧字旧仮名)
/
吉江喬松
、
吉江孤雁
(著)
管弦楽では山の
妖異
(
ようい
)
の夜宴を描いた「
禿山
(
はげやま
)
の一夜」が面白い。きわめて怪奇なものだが、手頃な交響詩だ。コロムビアのパレー指揮のレコードがすぐれている(J八三六五)。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
船の上から見た大泊の町は、
禿山
(
はげやま
)
の低い連山を背景にもった、荒れた色の港町であった。
ツンドラへの旅
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
伊香保より
水沢
(
みさわ
)
の
観音
(
かんのん
)
まで一里あまりの間は、
一条
(
ひとすじ
)
の道、
蛇
(
へび
)
のごとく
禿山
(
はげやま
)
の中腹に沿うてうねり、ただ二か所ばかりの山の裂け目の谷をなせるに陥りてまた
這
(
は
)
い上がれるほかは
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
そんな頑丈な身體をしてるし、辛抱強いのに、机の前で
萎
(
いぢ
)
けてるのは詰まらないぢやないか。
先日
(
こなひだ
)
山から見た島を借りて桃を栽ゑても、後ろの
禿山
(
はげやま
)
を
拓
(
ひら
)
いても何か出來さうぢやないか。
入江のほとり
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
石巻ノ衰ヘタ原因ハ
如何
(
いか
)
ニモ明白デアル、水ニ
鮭
(
さけ
)
、
鮪
(
まぐろ
)
ガアル、陸ニ石、糸ガアル、長十郎梨ガアル、雄勝ノ
硯石
(
すずりいし
)
モアル、渡ノ波ノ塩ハ昔カラ名高イ物デアル、アタリノ
禿山
(
はげやま
)
ニ木ヲ植ヱ
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
杉か
檜
(
ひのき
)
か分からないが
根元
(
ねもと
)
から
頂
(
いただ
)
きまでことごとく
蒼黒
(
あおぐろ
)
い中に、山桜が薄赤くだんだらに
棚引
(
たなび
)
いて、
続
(
つ
)
ぎ
目
(
め
)
が
確
(
しか
)
と見えぬくらい
靄
(
もや
)
が濃い。少し手前に
禿山
(
はげやま
)
が一つ、
群
(
ぐん
)
をぬきんでて
眉
(
まゆ
)
に
逼
(
せま
)
る。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
大森の奥の
奥沢
(
おくさわ
)
というところに、松ばかりの広大な植木溜があった。赤土の
禿山
(
はげやま
)
や谷をそのままあしらった松の溜場には、姿を生かしてどんな松でも、おもうように選ぶことができていた。
生涯の垣根
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
せっかく尾州藩で保護して来た
鬱蒼
(
うっそう
)
とした森林はたちまち
禿山
(
はげやま
)
に変わるであろうとの先入主となった疑念にでも
囚
(
とら
)
われたものか、本山盛徳は御停止木の解禁なぞはもってのほかであるとなし
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
山はどこも
彼処
(
かしこ
)
も
咽
(
むせ
)
かえるような若葉が
鬱蒼
(
うっそう
)
としていた。
痩
(
や
)
せた
菜花
(
なたね
)
の咲いているところがあったり、
赭土
(
あかつち
)
の多い
禿山
(
はげやま
)
の蔭に、瀬戸物を焼いている
竈
(
かまど
)
の煙が、ほのぼのと立昇っていたりした。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
林が途切れて
禿山
(
はげやま
)
となった。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
雪舟と
禿山
(
はげやま
)
5・11(夕)
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
石磧
(
いしかわら
)
や
禿山
(
はげやま
)
の中で生れた人間が多いのですから景色の趣味を解することが出来ぬと見える。絵でもチベット固有の景色を描いたものは一枚もない。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
孫
(
そん
)
伍長は、軽機関銃を持った一分隊を率いて、この街の上にのしかかる
禿山
(
はげやま
)
の
裾
(
すそ
)
の褐色の、丘を登って行った。
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
湖の向う側の、林の上に
聳
(
そび
)
えている
赭
(
あか
)
ちゃけた
禿山
(
はげやま
)
に、じいっと彼女は、眼を留めているようです。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
鳩
(
はと
)
が幾羽ともなく群をなして勢いこんで穀倉のほうから飛んできた、がフト柱を建てたように舞い昇ッて、さてパッといっせいに野面に散ッた——アア秋だ! 誰だか
禿山
(
はげやま
)
の向うを通るとみえて
武蔵野
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
霧と云えば霧と云われるくらいな
微
(
かす
)
かな粒であるが、四方の
禿山
(
はげやま
)
を
罩
(
こ
)
め尽した上に、
筒抜
(
つつぬ
)
けの空を塗り
潰
(
つぶ
)
して、しとどと落ちて来るんだから、
家
(
うち
)
の中に坐っていてさえ、
糠
(
ぬか
)
よりも小さい
湿
(
しめ
)
り
気
(
け
)
が
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
まあ水のあるような所には草が
生
(
は
)
えその外は全く石の
禿山
(
はげやま
)
といってよい位。しかしその平原地になって居る所には水も溜って居り幾分か草も生えて居る。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
その不調和な音が切っ立った石垣に突き当って、
後
(
うしろ
)
の
禿山
(
はげやま
)
に響いて、まだやまないうちに、じゃららんとまた一組が
後
(
あと
)
から鳴らし立てて現れた。たと思うとまた現れる。今度は金盥を持っていない。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“禿山(はげ山)”の解説
はげ山(はげやま)とは、草木が生育していない山。漢字では禿山、禿げ山と書く。また兀山(こつざん)ともいう。
人為的行為により植生が破壊され荒廃する場合、自然的要因で植生が失われる場合がある。
(出典:Wikipedia)
禿
漢検準1級
部首:⽲
7画
山
常用漢字
小1
部首:⼭
3画
“禿”で始まる語句
禿
禿頭
禿鷹
禿筆
禿顱
禿茶瓶
禿安
禿鷲
禿木
禿上