砂浜すなはま)” の例文
旧字:砂濱
ニールスは、せまい砂浜すなはまに立ちました。目の前にはかなり大きいみずうみがひろがっています。でも、あまり気もちのいい景色けしきではありません。
子供こどもたちは、くまさんのそばへってきました。そして、いっしょに砂浜すなはまうえにすわって、おき景色けしきをながめたのであります。
熊さんの笛 (新字新仮名) / 小川未明(著)
椰子もあるし、マングローブ(榕樹ようじゅ)も見える。その間に、ところどころ白い砂浜すなはまがのぞいている。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
鬼界きかいが島の海岸。荒涼こうりょうとした砂浜すなはま。ところどころに芦荻ろてきなどとぼしくゆ。向こうは渺茫びょうぼうたる薩摩潟さつまがた。左手はるかに峡湾きょうわんをへだてて空際くうさい硫黄いおうたけそびゆ。いただきより煙をふく。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
保吉は下宿へ帰らずに、人影の見えない砂浜すなはまへ行った。これは珍らしいことではない。
お時儀 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
津軽半島の方はまるで学校にある広重ひろしげの絵のようだ。山の谷がみんな海まで来ているのだ。そして海岸かいがんにわずかの砂浜すなはまがあってそこにはおおきな黒松くろまつ並木なみきのある街道かいどうが通っている。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
砂浜すなはまにしづまり居れば海を吹く風ひむがしになりにけるかも
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
見れば、長い砂浜すなはまがあって、そこには石や水たまりがあり、たくさんの海草かいそうが波にうちあげられています。
海岸かいがんでは海水浴かいすいよくをしている人間にんげんもありました。かれらは、「ほんとうに、いい月夜つきよだこと。」といって、砂浜すなはまでねころんだり、またくらなみなかおよいだりしていました。
負傷した線路と月 (新字新仮名) / 小川未明(著)
砂浜すなはまに古りて刑死けいしの墓のありいかなる深き罪となりにし
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
そして、くるになってみると、いままではなのなかった砂浜すなはまに、黄色きいろほしのようなはなや、あかかいがらのようなはなが一めんにさいて、むらにも、はるがきたのでありました。
熊さんの笛 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、砂浜すなはまへいって、くまさんがしたように、晩方ばんがたあかそらをながめながら、ふえいたのです。
熊さんの笛 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、いつしかあきとなり、はやくも木枯こがらしがくころになると、まもなく吹雪ふぶきにみまわれなければならぬ、このきたかぜさけもりや、砂浜すなはまなどをにさびしくえがいたのでした。
北の少女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
うみうえでは、なみがあって、なみはなぎさへおしよせて、いわにくだけ、しぶきはたまのごとくとびちり、とお水平線すいへいせんは、縹渺ひょうびょうとして、けむるようにかすみ、しろとりが、砂浜すなはまれをなしてあそんでいるのを
うずめられた鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、このとき、父親ちちおや大事だいじにしておいた、てつつくられた金箱かねばこころがって、うみそこふかしずんでしまったのであります。そればかりでなく、ちいさな汽船きせんは、砂浜すなはまうえへ、げられてしまいました。
汽船の中の父と子 (新字新仮名) / 小川未明(著)