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生立
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おいた
ふりがな文庫
“
生立
(
おいた
)” の例文
思った事を実行するといっても、故意に社会の原則を無視したり、
折角
(
せっかく
)
生立
(
おいた
)
って来た習慣を、無闇と破壊するというほどの意気込はない。
ソクラテス
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
数回にわたって、木曾義仲の
生立
(
おいた
)
ちと、信濃地方の情熱を書いた。義仲のなした治承、寿永年間の役わりとしては、ほんの序章にすぎない。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
百「ハイ、ここ此の村で
生立
(
おいた
)
ちましたから、
少
(
ちっ
)
けえ時分から新利根川へ
這入
(
へえ
)
っちゃア泳ぎましたから、泳ぎは知って居やす」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
かくて
孤児
(
みなしご
)
の
黄金丸
(
こがねまる
)
は、西東だにまだ知らぬ、
藁
(
わら
)
の上より牧場なる、
牡丹
(
ぼたん
)
が
許
(
もと
)
に養ひ取られ、それより牛の乳を
呑
(
の
)
み、牛の小屋にて
生立
(
おいた
)
ちしが。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
健在
(
すこやか
)
なれ、御身等、今若、牛若、
生立
(
おいた
)
てよ、と
窃
(
ひそか
)
に河野の一門を
呪
(
のろ
)
って、主税は
袂
(
たもと
)
から
戛然
(
かちり
)
と音する松の葉を投げて、足
疾
(
と
)
くその前を通り過ぎた。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
ああ、真公の
生立
(
おいた
)
ちが知りたいというのだネ。あれは今からザット十五六年も前、四国の徳島で買った子だったがネ。当時はなんでも八つだといったネ。
三人の双生児
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
お繁はその
生立
(
おいた
)
ちのため、人に対して好戦的であり、親から受けた病気で腫物が絶えず、それが汗と垢の
匂
(
にお
)
いと入り混って、
側
(
そば
)
へも寄れないほど臭かった。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それから後の与八の
生立
(
おいた
)
ちは、当人にも、周囲の人たちにも、わかり過ぎるほどわかっているにかかわらず、今以てわからないのは、それは与八を捨てた人です。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
根が貴族的に
生立
(
おいた
)
った人だから、材料がいつでも
素直
(
すなお
)
な
温和
(
おとな
)
しい上品なウブな恋であって、深酷な悲痛や
捻
(
ね
)
じくれたイキサツや皮肉な
譏刺
(
きし
)
が少しも見られなかった。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
彼は自分と全く
生立
(
おいた
)
ちを異にしたような人達と話すことを好む方で、そこに奉公する女達のさまざまな身上話に耳を傾け、そこに集る年老た客や年若な客の噂に耳を傾け
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「人」としての
生立
(
おいた
)
ちや、日常生活や、環境は多くの人の知りたいと思うところであろう。
アインシュタイン
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
しかしながら、一切の肉を独断的に
呪
(
のろ
)
った
基督
(
キリスト
)
教の影響の
下
(
もと
)
に
生立
(
おいた
)
った西洋文化にあっては、尋常の交渉以外の性的関係は、早くも唯物主義と手を
携
(
たずさ
)
えて地獄に落ちたのである。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
水には一片の
塵芥
(
じんかい
)
も浮ばず、断崖には
一茎
(
ひとくき
)
の雑草すら
生立
(
おいた
)
ってはいないで、岩はまるで
煉羊羹
(
ねりようかん
)
を切った様に滑かな闇色に打続き、その暗さが水に映じて、水も又
漆
(
うるし
)
の様に黒いのです。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「へーえ、役者になりたい。」
訝
(
いぶか
)
る
間
(
ま
)
もなく蘿月は七ツ八ツの頃によく三味線を
弄物
(
おもちゃ
)
にした長吉の
生立
(
おいた
)
ちを回想した。「当人がたってと望むなら仕方のない話だが……困ったものだ。」
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
周さんもあとで私に、日本へ来てあんなにおしゃべりした夜は無いと言っていた。周さんはその夜、自分の
生立
(
おいた
)
ちやら、希望やら、清国の現状やらを、
呆
(
あき
)
れるくらいの熱情を
以
(
もっ
)
て語った。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
稚
(
おさな
)
い時分から、始終劣敗の地位に
虐
(
しいた
)
げられて来た、すべての点に不完全の自分の
生立
(
おいた
)
ちが、まざまざと胸に浮んだ。それより一層退化されてこの世へ出て来る、赤子のことを考えるのも厭であった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
彼女の
生立
(
おいた
)
ちは——それは、ほんのすこしばかりしか知らない。
大橋須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
手前は
此方
(
こっち
)
で
生立
(
おいた
)
って何も世間の事は知らねえが、
家
(
うち
)
に
財産
(
かね
)
は無くとも、旅籠という看板で是だけの構えをしているから
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
どうしてか、あんな知合いでいながら、ついぞお通からも武蔵からも、その
生立
(
おいた
)
ちについては、何も聞いていなかった。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
幸いにして、父母のこの希望は、家を譲る時まで空しくせられずに、ともかくも、このわれというものの
生立
(
おいた
)
ちを、自慢にはしようとも、恥辱とはしていなかった。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
好い
生立
(
おいた
)
ちを
有
(
も
)
った滝の頼もしい人柄に就いて牧野から聞取ったことを書いて、マドマゼエルは選択を
過
(
あやま
)
らなかった、決して心配することは
要
(
い
)
らないと思うと書添えて送った。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
美妙をこんなに偏屈に孤立を好むようにならしめた所以の美妙の
生立
(
おいた
)
ちの家庭の事情に
遡
(
さかのぼ
)
らねばならないが、美妙と交際の極めて浅かった私はこれを
究
(
きわ
)
むるだけの材料に不足しておる。
美妙斎美妙
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
土地では珍しいから、引越す時
一枝
(
ひとえだ
)
折って来てさし芽にしたのが、次第に
丈
(
たけ
)
たかく
生立
(
おいた
)
ちはしたが、葉ばかり茂って、
蕾
(
つぼみ
)
を持たない。
丁
(
ちょう
)
ど十年目に、一昨年の
卯月
(
うづき
)
の末にはじめて咲いた。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
周さんがひとりでこんなに長々と清国の現状やら自身の
生立
(
おいた
)
ちやらを順序を追って講演したというわけではなく、お酒を少し飲んだりして私と夜明け近くまで語り合ったさまざまの事柄を
綴
(
つづ
)
り合せ
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
花「ヘエ出ます、まア
私
(
わし
)
も此の近辺で
生立
(
おいた
)
った者じゃアが、此の大生郷の天神様の鳥居といったら大きな者じゃア」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その他、彼の
生立
(
おいた
)
ちを見、彼の野望する所を見ても、
唾棄
(
だき
)
すべき人物と、それがしは見ておるが。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
根岸の姪からは間もなく
委
(
くわ
)
しいことを知らせてよこした。愛子は彼女の学友に
就
(
つ
)
いて、岸本の方で知りたいと思うようなことは一々女らしい観察を書いてよこした。その人の
生立
(
おいた
)
ちに就て。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「誰か、あの男の
生立
(
おいた
)
ちを知っているものはないか」
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
お
母
(
っか
)
さんの言う事は例え御無理が有りましても、お言葉に背くめえという願掛けでございますが、圓次を殺したとは情ない、
幼
(
ちい
)
さい時から一つ村で
生立
(
おいた
)
って、
殊
(
こと
)
に仲の
好
(
え
)
え圓次を殺し
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
山三郎は十一二の頃物心を知ってから己は二千五百石の一色宮内の
胤
(
たね
)
、世が世なれば鎗一筋の立派な武士、運悪くして
町家
(
ちょうか
)
に
生立
(
おいた
)
ったが生涯町家の家は継がん、此の家は
父親
(
てゝおや
)
の違う妹のお藤に譲って
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
生
常用漢字
小1
部首:⽣
5画
立
常用漢字
小1
部首:⽴
5画
“生”で始まる語句
生
生命
生憎
生活
生涯
生々
生垣
生物
生温
生死