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沓掛
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くつかけ
ふりがな文庫
“
沓掛
(
くつかけ
)” の例文
或
(
ある
)
夏、信州の
沓掛
(
くつかけ
)
の温泉で、先生がいたずらに私の子供にお湯をぶっかけられた所、子供が泣き出した。先生は悲し相な顔をして
作家の像
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
沓掛
(
くつかけ
)
駅の野天のプラットフォームに下りたった時の心持は、一駅前の軽井沢とは全く別である。物々しさの代りに心安さがある。
浅間山麓より
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
桂から
沓掛
(
くつかけ
)
、老ノ坂
隧道
(
トンネル
)
——丹波
篠村
(
しのむら
)
——千代川、
薗部
(
そのべ
)
、観音峠——須知町、山家、綾部——そして舞鶴線に沿って、
梅迫
(
うめさこ
)
、上杉
随筆 私本太平記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
追分、
沓掛
(
くつかけ
)
、輕井澤あたりの南に面したあたりもいゝが本統に高原らしい荒涼さを持つてゐるのはその裏山にあたる上州路の六里が原である。
樹木とその葉:36 自然の息自然の声
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
須走
(
すばしり
)
は鎌倉街道ではあるが、山の坊という感じで、
浅間
(
あさま
)
山麓の
沓掛
(
くつかけ
)
や
追分
(
おいわけ
)
のような、街道筋の宿駅とは違ったところがある。
不尽の高根
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
▼ もっと見る
追分の宿はもとより、
軽井沢
(
かるいざわ
)
、
沓掛
(
くつかけ
)
から岩村田へかけて、軍用金を献じた地方の有志は皆、付近の藩からのきびしい詰問を受けるようになった。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
街道を一方へ辿って行けば、
俚謡
(
うた
)
に詠まれている関所があり、更に一方へ辿って行けば、
沓掛
(
くつかけ
)
の古風の
駅
(
うまやじ
)
があった。
剣侠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
普通の中仙道は松井田から
坂本
(
さかもと
)
、
軽井沢
(
かるいざわ
)
、
沓掛
(
くつかけ
)
の
宿々
(
しゅくじゅく
)
を経て
追分
(
おいわけ
)
にかかるのが順路ですが、そのあいだには
横川
(
よこかわ
)
の番所があり、
碓氷
(
うすい
)
の関所があるので
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
軽井沢の別荘から
沓掛
(
くつかけ
)
の別荘まで夏草を馬の
足掻
(
あが
)
きにふみしかせ、山の初秋の風に吹かれて、彼女が
颯爽
(
さっそう
)
と
鞭
(
むち
)
をふっていたとき、みな灰になってしまった。
江木欣々女史
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
輕井澤から中山道を自動車で
沓掛
(
くつかけ
)
、
古宿
(
ふるじゆく
)
、
借宿
(
かりやど
)
、それから
追分
(
おひわけ
)
と、私の滯在してゐる村まで歸つてきたが
高原にて
(旧字旧仮名)
/
堀辰雄
(著)
信濃東筑摩郡東川手村に字矢トコがある。矢掛という地名も諸国にある。掛は
掛神
(
かけがみ
)
の義で
沓掛
(
くつかけ
)
と同じく、路傍の木または石に矢を掛けて神を祭ったのであろう。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
映画は、むかし
懐
(
なつか
)
しい大河内伝次郎主演、辻吉朗監督『
沓掛
(
くつかけ
)
時次郎』でありました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
乗合
(
バス
)
は満員だつた。軽井沢から
沓掛
(
くつかけ
)
の駅へ出ると、道はぐんぐん登りになる。
落葉日記
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
あの信州の追分は今では
寂
(
さ
)
びれ果ててしまいましたが、昔は中仙道と
北国
(
ほっこく
)
筋との追分でしてね。
沓掛
(
くつかけ
)
や軽井沢と並んで浅間三宿といったのだそうです。大名行列で随分盛んだったでしょう。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
出
(
いづ
)
ればまた
曠野
(
ひろの
)
にて
燒石
(
やけいし
)
昔し噴出せしまゝなり開墾せんにも二三尺までは灰の如き土にて何も作りがたしとぞ
此所
(
こゝ
)
は輕井澤より
沓掛
(
くつかけ
)
追分小田井の三宿の間なり四里程なれば忽ち小田井に着きて滊車を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
大高、
沓掛
(
くつかけ
)
等をも占領した。信長は今度は笠寺を攻めて見たが豊政
驍勇
(
ぎょうゆう
)
にして落城しそうもない。そこで信長は考えた末、森
可成
(
よしなり
)
を商人に化けさせて駿河に潜入させ、義元に豊政のことを
讒言
(
ざんげん
)
させた。
桶狭間合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
軽井沢から
沓掛
(
くつかけ
)
まで一里五町、沓掛から追分まで一里三町。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
沓掛
(
くつかけ
)
の時次郎
磯目
(
いそめ
)
の鎌吉
沓掛時次郎 三幕十場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
四月十五日
沓掛
(
くつかけ
)
千ヶ滝。
六百句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
帰りに
沓掛
(
くつかけ
)
の駅でおりて
星野
(
ほしの
)
行きの乗合バスの発車を待っている間に乗り組んだ商人が運転手を相手に先刻トラックで老婆がひかれたのを
あひると猿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
なぜならば中国道には、
老坂
(
おいのさか
)
の分れに限らず、この
沓掛
(
くつかけ
)
からも、右折すれば、大原野を経て山崎、
高槻
(
たかつき
)
へ出ることはできるからであった。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「直樹さんと来た時は
沓掛
(
くつかけ
)
から歩きましたが、途中で
虻
(
あぶ
)
に付かれて困りましたッけ」
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
今日では小石を石の
鳥居
(
とりい
)
の上に乗せて見ようとし、または
沓掛
(
くつかけ
)
といって、馬の
沓
(
くつ
)
や
古草鞋
(
ふるわらじ
)
を投げあげるようにもなっており、子どもや若い者の
慰
(
なぐさ
)
みくらいにしか考えられておるまいが
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
武術の修行というのではなく、例によっての風来坊、漫然と旅をしたまでだが
沓掛
(
くつかけ
)
の宿で一夜泊まった。明月の夜であったので、わしは
宿
(
やど
)
を出て
宿
(
しゅく
)
を歩き、つい宿外れまでさまよって行った。
剣侠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
信越線の
沓掛
(
くつかけ
)
駅から
千
(
せん
)
ヶ
滝
(
たき
)
行というバスが出ている。
光は影を
(新字新仮名)
/
岸田国士
(著)
石本松沢山口三氏はその日二時十五分
沓掛
(
くつかけ
)
発の列車で帰京し坪井氏は三時五十三分で立ち、自分だけ星野温泉に居残った。
柿の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
この辺は、西浅井の
沓掛
(
くつかけ
)
、集福寺、柳ヶ瀬など、山また山へ続く間道だ。しかも柴田軍の主陣地をなす
行市山
(
ぎょういちやま
)
から中尾山の警備区域内でもある。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
斯の骨の折れる山道を越して、
漸
(
やつと
)
のことで峠の下まで歩いて行きますと、澤深い温泉宿のやうな家々の灯が私の眼に嬉しく映りました。そこが中仙道の
沓掛
(
くつかけ
)
であつたかと覺えて居ます。
幼き日:(ある婦人に与ふる手紙)
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
山丈・山姥の鞋という話は、我々の持っていた
沓掛
(
くつかけ
)
の習俗、すなわち浅草仁王門の
格子
(
こうし
)
の木にむやみな大わらんじの片足をぶらさげた行為などと比較して考えて見るべきものかと思う。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
沓掛
(
くつかけ
)
から大高へ真ッ直に前進と、敵には思わせて、わざと道をかえ、桶狭間からこの間道へと
迂回
(
うかい
)
なされたが、晩までには、そこへ御到着の予定。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
信州
(
しんしゅう
)
沓掛
(
くつかけ
)
駅近くの
星野温泉
(
ほしのおんせん
)
に七月中旬から下旬へかけて滞在していた間に毎日うるさいほどほととぎすの声を聞いた。
疑問と空想
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
沓掛
(
くつかけ
)
まで
行
(
い
)
きましたら、やうやくその
邊
(
へん
)
から
中仙道
(
なかせんだう
)
を
通
(
かよ
)
ふ
乘合馬車
(
のりあひばしや
)
がありました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
筆捨
(
ふですて
)
、
沓掛
(
くつかけ
)
などの山坂へかけて四つの休み茶屋があるところから、この辺を総称して、地名的にそう呼ぶのである。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
去年の夏
信州
(
しんしゅう
)
沓掛
(
くつかけ
)
駅に近い
湯川
(
ゆかわ
)
の上流に沿うた谷あいの
星野温泉
(
ほしのおんせん
)
に前後二回合わせて二週間ばかりを全く日常生活の
煩
(
わずら
)
いから免れて閑静に暮らしたのが
あひると猿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
その
燈火
(
あかり
)
のついて
居
(
ゐ
)
るところが、
沓掛
(
くつかけ
)
の
温泉宿
(
をんせんやど
)
でした。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
十時過ぎの汽車で帰京しようとして
沓掛
(
くつかけ
)
駅で待ち合わせていたら、今浅間からおりて来たらしい学生をつかまえて駅員が爆発当時の模様を聞き取っていた。
小爆発二件
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「駿河の大軍は、
碧海郡
(
あおみごおり
)
の
宇頭
(
うがしら
)
、今村を経て、夕刻早くも、
沓掛
(
くつかけ
)
に押し迫って来る様子とござりますが」
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
六八
沓掛
(
くつかけ
)
の
温泉宿
(
をんせんやど
)
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
七月十七日朝上野発の「高原列車」で
沓掛
(
くつかけ
)
に行った。今年で三年目である。駅へ子供達が迎いに来ていた。
高原
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
侍側の家臣たちも、気にしてはいたが、わざとその
故
(
ゆえ
)
を問わなかった。今朝、
沓掛
(
くつかけ
)
の城を出て
発向
(
はっこう
)
する折、義元は、どうしたのか駒の背から振り落されて落馬した。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
なるほど、星野でも千が滝でも
沓掛
(
くつかけ
)
でも軽井沢でもまだ一匹も猫の姿を見ない。それが東京の
宅
(
うち
)
の付近だと、一町も歩くうちにきっと一匹ぐらいは見つかるような気がする。
軽井沢
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
ここはまだ山腹の
沓掛
(
くつかけ
)
の部落である。僅か十数戸の
山樵
(
やまがつ
)
や炭焼の小屋があるにすぎない。にもかかわらず、中軍の警戒は甚だきびしく、
麓
(
ふもと
)
の方にも、過ぎて来た道の方にも忽ち
哨戒隊
(
しょうかいたい
)
が配置された。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし、その少し前にこの夏泊った
沓掛
(
くつかけ
)
の温泉宿の池に居る
家鴨
(
あひる
)
が大きな芋虫を丸呑みにしたことを想い出していた。それ以外にはどうしてもそれらしい聯想の鎖も見付からないのである。
KからQまで
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
左に降りれば、
沓掛
(
くつかけ
)
、
桂川
(
かつらがわ
)
をこえて、道はそのまま京へ入る。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかしやはり前日家人と
沓掛
(
くつかけ
)
行きの準備について話をしたとき、今度行ったらグリーンホテルで泊まってそこでたまっている仕事を片付けようと思う、というようなことも言った覚えがある。
三斜晶系
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
二度目に
沓掛
(
くつかけ
)
へ来たのが八月十三日である。
沓掛より
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
沓
漢検準1級
部首:⽔
8画
掛
常用漢字
中学
部首:⼿
11画
“沓掛”で始まる語句
沓掛城
沓掛宿