母樣はゝさま)” の例文
新字:母様
おちつけずや母樣はゝさまにはねがはんとてはなたまはず夫樣おくさままたくれ/″\のおほせにそのまゝの御奉公ごほうこう都會みやこなれぬとてなにごとも不束ふつゝかなるを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ヂュリ はゝさまは何處どこにぢゃ? 母樣はゝさまうちにぢゃ。何處どこかしゃらうぞ? なにやるぞい!「あのかた被言おッしゃるには、身分みぶんのある殿方とのがたらしう、お母樣かゝさま何處どこにぢゃ?」
迎へなば亡夫なきをつとに言譯なく夫とても母樣はゝさまの御心休めに成事ならば更々さら/\いとひは致さねども今聟を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
せう五十ねんめくらにりてをわらばことなからんとれよりは一すぢ母樣はゝさま御機嫌ごきげんちゝるやう一さいこのいものにしてつとむればいゑうちなみかぜおこらずして
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
言葉ことばではつくされぬ不幸ふしあはせぢゃ。……なう、父樣とゝさま母樣はゝさま何處どこにぢゃ。
かくされ給ふよし然樣さやうにては跡々あと/\仕樣しやうも御座なく母樣はゝさま御一人にておこまり成るゝは申迄もなく元はわらは姉妹はらから二人を斯樣に御育下おそだてくだされ候よりお物入ものいり多く夫ゆゑ御難儀にも相成し事なればかずならねども私しを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
母樣はゝさま御機嫌ごきげんよう新年しんねんをおむかひなされませ、左樣さやうならばまいりますと、暇乞いとまごひわざとうやうやしく、おみね下駄げたなほせ、お玄關げんくわんからおかへりではいおかけだぞと圖分づぶ/\しく大手おほでりて
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ヂュリ なに、あの、其方そなたなぐさめで不思議ふしぎこゝろ安堵おちついた。おくて、母樣はゝさまうてたも、父上ちゝうへ御不興ごふきょうけたゆゑ、懺悔ざんげをしてつみゆるしてもらはうとて、ロレンスどのゝ庵室あんじつへわしがんだと。
つけて先へ立コレお安殿何も案じる事はないお富さんも御屋敷へ行てから度々たび/\母樣はゝさまへお案事あんじなさらぬ樣宜しく云て下されとお言傳ことづても有りました特には先の御屋敷でも御意にかなつて益々ます/\全盛ぜんせいと云はんとせしが口を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)