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森蔭
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もりかげ
ふりがな文庫
“
森蔭
(
もりかげ
)” の例文
稲が深々と実って、
稍々
(
やや
)
低地に建てられた農家を
蔽
(
おお
)
うばかりである。それが
鬱蒼
(
うっそう
)
たる
森蔭
(
もりかげ
)
にまでつづいた豊かなしかも
寥々
(
りょうりょう
)
たる風景を私は好む。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
私達は諏訪神社の
森蔭
(
もりかげ
)
で休息した上、諏訪池から帰ったが、その夕べ今度は
千々岩
(
ちぢわ
)
灘の
入日
(
いりひ
)
を見るべく絹笠山に
上
(
のぼ
)
った。
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
肉体
(
にくたい
)
は
通例
(
つうれい
)
附近
(
ふきん
)
の
森蔭
(
もりかげ
)
や
神社
(
やしろ
)
の
床下
(
ゆかした
)
などに
隠
(
かく
)
し
置
(
お
)
き、ただ
引
(
ひ
)
き
抽
(
ぬ
)
いた
魂
(
たましい
)
のみを
遠方
(
えんぽう
)
に
連
(
つ
)
れ
出
(
だ
)
すものでござる。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
ご
懇談
(
こんだん
)
くださる場所は、いちおう本館の各室をそれぞれ割り当てておきましたが、天気もこんなにいいことでありますし、
森蔭
(
もりかげ
)
や草っ原をご利用くださるのも
一興
(
いっきょう
)
かと思います。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
大阪
兵燹
(
へいせん
)
の
余焔
(
よえん
)
が城内の
篝火
(
かがりび
)
と共に
闇
(
やみ
)
を
照
(
てら
)
し、
番場
(
ばんば
)
の原には避難した病人産婦の
呻吟
(
しんぎん
)
を聞く二月十九日の夜、
平野郷
(
ひらのがう
)
のとある
森蔭
(
もりかげ
)
に
体
(
からだ
)
を寄せ合つて寒さを
凌
(
しの
)
いでゐる四人があつた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
大蛇
(
だいじゃ
)
を
籠
(
かご
)
に入れて
荷
(
にな
)
う者と、馬に
跨
(
またが
)
りて行く曲馬芝居の
座頭
(
ざがしら
)
とを先に立てて、さまざまの動物と異形の人類が、
絡繹
(
らくえき
)
として
森蔭
(
もりかげ
)
に列を成せるその
状
(
さま
)
は、げに百鬼夜行一幅の
活図
(
かっと
)
なり。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
幼児
(
をさなご
)
は
黙
(
だま
)
つて、あたしを
見
(
み
)
つめてくれた。この
森蔭
(
もりかげ
)
の
端
(
はづれ
)
まであたしは
一緒
(
いつしよ
)
に
行
(
い
)
つてやつた。
此児
(
このこ
)
は
顫
(
ふる
)
へもしずに
歩
(
ある
)
いて
行
(
ゆ
)
く。
終
(
つひ
)
にその
赤
(
あか
)
い
髪
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
が、
遠
(
とほ
)
く
日
(
ひ
)
の
光
(
ひかり
)
に
消
(
き
)
えるまで
見送
(
みおく
)
つた。
癩病やみの話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
小暗
(
こぐら
)
い
森蔭
(
もりかげ
)
に連れ込まれて、あわや
狼藉
(
ろうぜき
)
というところへ飛び出したのが僕だった。
恐しき通夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
歩
(
ある
)
いた
道程
(
みちのり
)
は一
里
(
り
)
あまりでございましょうか、やがて一つの
奥深
(
おくふか
)
い
入江
(
いりえ
)
を
𢌞
(
まわ
)
り、二つ三つ
松原
(
まつばら
)
をくぐりますと、そこは
欝葱
(
うっそう
)
たる
森蔭
(
もりかげ
)
の
小
(
こ
)
じんまりとせる
別天地
(
べってんち
)
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
男の児たち やあ、
転
(
ころ
)
ぶない。弱虫やい。——(かくて
森蔭
(
もりかげ
)
にかくれ去る。)
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
また小泉のあたりを過ぎるとき、
遥
(
はる
)
かな丘陵の
麓
(
ふもと
)
の
森蔭
(
もりかげ
)
に法起寺と法輪寺の三重塔が
燻
(
くす
)
んでみえ、やがて法隆寺の五重塔が鮮かな威容をもって立ちあらわれる状景には、いつも心を躍らされる。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
彼所
(
あそこ
)
は
何
(
なん
)
と
呼
(
よ
)
ぶか……つまり
籠城中
(
ろうじょうちゅう
)
にそなたが
隠
(
かく
)
れていた
海岸
(
かいがん
)
の
森蔭
(
もりかげ
)
じゃ。
今
(
いま
)
でも
里人達
(
さとびとたち
)
は、
遠
(
とお
)
い
昔
(
むかし
)
の
事
(
こと
)
をよく
記憶
(
おぼ
)
えていて、わざとあの
地点
(
ところ
)
を
選
(
えら
)
ぶことに
致
(
いた
)
したらしい……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
森
常用漢字
小1
部首:⽊
12画
蔭
漢検準1級
部首:⾋
14画
“森”で始まる語句
森
森閑
森々
森然
森厳
森羅万象
森林
森下
森鴎外
森羅