“余焔”のいろいろな読み方と例文
旧字:餘焔
読み方割合
よえん60.0%
ほとぼり40.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
町並で山下通りの電車線路の近くは、表町通りの熾烈しれつなネオンの光りを受け、まるで火事の余焔よえんを浴びているようである。池の縁を取りまいて若い並木の列がある。
雛妓 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
大阪兵燹へいせん余焔よえんが城内の篝火かがりびと共にやみてらし、番場ばんばの原には避難した病人産婦の呻吟しんぎんを聞く二月十九日の夜、平野郷ひらのがうのとある森蔭もりかげからだを寄せ合つて寒さをしのいでゐる四人があつた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
俺は決してお前を憎むのではないが暫らく余焔ほとぼりめるまで故郷くにへ帰って謹慎していてもらいたいといって、旅費その他のまとまった手当をくれた。
三十年前の島田沼南 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
彼は実家を出奔しゅっぽんして、宜黄ぎこうというところへ行って或る家に雇われていたが、やはり実家が恋しいので、もう余焔ほとぼりめた頃だろうと、のそのそ帰って来たのであることがわかった。