余焔よえん)” の例文
旧字:餘焔
町並で山下通りの電車線路の近くは、表町通りの熾烈しれつなネオンの光りを受け、まるで火事の余焔よえんを浴びているようである。池の縁を取りまいて若い並木の列がある。
雛妓 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
大阪兵燹へいせん余焔よえんが城内の篝火かがりびと共にやみてらし、番場ばんばの原には避難した病人産婦の呻吟しんぎんを聞く二月十九日の夜、平野郷ひらのがうのとある森蔭もりかげからだを寄せ合つて寒さをしのいでゐる四人があつた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
ぶすぶすと余焔よえんはまだ尽きない。
討たせてやらぬ敵討 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)