“ほとぼり”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
余熱34.3%
余燼20.0%
余炎11.4%
余温8.6%
余焔5.7%
餘炎5.7%
餘熱5.7%
火気2.9%
2.9%
餘燼2.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
四国西国で賭試合の小屋がけをつづけ、各所で得た悪銭を懐にして、もう余熱ほとぼりも醒めた頃と、再び江戸へ帰ってくる途中であった。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
復一はボートの中へ仰向あおむけにそべった。空の肌質きじはいつの間にか夕日の余燼ほとぼりましてみがいた銅鉄色にえかかっていた。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
やや余炎ほとぼりのさめたる頃に信さんお前は腹を立つか知らないけれど時の拍子だから堪忍して置いてくんな、誰れもお前正太が明巣あきすとは知るまいでは無いか
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
河岸山 どこかで余温ほとぼりさましてから来る心算つもりか知れぬな。
一本刀土俵入 二幕五場 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
彼は実家を出奔しゅっぽんして、宜黄ぎこうというところへ行って或る家に雇われていたが、やはり実家が恋しいので、もう余焔ほとぼりめた頃だろうと、のそのそ帰って来たのであることがわかった。
やゝ餘炎ほとぼりのさめたるころのぶさんおまへはらつからないけれどとき拍子ひようしだから堪忍かんにんしていてんな、れもおまへ正太しようた明巣あきすとはるまいではいか
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
其の代り、また非常に飽きっぽいたちで、惚れて/\惚れ抜いて、執拗しつこい程ちやほやするかと思えば、直きに餘熱ほとぼりがさめて了い、何人となく女房を取り換えます。
幇間 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
曲り角へ来てポストへ手紙を入れる事は忘れなかったけれども、肝心かんじんの森本の安否はこの時すでに敬太郎の胸に、ただかすかな火気ほとぼりを残すのみであった。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
けれども、甘やかされて我儘わがままに育った者は仕方のないものである。私はまた性懲りもなく家出をした。まえのほとぼりのまださめないうちに。
遁走 (新字新仮名) / 小山清(著)
抱き起しては見ましたが、朝露に冷々と洗はれた顏には、最早生命の餘燼ほとぼりも殘つては居ません。