トップ
>
余熱
>
ほとぼり
ふりがな文庫
“
余熱
(
ほとぼり
)” の例文
旧字:
餘熱
下宿では
衆
(
みんな
)
が寝静まっていた。長い廊下を伝うて、自分の部屋へ入ると、戸を閉めきった室内には、まだ晩方の
余熱
(
ほとぼり
)
が籠っていた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
四国西国で賭試合の小屋がけをつづけ、各所で得た悪銭を懐にして、もう
余熱
(
ほとぼり
)
も醒めた頃と、再び江戸へ帰ってくる途中であった。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今では
余熱
(
ほとぼり
)
が冷めてホテルのダンス場も何カ
月
(
つき
)
ぶりかで再び開かれたが、さしもに流行したダンス熱は一時ほどでなくなった。
四十年前:――新文学の曙光――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
母親はまださっきの驚きと激怒の
余熱
(
ほとぼり
)
の残っているように、くどくどと一つことを繰り返していっている。
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
蓋
(
けだ
)
し、尋ねようと云う石田の宿所は
後門
(
うらもん
)
を抜ければツイ其処では有るが、何分にも胸に燃す
修羅苦羅
(
しゅらくら
)
の火の手が
盛
(
さかん
)
なので、暫らく散歩して
余熱
(
ほとぼり
)
を冷ます積りで。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
▼ もっと見る
それ等の無気味な尾行者? を思出して
余熱
(
ほとぼり
)
の冷めるまで引籠っている事にした。
日蔭の街
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
母「フーム、少し
余熱
(
ほとぼり
)
が
冷
(
さめ
)
ると
直
(
すぐ
)
に持った病が出ます、二の腕の
刺青
(
ほりもの
)
を忘れるな」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
素脚で地べたに立つてゐる私の
蹠
(
あしのうら
)
に、まだそこばく残つてゐた真夏の汗臭い
余熱
(
ほとぼり
)
を一気に跳ね飛ばされて、初秋の溌剌たる健かさと明徹な冷つこさとが、そこらにふりかかるやうに感じたものだ。
独楽園
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
一つには与惣次失踪から足のつくことを
懼
(
おそ
)
れて、与惣次の内輪話を資本に、頭を剃って夢物語に箔を付け、女房の一筆と高飛の路銀を持って
余熱
(
ほとぼり
)
の冷める両三日をと次郎兵衛店に寝に来たところを
釘抜藤吉捕物覚書:04 槍祭夏の夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そこらが薄暗くなっているのに気がつくと、笹村はマッチを
摺
(
す
)
ってランプを
点
(
つ
)
けて見たが、
余熱
(
ほとぼり
)
のまだ
冷
(
さ
)
めない部屋は、息苦しいほど暑かった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「それはご潔癖もちと強情に過ぎはしませんか。しばらくここの
余熱
(
ほとぼり
)
をさまし、周囲のおちつきを見とどけてから、世間へお帰りある方が、諸事、無難でございましょうに」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
部屋にはまだ西日の
余熱
(
ほとぼり
)
が籠っていて、病人のようないらいらしい一ト夜が、寝苦しくてしかたがなかった。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
先刻
(
さっき
)
出て行ったままに、鏡立てなどが
更紗
(
さらさ
)
の
片
(
きれ
)
を
被
(
か
)
けた芳村の小机の側に置かれて、女の脱棄てが、外から帰るとすぐ暖まれるように
余熱
(
ほとぼり
)
のする土の
安火
(
あんか
)
にかけてあった。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
“余熱”の意味
《名詞》
一度熱したもので熱気が冷めきらないこと。また、その熱気。
残暑。
(出典:Wiktionary)
余
常用漢字
小5
部首:⼈
7画
熱
常用漢字
小4
部首:⽕
15画
“余”で始まる語句
余
余所
余程
余裕
余燼
余韻
余計
余波
余所行
余所目