余燼ほとぼり)” の例文
旧字:餘燼
ナニ、そのほか何やかやと、ちっとばかりヤバい身体だ。こいつア余燼ほとぼりが冷めるまで、当分江戸を売るほうが上分別かも知れねえ
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
復一はボートの中へ仰向あおむけにそべった。空の肌質きじはいつの間にか夕日の余燼ほとぼりましてみがいた銅鉄色にえかかっていた。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
あの晩、鎧櫃に入れて、二度にして運んで隠すつもりだったろうが、その最初に、唖が捕まったので、余燼ほとぼり
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
抱き起してはみましたが、朝露に冷え冷えと洗われた顔には、最早生命の余燼ほとぼりも残ってはいません。
「町の気はいも観てきたが、だいぶ余燼ほとぼりめたらしい。六波羅の侍自身が、牛若の失踪は、神隠しだと云っているそうだ。どこまでも天狗が、頭から脱けないらしい」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「その段は、沢庵がひきうけておく。二年なり三年なり余燼ほとぼりのさめた頃に、改めて、武蔵どのを訪ね、お詫びいたしたがよかろう。沢庵もその時にはとりなして進ぜる」
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
父は、不埒ふらちな娘と、怒っていれば済む。そのうちに、余燼ほとぼりも冷めよう。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのうちに、余燼ほとぼりめるのを待って、遠国へはしるがよい
旗岡巡査 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「もうよかろう……。だいぶ、余燼ほとぼりめたらしい」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)