余炎ほとぼり)” の例文
旧字:餘炎
本心に立ちかえりさえすれば神尾のことだから、相当要領よくのがれて、余炎ほとぼりを抜くまでどこぞに忍ばせているだろう。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
やや余炎ほとぼりのさめたる頃に信さんお前は腹を立つか知らないけれど時の拍子だから堪忍して置いてくんな、誰れもお前正太が明巣あきすとは知るまいでは無いか
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
腰膚こしはだぬいで冷水摩擦をやる。日露戦争の余炎ほとぼりがまださめぬ頃で、面籠手めんこてかついで朝稽古から帰つて来る村の若者が「冷たいでしやう」と挨拶することもあつた。
水汲み (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
「その辻の家へ来て、余炎ほとぼりの冷めるまで、毎日魚を釣って歩いていました」
村の成功者 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)