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木賃
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きちん
ふりがな文庫
“
木賃
(
きちん
)” の例文
「ああ、病人の旅のもんならば、裏の離れにおるだあ。この露地から、裏へ廻らっしゃい」
木賃
(
きちん
)
の亭主が、煙っている家の中で呶鳴る。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それは「馬までも」という言葉で推しはかる事が出来る。作者一茶の如きはその馬にも劣りて、いつも
木賃
(
きちん
)
に泊ったものである。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
「親父は
車夫
(
くるまひき
)
の野郎とけんかをして殺されたのだ。これをやるから
木賃
(
きちん
)
へ泊まってくれ。今夜は仲間と
通夜
(
つや
)
をするのだから。」
窮死
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
『おゝ、』と
飛附
(
とびつ
)
くやうな
返事
(
へんじ
)
を
為
(
し
)
て
顔
(
かほ
)
を
出
(
だ
)
したが、
固
(
もと
)
より
誰
(
たれ
)
も
居
(
ゐ
)
やう
筈
(
はず
)
は
無
(
な
)
い。
枕
(
まくら
)
ばかり
寂
(
さび
)
しく
丁
(
ちやん
)
とあり、
木賃
(
きちん
)
で
無
(
な
)
いのが
尚
(
な
)
ほうら
悲
(
かな
)
しい。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
おかしなことに、古屋島七兵衛さんは、郡代の裏の、ずっと神田の
附木店
(
つけぎだな
)
によった方の、
小
(
ち
)
いっぽけな、みすぼらしい
木賃
(
きちん
)
のような宿屋の御亭主であった。
旧聞日本橋:06 古屋島七兵衛
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
▼ もっと見る
「どうしようと言ったって、まあ今夜はどこか
木賃
(
きちん
)
へでも泊って、ゆっくり相談するとしよう」
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ミハイロは夜は
普請小舎
(
ふしんごや
)
の隅に寝る事にしてゐた。
木賃
(
きちん
)
に泊る程の贅沢も出来ないのだ、手伝の娘は外の娘達と連立つて何処へか帰つて行く、時には例の職人と一緒に帰つて行く事もある。
椋のミハイロ
(新字旧仮名)
/
ボレスワフ・プルス
(著)
それは
木賃
(
きちん
)
同様の貧しい宿屋に泊まった時のことで、
相宿
(
あいやど
)
の女が親切に看病してくれた。女はかのおころで、同商売といい、女同士といい、その親切に油断して、管狐の秘密をおころに話した。
半七捕物帳:58 菊人形の昔
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
悄然
(
しょうぜん
)
と、
木賃
(
きちん
)
へ帰ってから、ひとり薄いふとんの中で、これまでの修行と、現在の自分の力とを、反省し、また反復して、痛切に
省
(
かえり
)
みてみた。
剣の四君子:05 小野忠明
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
二階
(
にかい
)
が、また
二階
(
にかい
)
が
見
(
み
)
える。
黒
(
くろ
)
い
柱
(
はしら
)
に、
煤
(
すゝ
)
け
行燈
(
あんどん
)
。
木賃
(
きちん
)
御泊宿
(
おとまりやど
)
——
内湯
(
うちゆ
)
あり——と、
雨
(
あま
)
ざらしに
成
(
な
)
つたのを、
恁
(
か
)
う……
見
(
み
)
ると、
今
(
いま
)
めかしき
事
(
こと
)
ながら、
芭蕉
(
ばせを
)
が
奧
(
おく
)
の
細道
(
ほそみち
)
に……
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
けれど官兵衛は、鍛冶屋町のうす汚い
木賃
(
きちん
)
に宿をとって、着いた日も、その翌日も、目薬を
商
(
あきな
)
いながら町ばかり歩いていた。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
角力
(
すまふ
)
など
取
(
と
)
らねば
可
(
よ
)
かつた。
夜半
(
よなか
)
に
腹
(
はら
)
の
空
(
す
)
いた
事
(
こと
)
。
大福
(
だいふく
)
もちより、きしめんにすれば
可
(
よ
)
かつたものを、と
木賃
(
きちん
)
でしらみをひねるやうに、
二人
(
ふたり
)
とも
財布
(
さいふ
)
の
底
(
そこ
)
をもんで
歎
(
たん
)
じた。
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
旅籠はいくらもあるらしいが、路銀の都合もあるし、そうかといって、あまり場末や路地の
木賃
(
きちん
)
では、後から捜して来る城太郎にわかりにくかろう。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
御串戯
(
ごじょうだん
)
もんですぜ、泊りは
木賃
(
きちん
)
と
極
(
きま
)
っていまさ。
茣蓙
(
ござ
)
と
笠
(
かさ
)
と
草鞋
(
わらじ
)
が留守居。壁の破れた処から、鼠が首を長くして、私の帰るのを待っている。四五日はこの桑名へ御厄介になろうと思う。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
時には、借る宿もなく、木蔭に
油単
(
ゆたん
)
を敷いて、
更着
(
かえぎ
)
を
被
(
かつ
)
いでしのぐ晩もあり、
木賃
(
きちん
)
の
破
(
や
)
れ
屋根
(
やね
)
の穴に星を見つつ臥す晩もあるが、寺院は最良な
旅籠
(
はたご
)
だった。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
津々浦々
(
つつうらうら
)
の
渡鳥
(
わたりどり
)
、
稲負
(
いなおお
)
せ
鳥
(
どり
)
、
閑古鳥
(
かんこどり
)
。姿は知らず名を
留
(
と
)
めた、一切の
善男子
(
ぜんなんし
)
善女人
(
ぜんにょにん
)
。
木賃
(
きちん
)
の
夜寒
(
よさむ
)
の枕にも、雨の夜の
苫船
(
とまぶね
)
からも、夢はこの
処
(
ところ
)
に宿るであろう。巡礼たちが
霊魂
(
たましい
)
は時々
此処
(
ここ
)
に来て
遊
(
あす
)
ぼう。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いえ、この
生業
(
なりわい
)
も、
木賃
(
きちん
)
のあるじが、長谷のお
賽日
(
さいにち
)
には人出もあるゆえと、私たち夫婦に稼ぎの道を
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
とあっさり断られたので、この前、泊ったことのある浅草見附の
木賃
(
きちん
)
に落ちつき、二、三日は見物でもして水戸へ帰ろうかと思っていると、今朝早く、介三郎がふいにたずねて来て
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「あれでよかろう。
木賃
(
きちん
)
らしいが、土間に腰かけておる
老爺
(
おやじ
)
の老爺ぶりがよい」
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼方
(
かなた
)
を見ると、
水村
(
すいそん
)
の
灯
(
ひ
)
が二つ三つまたたいている。彼は村の
木賃
(
きちん
)
へ眠った。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼らは、
木賃
(
きちん
)
の定例どおり、例の
自炊
(
じすい
)
にとりかかり、寝酒を飲んではしゃぎ合った。もちろん林冲へも馬の
飼料
(
かいば
)
でもくれるように木鉢に盛った
黄粱飯
(
こうりょうめし
)
が、首カセの前に置かれはしたが……。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と辻を曲って、鍛冶屋町の
木賃
(
きちん
)
へその日も帰ってしまった。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、この
木賃
(
きちん
)
へ連れて来たものだった。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
奥で
木賃
(
きちん
)
の
親爺
(
おやじ
)
がいう。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“木賃”の意味
《名詞》
宿泊客が自分で炊事をするための薪の代金。
薪代(木賃)を払って宿泊すること。また、薪代だけ支払う宿(木賃宿)のこと。
(出典:Wiktionary)
“木賃(
木賃宿
)”の解説
木賃宿(きちんやど)は、日本の宿泊施設の種類の一つ。
(出典:Wikipedia)
木
常用漢字
小1
部首:⽊
4画
賃
常用漢字
小6
部首:⾙
13画
“木賃”で始まる語句
木賃宿
木賃泊
木賃旅籠