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暢
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のん
ふりがな文庫
“
暢
(
のん
)” の例文
月々の支払が満足に出来て、月に二三回
暢
(
のん
)
びりした気持で映画を見るとか、旅行するとか、その位の余裕があればそれで十分だつた。
のらもの
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
彼女の
関節
(
ふしぶし
)
が楽々しだした。彼女はいつにない
暢
(
のん
)
びりした気分で、結婚後始めて経験する事のできたこの自由をありがたく味わった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
こういうとひどくぶまで品の下ったように思えるが実際はそれとまったく反対で、ひじょうにおおらかで
暢
(
のん
)
びりした感じが
溢
(
あふ
)
れていた。
ひやめし物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
暢
(
のん
)
びり拡がった命宮のところから、一筋に日本人には珍しく、透き徹った鼻の尊大な気象と意思の力。
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
摂津
(
せつつの
)
大掾の
女房
(
かない
)
のお
高
(
たか
)
婆さんといふと、名代の
口喧
(
くちやかま
)
しい女で、弟子達の多くが
温柔
(
おとな
)
しい大掾の前では、日向ぼつこの猫のやうに
暢
(
のん
)
びりした気持でゐるが、一度襖の蔭から
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
▼ もっと見る
骨太なわりには、
痩肉
(
そうにく
)
の方である。
顎
(
あぎと
)
のつよい線や、長すぎるほど長い眉毛だの、大きな
鼻梁
(
びりょう
)
が、どこか
暢
(
のん
)
びり間のびしているところなど、これは西の顔でもなし、京顔でもない。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お母上のお手紙は、この間はじめてどことなく
暢
(
のん
)
びりした調子でかかれてあったので、よかったと思いました。お話のあった手続のこと、私の分だけはもうすみました。御安心下さい。
獄中への手紙:01 一九三四年(昭和九年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
で、どうせ、それは、
蜘蛛
(
くも
)
の巣だらけでは有ったろうけれど、兎も角も
雨露
(
うろ
)
を
凌
(
しの
)
ぐに足る椽の下の
菰
(
こも
)
の上で、
甘
(
うま
)
くはなくとも朝夕二度の汁掛け飯に事欠かず、まず無事に
暢
(
のん
)
びりと育った。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
ちぐさはおくてのうえに、
暢
(
のん
)
びりした生れつきで、まだ女らしい気持になっていない。結婚などはもっとさきのことだ、と思っていた。
赤ひげ診療譚:03 むじな長屋
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
三十代の夫婦の外に、七つになる女の貰い子があるきり、
老人気
(
としよりけ
)
のないこの家では、お島は比較的気が
暢
(
のん
)
びりしていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
宗助
(
そうすけ
)
も
樹
(
き
)
の
多
(
おほ
)
い
方角
(
はうがく
)
に
向
(
む
)
いて
早足
(
はやあし
)
に
歩
(
ほ
)
を
移
(
うつ
)
した。
今日
(
けふ
)
の
日曜
(
にちえう
)
も、
暢
(
のん
)
びりした
御天氣
(
おてんき
)
も、もう
既
(
すで
)
に
御仕舞
(
おしまひ
)
だと
思
(
おも
)
ふと、
少
(
すこ
)
し
果敢
(
はか
)
ない
樣
(
やう
)
な
又
(
また
)
淋
(
さみ
)
しい
樣
(
やう
)
な
一種
(
いつしゆ
)
の
氣分
(
きぶん
)
が
起
(
おこ
)
つて
來
(
き
)
た。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
何だか籠のような
狭隘
(
せせこま
)
しい処から、茫々と広い明るい空のような処へ放されて飛んで行くようで、何となく心臓の締るような気もするが、又何処か
暢
(
のん
)
びりと、急に脊丈が延びたような気もする。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
上座の中央を避けて坐った益山税所は、いつもの煮えきらない
暢
(
のん
)
びりした人に似合わずかなり
貫禄
(
かんろく
)
のあるおちついた態度をみせていた。
いさましい話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ちよつと凄味のあるその年増女は芸者といふよりも女郎と言つた方が適当らしかつたが、吉原の花魁などとは気分がちがつて、どこか
暢
(
のん
)
びりしてゐた。
佗しい放浪の旅
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
宗助も
樹
(
き
)
の多い方角に向いて早足に歩を移した。今日の日曜も、
暢
(
のん
)
びりした御天気も、もうすでにおしまいだと思うと、少しはかないようなまた
淋
(
さみ
)
しいような一種の気分が起って来た。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いつも
暢
(
のん
)
びり構えていたし、暇さえあれば隣り近所のかみさんたちを集めて、
賑
(
にぎ
)
やかにティー・パーティーをひらいた。
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
何か無風帯へでも入つて来たやうな
暢
(
のん
)
びりした故郷の気分が私の
性
(
しやう
)
に合はないのか、私は故郷へ来ると、いつでも神経が
苛
(
いら
)
つくやうな感じだが、今もいくらかその気味だつた。
町の踊り場
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
いくら明かでも、いくら
暢
(
のん
)
びりしていても、全く実世界の事実となってしまう。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その男は悠くりと、いちど店の前を通り過ぎ、また戻って来て、元のほうへと、
暢
(
のん
)
びり通り過ぎた。
月代
(
さかやき
)
がうすく伸び、
逞
(
たくま
)
しい
顎
(
あご
)
にも
無精髭
(
ぶしょうひげ
)
がみえた。
夕靄の中
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
雪乃は五尺二寸ほどあるゆったりした躯つきで、立ち居のおちついた、口のききかたなども
暢
(
のん
)
びりした娘であった。
つばくろ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「その縁談はきまったんじゃねえか」と倉なあこが
暢
(
のん
)
びりと云った、「おらもうきまったように聞いただがね」
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「その縁談はきまったんじゃねえか」と倉なあこが
暢
(
のん
)
びりと云った、「おらもうきまったように聞いただがね」
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「さあね、あのまま伝右衛門の家にいるか、それともまた船を繋いで、独りで
暢
(
のん
)
びり暮しているでしょうな」
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
生垣の手入れをしていたのだろう、片手で
鋏
(
はさみ
)
の音をさせながら、
暢
(
のん
)
びりした調子で、徳次郎に話しかけた。
五瓣の椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
あやは五人きょうだいの三番めであり、唯ひとりの女だったから、きびしい
躾
(
しつけ
)
とともに、あまやかされて育った明るさと、
暢
(
のん
)
びりした楽天的なところをもっていた。
十八条乙
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「木更津に遠い親類がいるんだよ」政は徳利を振ってみて、残り少ないのを盃に注ぎながら云った、「そこへいって半年か一年、
暢
(
のん
)
びりくらして来てえと思うんだ」
あすなろう
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「二十日の余も
暢
(
のん
)
びり寝たうえ、まだ半月ちかくも寝ていろっていうじゃない、あたしゃものごころがついてこのかた、こんな仕合せなめにあったのは初めてだよ」
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
話しぶりも
暢
(
のん
)
びりしていた。怒っているときでも、動作や言葉づかいに変りはなかった。よほど怒ったときでもふくれるだけで、大きな声を出すようなことはなかった。
秋の駕籠
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
枡平を出たとき戸外は
昏
(
く
)
れていた。風はないので、
合羽
(
かっぱ
)
と
笠
(
かさ
)
をつけた二人は、雪の中を
暢
(
のん
)
びりあるきだした。危なかったなあ、と十太夫が云って、
可笑
(
おか
)
しそうに笑った。
饒舌りすぎる
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
印半纏
(
しるしばんてん
)
に足は裸で、頬かぶりをし、両手をうしろ腰に組んだまま、ひどく
暢
(
のん
)
びりと歩いているのである。そこは脛の半ばぐらいまで水があり、男はその水の中で立停って振り返った。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
一発だけするどい射撃音が起こり、それが
暢
(
のん
)
びりとこだまして、消えた。
樅ノ木は残った:02 第二部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
親子で
大洗
(
おおあらい
)
さまへいきました、弁当を持って半日、親子で
暢
(
のん
)
びり海を見て来ましたが、あとにもさきにもあんなに気持の暢びりした、たのしいことはありませんでしたよ、生れてっから今日まで
赤ひげ診療譚:06 鶯ばか
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「
祝言
(
しゅうげん
)
をすれば
世帯
(
しょたい
)
じみてしまうんだ」と直衛は云った、「家庭の
煩瑣
(
はんさ
)
なきずなからはなれ、二人だけで
暢
(
のん
)
びり食事のできるのはいまのうちだからな、他人の眼なんか気にするのはばかげた話だよ」
改訂御定法
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「おまえのしたかったことを、かよにさせるがいい、侍の子だなどという考えは捨てて、町人の娘らしく、
暢
(
のん
)
びりと気楽に育てるのだ、私たちにできなかったことを、かよにはさせるようにしよう」
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「そんなことはない、あれは
側女
(
そばめ
)
などに嫉妬するような、ふたしなみな女ではない、おれは娘時代のあれを知っているが、おうようで
暢
(
のん
)
びりした、とうてい嫉妬などをするような性質ではなかった」
樅ノ木は残った:01 第一部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「
暢
(
のん
)
びりと山歩きか」とべつの一人が云った、「風雅なことです」
失蝶記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
万三郎は
暢
(
のん
)
びりと云った。
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
万三郎は
暢
(
のん
)
びりと云った。
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
暢
漢検準1級
部首:⽇
14画
“暢”を含む語句
悠暢
暢達
暢々
暢気
流暢
暢然
暢気坊
明暢
快暢
暢氣
暢気者
暢気相
円暢
暢気千万
暢草
麗瑰流暢
暢艶
伸暢
暢茂
遠暢
...