景気けいき)” の例文
旧字:景氣
また、商店しょうてんは、すこしでもよけいに品物しなものろうとおもって、店先みせさきをきれいにかざって、いたるところで景気けいきをつけていました。
酔っぱらい星 (新字新仮名) / 小川未明(著)
道子みちこたゞなんといふわけもなく吾妻橋あづまばしのたもとがさゝうなのするまゝ、こゝを出場所でばしよにしたのであるが、最初さいしよばんから景気けいきく、よひうち二人ふたりきやくがつき
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
「おきつねさま、今日こんにちは! ごきげんいかがですか、ご景気けいきはいかがですか、せちがらい世の中になりましたが、おきつねさまは、どんなお生活くらしをなすっておいでですか」
イ、はじめるぞ、はゝゝはゝ駆競かけつくらのやうだの。なに前後あとさきかまひごとはねえだよ。お前様めえさま串戯じやうだんごとではあんめえが、なんでも仕事しごとするには元気げんきかぎるだで、景気けいきをつけるだ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
じしんはとおく戦陣せんじんたびにあるとも、留守るす町人ちょうにん百姓ひゃくしょうや女子供には、こうして、春は春らしく、平和にのんきに景気けいきよく、今宮祭いまみやまつりができるようにしておくのも、つまり、筑前守秀吉ちくぜんのかみひでよし
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ちょうどこの頃城下はずれに女軽業の大一座が小屋掛けをして景気けいきを呼んでいた。
大捕物仙人壺 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「いいえ、どういたしまして。どうです、今年のわたどり景気けいきは」
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
それにもかかわらず、くに戦争せんそうにやぶれてからは、景気けいき変動へんどうもはげしく、とうとうかれはどんぞこへつきおとされました。
きつねをおがんだ人たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
その故郷こきょう父親ちちおやからひさしぶりに便たよりがありました。今年ことしなつは、ひじょうにあつかったかわりに、作物さくもつがよくできて、むらは、景気けいきがよく、みんながよろこんでいる。
風雨の晩の小僧さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのとしれ、翌年あくるとしになると、不思議ふしぎうんがめぐってきました。汽車きしゃがこのむらとおって、停車場ていしゃじょうちかくにつといううわさがたつと、きゅうにあたりが景気けいきづきました。
くわの怒った話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
このころが、みやこもいちばんにぎやかな時分じぶんとみえて、去年きょねんあき以来いらいなかった景気けいきでございました。
馬を殺したからす (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おまえさん、たびへゆきなさると、かねがもうかるそうですよ。いま、あちらは景気けいきがいいといいますから、きっとらしきも、いいにちがいありません。」とこたえました。
おかしいまちがい (新字新仮名) / 小川未明(著)
「なに、工場こうじょうなどへいかなくたって、いえにいて、おれ手助てだすけをすればいい。」と、伯父おじさんは、やっと高等小学校こうとうしょうがっこうたばかりの達吉たつきち少年工しょうねんこうとして、たとえこのごろは景気けいきがよくても
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)