成長せいちやう)” の例文
「こんなに年老としよるまで、自分じぶんこづゑで、どんなにお前のためにあめかぜをふせぎ、それとたゝかつたかれない。そしておまへ成長せいちやうしたんだ」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
河にうまれて海に成長せいちやうすれども、むかしより海にてあみに入たる事なし。其始終そのしじゆうをおもふに、さけ鱗族りんぞく奇魚きぎよといふべし。
子供達こどもたちの、わけてもつとむ成長せいちやう進歩しんぽは、彼女かのぢよ生活せいかつきた日誌につしであつた。さうしていまやその日誌につしは、あたらしいページをもつてはじまらうとしてゐるのである。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
渡世としお三婆々さんばゝよばれたり娘も追々おひ/\成長せいちやうして容貌きりやうも可なりなるにはや年頃になれば手元におくも爲によからじ何方いづかたへ成とも奉公ほうこういださんと口入の榎本屋えのもとや三藏を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
勘次かんじ監督かんとくつぼみ成長せいちやうとゞめるひやゝかな空氣くうきで、さうしてこれねらふものを防遏ばうあつする堅固けんご牆壁しやうへきである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
此なかにうまれ、此なかに成長せいちやうするゆゑ、わらべの雪遊びをなす事さま/″\ありて、暖国だんこくにはなき事多し。
やくして各々妻にも其趣そのおもむきを云聞いひきかせ是より兩家べつしてむつましく交際つきあひけり然るに兩人の子供こども丈夫ぢやうぶ成長せいちやうなすうちはや吉三郎十三歳と成し時ちゝの茂兵衞大病たいびやうわづら種々しゆ/″\療養れうやう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
彼女かのぢよつとむ成長せいちやうたのしみすごした空想くうさうは、はからずもおそろしい不安ふあん彼女かのぢよむね暴露あばいつた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
ひとさわやかなみどりあたへられた大根だいこんも、いく成長せいちやうしてもつよめる晩秋ばんしうけてにひつゝくやうにしてやつなゝめひろがるのみで、すこしでもたかのぼることを許容ゆるされてらぬ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
貸遣かしつかはし世話致し候ひしに兩三年すぎ右當人平右衞門死去しきよ致し跡には女房にようばうお三と申ばゝと娘の兩人に相成あひなりしがお三婆はさん取揚とりあげ家業かげふとし娘をそだてしが追々成長せいちやうするにしたがはり仕事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)