あはたゞ)” の例文
その最初の一瞥のあはたゞしさ! そしてどんなに見詰めることか! 何といふ驚愕! どんなに、不意に、烈しく、彼は、一瞬間前には
いまあはたゞしくつた。青年わかもの矢庭やにはうなじき、ひざなりにむかふへ捻廻ねぢまはすやうにして、むねまへひねつて、押仰向おしあふむけたをんなかほ
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
『あの説明せつめい出來できるものか』とあはたゞしくつてグリフォンは、『それよりもつぎせつねがひませう』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
そのはものぐるはしいまで、あはたゞしく外套ぐわいたういだ。トタンに、衣絵きぬゑさんのしろ幻影げんえいつゝむでかくさうとしたのである。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
藻抜もぬけのやうにつてた、わしたましひもどつた、其方そなたをがむとひとしく、つえをかいみ、小笠をがさかたむけ、くびすかへすとあはたゞしく、一さんりたが、さといた時分じぶんやま驟雨ゆふだち
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
黒雲くろくもかついだごとく、うし上口あがりくちれたのをあふいで、うへだんうへだんと、両手りやうてさきけながら、あはたゞしく駆上かけあがつた。……つきくらかつた、矢間やざまそともり下闇したやみこけちてた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それをんなたすいたところは、夜一夜よひとよ辿々たど/\しく、山路野道やまみちのみちいばらなか徉徜さまよつた落人おちうどに、しらんだやうでもあるし、生命懸いのちがけ喧嘩けんくわからあはたゞしく抜出ぬけだしたのが、せいきて疲果つかれはてたものらしくもある。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)