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いろどり
ふりがな文庫
“
彩
(
いろどり
)” の例文
旦那の智恵によると、鳥に近づくには、季節によって、樹木と同化するのと、また鳥とほぼ服装の
彩
(
いろどり
)
を同じゅうするのが妙術だという。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
色は
燻
(
くす
)
んだ赤黄色のもので、よい
彩
(
いろどり
)
を与えます。この窯でかつて長方形の片口のような
擂鉢
(
すりばち
)
を作りましたが、惜しいことに絶えました。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
黄、淡緑、薄茶、金茶、青、薄紺など、さまざまの
彩
(
いろどり
)
に芽を吹いた老木が香り合って、真昼の陽光に照り栄えていたのである。
瀞
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
厚き
蓐
(
しとね
)
の積れる雪と真白き上に、
乱畳
(
みだれたた
)
める
幾重
(
いくへ
)
の
衣
(
きぬ
)
の
彩
(
いろどり
)
を争ひつつ、
妖
(
あで
)
なる姿を
意
(
こころ
)
も
介
(
お
)
かず
横
(
よこた
)
はれるを、窓の日の
帷
(
カアテン
)
を
透
(
とほ
)
して
隠々
(
ほのぼの
)
照したる
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
そうすると口では言えないいろいろ
淫猥
(
いんわい
)
なことが平気にそれからそれへととっぴに
彩
(
いろどり
)
をつけて想像される。それがまた逆に彼の慾情を
煽
(
あお
)
りたてた。
雪の夜
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
▼ もっと見る
卓子を離れるときに、あたりを見廻すと、どの卓子もすでに客は帰ったあとで、白い真四角の
布
(
クロース
)
の上に
彩
(
いろどり
)
さまざまの
牌
(
パイ
)
が、いぎたなく散らばっていた。
麻雀殺人事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
江戸に正月せし人の
話
(
はなし
)
に、市中にて見上るばかり松竹を
飾
(
かざり
)
たるもとに、
美
(
うつくし
)
く
粧
(
よそほ
)
ひたる娘たち
彩
(
いろどり
)
たる
羽子板
(
はごいた
)
を持て
並
(
なら
)
び立て羽子をつくさま、いかにも大江戸の春なりとぞ。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
(これで何がな、風景に
彩
(
いろどり
)
が生じた)だが、芝艸の睡りはさめるとしもない。
雪
(新字旧仮名)
/
高祖保
(著)
むしろ彼女こそは
彩
(
いろどり
)
尠
(
すく
)
ない私の少年期に幾分の内容を添えてくれたものとして、できるだけのことはしてやったが、彼女もまさかに彼女の不用意な一言が、かくも私の一生を支配していようとは
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
その川を隔てて向うの岸には奇態な岩壁が重なり立って居りまして、その色合も黄あるいは紅色、誠に
爽
(
さわや
)
かな青色、それから緑色、少しく紫がかった色というようにいろいろな
彩
(
いろどり
)
が現われて居る。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
ようやくにして水面へ抜きあげ、手網にとって見た虹鱒、銀青色の横腹に
紅殻
(
べにがら
)
を刷いたような
彩
(
いろどり
)
、山の魚は美しい。
雪代山女魚
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
様々な布が交るので、しばしば美しい
彩
(
いろどり
)
を示し、白雪一色の冬の暮しを温めてくれます。陸中ではとりわけこの裂織が盛で、特に
七戸
(
しちのへ
)
や
八戸
(
はちのへ
)
地方に多く見受けます。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
江戸に正月せし人の
話
(
はなし
)
に、市中にて見上るばかり松竹を
飾
(
かざり
)
たるもとに、
美
(
うつくし
)
く
粧
(
よそほ
)
ひたる娘たち
彩
(
いろどり
)
たる
羽子板
(
はごいた
)
を持て
並
(
なら
)
び立て羽子をつくさま、いかにも大江戸の春なりとぞ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
黒縮緬
(
くろちりめん
)
の
一
(
ひと
)
ツ
紋
(
もん
)
の
羽織
(
はおり
)
を
着
(
き
)
て
足袋
(
たび
)
跣足
(
はだし
)
、
男
(
をとこ
)
は
盲縞
(
めくらじま
)
の
腹掛
(
はらがけ
)
、
股引
(
もゝひき
)
、
彩
(
いろどり
)
ある
七福神
(
しちふくじん
)
の
模樣
(
もやう
)
を
織
(
お
)
りたる
丈長
(
たけなが
)
き
刺子
(
さしこ
)
を
着
(
き
)
たり。これは
素跣足
(
すはだし
)
、
入交
(
いりちが
)
ひになり、
引違
(
ひきちが
)
ひ、
立交
(
たちかは
)
りて
二人
(
ふたり
)
とも
傍目
(
わきめ
)
も
觸
(
ふ
)
らず。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
河原の青い玉石も、松の黒い葉も、杉葉の浅緑も、幾十年の
彩
(
いろどり
)
を、晩春の陽のなかへ漂わせていた。
父の俤
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
その他縞と絣とをよく合せ、「
手縞
(
てじま
)
」と呼ぶものが好んで織られました。これらの織物類は
彩
(
いろどり
)
の多い点でまた
柄
(
がら
)
が
麗
(
うる
)
わしい点で、染物と競うほどの美しさを示しました。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
今昇った坂
一畝
(
ひとうね
)
り
下
(
さが
)
た処、
後前
(
あとさき
)
草がくれの
径
(
こみち
)
の上に、波に乗ったような趣して、二人並んだ姿が見える——
斉
(
ひとし
)
く雲のたたずまいか、あらず、その雲には、淡いが
彩
(
いろどり
)
があって、髪が黒く、
俤
(
おもかげ
)
が白い。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
尾の端まで
紅殻
(
べにがら
)
を刷いたように
薄紅
(
うすべに
)
の
彩
(
いろどり
)
が浮かび、美装を誇るかに似て
麗艶
(
れいえん
)
となるのである。
楢の若葉
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
俗に流れたものがあろうか。強き質、確かなる形、静かなる
彩
(
いろどり
)
、美を保障するこれらの性質は、用に堪えんとする性質ではないか。器が用を去る時、美をもまた去ると知らねばならぬ。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
毛氈
(
もうせん
)
の赤い色、
毛布
(
けっと
)
の青い色、風呂敷の黄色いの、
寂
(
さみ
)
しい
媼
(
ばあ
)
さんの鼠色まで、フト
判然
(
はっきり
)
と
凄
(
すご
)
い星の下に、漆のような夜の中に、淡い
彩
(
いろどり
)
して顕れると、
商人連
(
あきゅうどれん
)
はワヤワヤと動き出して、
牛鍋
(
ぎゅうなべ
)
の
唐紅
(
とうべに
)
も
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
中で吾々を悦ばせたのは両側に
刺繍
(
ししゅう
)
のある枕(コールピケ)であった。花や鳥や蝶や様々な図柄を色糸で
繍
(
ぬ
)
う。朝鮮ではこんなに
彩
(
いろどり
)
の多い品は少い。あれば色を子供らしく無邪気に配る。
全羅紀行
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
“彩”の意味
《名詞》
(いろどり)色をつけること。配色。
(だみ)金泥や銀泥で彩色すること。
(出典:Wiktionary)
彩
常用漢字
中学
部首:⼺
11画
“彩”を含む語句
彩色
色彩
光彩
彩色硝子
彩画
彩雲
極彩色
五彩
薄彩色
彩色画
彩畫
淡彩
彩糸
迷彩
彩虹
風彩
彩絹
色彩間苅豆
彩色絵
彩玻璃
...