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常磐
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ときわ
ふりがな文庫
“
常磐
(
ときわ
)” の例文
山の上では今
常磐
(
ときわ
)
花壇のある所は
日吉
(
ひえ
)
山王の社で総彫り物総金の立派なお宮が建っていました。その前の
崖
(
がけ
)
の上が
清水堂
(
きよみずどう
)
、左に鐘楼堂。
幕末維新懐古談:19 上野戦争当時のことなど
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
行人橋
(
ぎょうにんばし
)
から御嶽山道について
常磐
(
ときわ
)
の渡しへと取り、三沢というところで登山者のために備えてある
筏
(
いかだ
)
を待ち、その渡しをも渡って
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
大方の冬木立は
赤裸
(
あかはだか
)
になった今日
此頃
(
このごろ
)
でも、
樅
(
もみ
)
の林のみは
常磐
(
ときわ
)
の緑を誇って、一丈に余る高い梢は灰色の空を
凌
(
しの
)
いで
矗々
(
すくすく
)
と
聳
(
そび
)
えていた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「ここへ来たかというのかえ。……下谷の
常磐
(
ときわ
)
で待ち合わそうと、お前と約束はしたけれど、気になったので見に来ると……」
剣侠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
雪の日の
常磐
(
ときわ
)
御前に、眼をしばたたき、鞍馬の
遮那王
(
しゃなおう
)
牛若が、僧正ヶ谷で、夜ごと、
天狗
(
てんぐ
)
から剣法をうけて、京を脱出するところへくると
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
清盛
(
きよもり
)
はいくら
常磐
(
ときわ
)
を
探
(
さが
)
しても
見
(
み
)
つからないものですから
困
(
こま
)
って、
常磐
(
ときわ
)
のおかあさんの
関屋
(
せきや
)
というおばあさんをつかまえて
牛若と弁慶
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
そのころとしては作家たちを花屋敷の
常磐
(
ときわ
)
という一流料亭に招待したり、一足飛びに稿料何円かを支払って一般の稿料価上げを促したものである。
旧聞日本橋:13 お墓のすげかえ
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
先づ木立深き処に枯木
常磐
(
ときわ
)
木を吹き鳴す
木枯
(
こがらし
)
の風、とろとろ阪の曲り曲りに吹き
溜
(
た
)
められし落葉のまたはらはらと動きたる、岡の
辺
(
べ
)
の
田圃
(
たんぼ
)
に続く処
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
「私の心の
常磐
(
ときわ
)
な色に自信を持って、恐れのある場所へもお
訪
(
たず
)
ねして来たのですが、あなたは冷たくお扱いになる」
源氏物語:10 榊
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
常磐
(
ときわ
)
というのは全く松蔭の
匿名
(
かくしな
)
で大藏の家来有助が頼まれて
尾久在
(
おうござい
)
へ持ってまいるとまでは調べました、またそれに千早殿と
認
(
したゝ
)
めてあるのは、頓と分りませんが
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
トチワすなわち
常磐
(
ときわ
)
国については、大正元年十一月の『人性』に拙見を出した。似た話もあるもので、東牟婁郡高田村に代々葬後墓を
発
(
あば
)
き尸を
窃
(
ぬす
)
み去らるる家あり。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
むかしは土手の
平松
(
ひらまつ
)
とかいった料理屋の跡を、そのままの牛肉屋
常磐
(
ときわ
)
の門前から斜に堤を下り、やがて
真直
(
まっすぐ
)
に浅草公園の十二階下に出る
千束町
(
せんぞくまち
)
二、三丁目の通りである。
里の今昔
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
東詰
(
ひがしづめ
)
に高札を立ててあった
常磐
(
ときわ
)
橋、河岸から大名屋敷へつづいて、火の見やぐらの高く建っていた呉服橋、そこから
鍛冶
(
かじ
)
橋、江戸橋と見わたして、はては細川侯邸の通りから
不尽の高根
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
それはインドに産する
常磐
(
ときわ
)
の大喬木で無花果属すなわちイチジク属に属し Ficus religiosa L.(この種名の religiosa は宗教ノという意味)
植物一日一題
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
元来松は
常磐
(
ときわ
)
にて
最明寺
(
さいみょうじ
)
の
御馳走
(
ごちそう
)
をしてから以来
今日
(
こんにち
)
に至るまで、いやにごつごつしている。従って松の幹ほど滑らないものはない。手懸りのいいものはない。足懸りのいいものはない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「どッかで飲もう」ということになり、つれ立って、奥の
常磐
(
ときわ
)
へあがった。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
この喜多見の原の家に住み始めてから、今度はもう第十回目の春が
復
(
かえ
)
って来る。この間における草木の有為転変は、一つの巨大なる歴史であって、これに比べると人はむしろ
常磐
(
ときわ
)
であったとも言える。
野草雑記・野鳥雑記:01 野草雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
車窓からは見えもしないが、絵巻「山中
常磐
(
ときわ
)
」に描かれた常磐御前の
終焉
(
しゅうえん
)
の地という美濃山中もこの辺の山間にちがいない。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
おたずねになっている
常磐
(
ときわ
)
でございます。三
人
(
にん
)
の
子供
(
こども
)
をつれて出ました。わたくしは
殺
(
ころ
)
されてもようございますから、
母
(
はは
)
の
命
(
いのち
)
をお
助
(
たす
)
け
下
(
くだ
)
さいまし。
牛若と弁慶
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
あの
行人橋
(
ぎょうにんばし
)
から御嶽山道について
常磐
(
ときわ
)
の渡しまでお歩きになれば、今度お越しになったと同じ道に落ち合います。この次ぎはぜひ、福島の方からお回りください。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
中田千早
(
なかだちはや
)
様へ
常磐
(
ときわ
)
よりと……常磐の二字は松蔭の
匿名
(
かくしな
)
に相違ないが、千早と云うが分らん、
彼
(
あ
)
の下男を
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
常磐
(
ときわ
)
が三子助命のために忍んで夫の仇に身を任せたは美談か知らぬが、寵
弛
(
ゆる
)
んで更に他の男に嫁し
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
そのころ流行った
常磐
(
ときわ
)
という紙巻に火をつけて半七老人に一本すすめると、老人は丁寧に会釈して受け取って、なんだかきな臭いというような顔をしながら口のさきでふかしていた。
半七捕物帳:10 広重と河獺
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「行く先のご無事を祈り申しておるぞ。
常磐
(
ときわ
)
さま始め、おちいさい
公達
(
きんだち
)
たちのご先途、くれぐれも頼み参らすぞ」
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
王滝口への山道はその対岸にあった。御嶽登山をこころざすものはその道を取っても、
越立
(
こしだち
)
、
下条
(
しもじょう
)
、黒田なぞの山村を経て、
常磐
(
ときわ
)
の渡しの付近に達することができた。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ちょうど
冬
(
ふゆ
)
のことで、
雪
(
ゆき
)
がたいそう
降
(
ふ
)
っていました。
常磐
(
ときわ
)
は
牛若
(
うしわか
)
を
懐
(
ふところ
)
に
入
(
い
)
れて、
乙若
(
おとわか
)
の手をひいて、
雪
(
ゆき
)
の中を
歩
(
ある
)
いて行きました。
今若
(
いまわか
)
はそのあとからついて行きました。
牛若と弁慶
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
九条院のうちへ、三児を抱いて
常磐
(
ときわ
)
がかくされて、やがて自首の旨を、六波羅へ訴えて出て来たのは。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ゆかり様。——それはご当家に再縁あそばしてからの
更名
(
かえな
)
でございましょう。以前はたしか
常磐
(
ときわ
)
様」
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「よう、成人したものだ。……
常磐
(
ときわ
)
のふところに抱かれて、ほかの幼い
和子
(
わこ
)
たちと、
六波羅
(
ろくはら
)
殿に捕われたといううわさに、京の人々が涙をしぼった
保元
(
ほうげん
)
の昔は、つい
昨日
(
きのう
)
のようだが」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
遮那王といえば、源家の
嫡男
(
ちゃくなん
)
、
前左馬頭義朝
(
さきのさまのかみよしとも
)
の末子で、
幼名
(
おさなな
)
を、牛若といった
御曹子
(
おんぞうし
)
のことだ。
常磐
(
ときわ
)
とよぶ母の乳ぶさから
捥
(
も
)
ぎ
離
(
はな
)
されて、鞍馬寺へ追い上げられてから、もう、十年の余になる。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
常磐
(
ときわ
)
(二十三歳)義朝の愛人、今若、乙若、牛若の三児をかかえ、捕われて、その子たちの助命を清盛に乞う。ちまたには、清盛とのうわさがいろいろ取沙汰され、今は
壬生
(
みぶ
)
の
小館
(
こやかた
)
にかこわれている。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
常
常用漢字
小5
部首:⼱
11画
磐
漢検準1級
部首:⽯
15画
“常磐”で始まる語句
常磐木
常磐津
常磐樹
常磐橋
常磐会
常磐町
常磐館
常磐御前
常磐屋
常磐香