居酒屋いざかや)” の例文
やっと、かれは、その居酒屋いざかやからそとました。ふらふらとあるいて、まちはずれてから、さみしい田舎道いなかみちほうへとあるいていきました。
百姓の夢 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれはみちゆく人を呼び止めて話した、居酒屋いざかやへ行っては酒をのむ人にまで話した。次の日曜日、人々が会堂から出かける所を見ては話した。
糸くず (新字新仮名) / ギ・ド・モーパッサン(著)
わたしたちが村の居酒屋いざかやの前を通ると、入口に立っていた男がバルブレンに声をかけて、中にはいれと言った。
酒のきらいな木之助を居酒屋いざかやへつれこみ、自分一人で飲んで、ついにはぐでんぐでんに酔ってしまい、三里の夜道を木之助が抱くようにして帰って来たのを木之助は思い出した。
最後の胡弓弾き (新字新仮名) / 新美南吉(著)
その広間はどこの居酒屋いざかやにも見られるようなもので、食卓、すずかめ酒壜さけびん、それから酒を飲んでる男や、煙草たばこをふかしてる男、中はうす暗くて、しかも騒然たる音を立てていた。
高利貸こうりかし老婦人ろうふじん、いかにも露西亞ロシア露西亞ロシアらしくおもはれ、讀者どくしやをして再讀さいどくするにこゝろおこさしむ。居酒屋いざかやける非職官人ひしよくくわんじん懺悔ざんげ自負じふ白状はくじやうきはめ面白おもしろし。その病妻びようさいことひて
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
荒物屋あらものやを兼ねた居酒屋いざかやらしい一軒から食物の香と男女のふざけ返った濁声だみごえがもれるほかには、真直まっすぐな家並は廃村のように寒さの前にちぢこまって、電信柱だけが、けうというなりを立てていた。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
その横町よこちょう居酒屋いざかや川越屋かわごえや土間どまへとびこんだチョビ安は、威勢よく
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
まちてから、田舎道いなかみちにさしかかったところに居酒屋いざかやがありました。そこまでくると、おとこは、うしまえやなぎにつないで、みせなかへはいりました。
ある男と牛の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
レセンプラージュの季節きせつがすむと、もうお父さんは外へ出ようとも思わない。むろん一人で居酒屋いざかやへ行く人ではなかった。そんなむだな時間を持つ人ではなかった。
これは、村から戦争せんそうにいったわかもののひとりで、居酒屋いざかやのむすこでした。
丘の銅像 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
彼は粗末な居酒屋いざかやか貧しい下等な家をさがした。
このも、またさむでありました。百しょうは、たびたびはいった居酒屋いざかやまえとおりかかると、ついかねっているので、一ぱいやろうという気持きもちになりました。
百姓の夢 (新字新仮名) / 小川未明(著)
高い黒い家のならんだまん中に、れいのいやなにおいのするどぶがあった。たくさんある居酒屋いざかやの店先で、おおぜいの男女ががやがや言いながら、お酒を飲んでいた。
この居酒屋いざかやのむすこから、「戦争せんそうにいった村のわかものは、みんな戦死せんししてしまった。ペテロも戦死してしまった」と聞いたとき、村の人たちは、かなしい芝居しばいを見たあとのように、首をふって
丘の銅像 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
このおとこは、よけいにかねつと、なんで忍耐にんたいして、居酒屋いざかやまえ素通すどおりすることができましょう。やはり我慢がまんがされずに、みせへはいって、たらふくみました。
ある男と牛の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしがふしぎそうな顔をしてこの老人ろうじんを見つめているあいだに、バルブレンと居酒屋いざかや亭主ていしゅひくい声でこそこそ話をしていた。わたしのことを話しているのだということがわかった。
おれはずいぶんとおむらまで、ごようきにやらされたものだ。ちょうど、二ばかりはなれた居酒屋いざかやくろといういぬがいて、おれがかえるときに、っても、っても、ついてくるのだ。
さか立ち小僧さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、おじいさんはむらはずれの居酒屋いざかやをさして、つかれているあしはこびました。
いいおじいさんの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
まくらにあたまをつけながら、居酒屋いざかやまえつ、たかいかしのかべていました。そのしたには、くろがすわっています。そして、くろは、毎日まいにちのように、ゆき旅人たびびと見送みおくっています。
さか立ち小僧さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれは、居酒屋いざかやののれんをくぐって、ベンチにこしをかけました。そして、そこにきあわしているひとたちを相手あいてにしながらさけみました。しまいには、した自由じゆうにまわらないほど、ってしまいました。
百姓の夢 (新字新仮名) / 小川未明(著)
今夜こんやもあの居酒屋いざかやいつぶれているにちがいない……。
いいおじいさんの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)