孤島ことう)” の例文
絶海ぜっかい孤島ことうに、自分ひとりがとりのこされている。このままでいれば、ひぼしになるか、病気になるかして、白骨はっこつしてしまうであろう。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
どんなにさびしい孤島ことうに流されても、拝する神のないのはえられません。あのおにのような清盛だって厳島明神いつくしまみょうじん帰依きえしているではありませんか。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
この絶海ぜっかい孤島ことう絶望ぜつぼうの十ヵ月をけみして、しかもただの一度も悲しそうな顔もせず、一生けんめいに心をあわして働いてくれる。それはぼくらを信ずればこそだ。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
私はまず諸君にこの場所を絶海ぜっかい孤島ことうだと思ってもらいたい。偶然ぐうぜんにも諸君は時を同じゅうしてこの孤島に漂流ひょうりゅうして来た。私もむろん諸君と同様、漂流者の一人である。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
世界輿地圖せかいよちづ表面ひやうめんあらはれてるものであらうか、矢張やはり印度洋インドやうちう孤島ことうだらうか、それともズツト東方ひがしへんして、ボル子オ群島ぐんとうの一つにでもぞくしてるのではあるまいか。
われわれの大統領が、われわれを日本へ送ったゆえんは、形式的な条約を結ぶためではない。孤島ことうのうちに空しく眠っている可憐な国民を、精神的に呼びさますことではないか。
船医の立場 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
はじめて瞭乎りやうこたり、てんじて北方を俯視ふしすれば、越後の大部岩代の一部脚下にあつまり、陸地のくる所青煙せいえん一抹、とほく日本海をながむ、たたうらむむらくは佐渡の孤島ことう雲煙をふて躰をあらはさざりしを
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
希臘ギリシャイオニア列島の一つである地中海の一孤島ことうに生れ、愛蘭土アイルランドで育ち、仏蘭西フランスに遊び米国にわたって職を求め、西印度インド巡遊じゅんゆうし、ついに極東の日本に漂泊ひょうはくして、その数奇すうきな一生を終ったヘルンは
はだかの十六人は、絶海ぜっかい孤島ことうに、最初の夜を、ぐっすりねこんだ。
無人島に生きる十六人 (新字新仮名) / 須川邦彦(著)
天子てんしさまは、ごろから忠義ちゅうぎ家来けらいでありましたから、そんならなんじにその不死ふしくすりりにゆくことをめいずるから、なんじひがしほううみわたって、絶海ぜっかい孤島ことうにゆき、そのくに北方ほっぽうにある金峰仙きんぷせんのぼって
不死の薬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
氏は、でっぷりふとった体をかるくうごかして、孤島ことう半永久はんえいきゅうの安全な生活をつづけるために、色々と計画をたて、その指揮をして人々を動かした。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
あゝ。われわれがこの孤島ことうでどんな暮らし方をしているかを知ったら。どんなにふるさとをしとうているかを知ったら。むかえの使いを送ってくれまいものでもない。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
無論むろん絶海ぜつかい孤島ことうであれば、三年さんねん五年ごねんあひだ他國たこく侵犯しんはんを、かうむるやうなことはあるまいが、安心あんしんのならぬはげん弦月丸げんげつまる沈沒ちんぼつ結果けつくわ偶然ぐうぜんにもこのしま漂着へうちやくした吾等われら兩人ふたり實例じつれいてらしても
島からあまりはなれていないところに、一大陸地のあることを知った、連盟島はまったくの孤島ことうでなく、東方の大陸かあるいは群島を有する一無人島なんだ、悪漢どもはそれを知っているのだ
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
——いや小生しょうせいはこのたびぜひとも博士せんせいにお願いをして、毒瓦斯どくガスをマスターいたしたいと決心しまして、そのことで遥々はるばる南海の孤島ことうからやって参りました
われわれは同じ日にこの孤島ことうに流された。同じ船で。それゆえに同じ日に、同じ船でこの島を去らねばならない。われわれはいかほどの困苦こんくをともにしてきたことか。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
かかる孤島ことうにあってもっともたいせつなことは、時間の精確せいかくである。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
いつもマッチやライターが手近にある生活になれていたので、この絶海ぜっかい孤島ことう漂着ひょうちゃくしても、そんなものすぐそばにあるようなさっかくをおこしたのだ。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それは冒険小説に出てくる孤島ことうの洞窟のような実に異様な光景だった。「このパチノ墓地とかが飛び出して来たのでは、見当もなにもつかなくなりましたよ。一体これはどうしたことですかな」
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
折から私は、助手のオルガ姫をつれて、絶海ぜっかい孤島ことうクロクロ島にいた。
地球要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)