婿君むこぎみ)” の例文
其処そこ婿君むこぎみが、紋着もんつきはかまながら、憔悴せうすゐした寝不足ねぶそく血走ちばしり、ばう/\がみやつれたのが、弔扎てうれいをうけにえたのである。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
もっともその奥には玉江嬢のために婿君むこぎみの候補者を捜し出そうという特別の意味もあるがまず大主意は食物研究のため家族的の交際会を開くのだ。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
この宮様は婿君むこぎみ(十四代将軍、徳川家茂いえもち)への引き出物として、容易ならぬ土産みやげを持参せらるることになった。「蛮夷ばんいを防ぐことを堅く約束せよ」
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ここは宮家みやけである。現天子の婿君むこぎみで「王大将ノ宮」と、世間でいっているのが、すなわち当の晋卿らしい。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
殿とのさまの一人娘ひとりむすめであったひめさまは、またとないほどの美人びじんであったけれど、三にんまでねがいをかけた婿君むこぎみが、一人ひとりいだされなかったことをじて、このやまのぼられ
三つのかぎ (新字新仮名) / 小川未明(著)
もうちゃんと、婿君むこぎみも極まっていた。布引銀行の社員で、眉目秀麗びもくしゅうれい才智縦横さいちじゅうおうの好青年、鳥井純一とりいじゅんいちというのが頭取のお眼鏡にかない、相互の耳にも入れて、もう吉日を選ぶばかりになっていた。
恐怖王 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
かつ衣絵きぬゑさんが、婿君むこぎみとこゝをとほつて、うなぎこゝろみたとふのをいてたので、そのは、自分好じぶんずきではないが、御飯ごはんだけもとおもつたのに、それ売切うりきれた……
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かゞみかゝつて、うへから差覗さしのぞく、なみだ婿君むこぎみと、かすかあふいだ衣絵きぬゑさんのかほと、たゞときにんであつた。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おなつて、婿君むこぎみから、さきむじて親書しんしよて、——病床びやうしやうしてより、衣絵きぬゑはどなたにもおかゝことはづかしがり申候まをしさふらふ女気をんなぎを、あはれ、御諒察ごりやうさつあつて
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
同時どうじに一昨年さくねんふゆ衣絵きぬゑさん、婿君むこぎみのために若奥様わかおくさまであつた、うつくしい夫人ふじんがはかなくなつてる……新仏しんぼとけは、夫人ふじんの三年目ねんめに、おなじ肺結核はいけつかく死去しきよしたのであるが……
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ついては、それあだか黄道吉辰くわうだうきつしんなれば、そろつて方々かた/″\婿君むこぎみにおむかまをすとふ。あせつめたくしてひとりづゝゆめさむ。くるをちて、相見あひみくちはするに、三人さんにんおなじうしていさゝかことなることなし。
甲冑堂 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)