夫等それら)” の例文
無論むろんふたはしてるが往來わうらい飛出とびだされても難儀なんぎ至極しごくなり、夫等それらおもふと入院にふゐんさせやうともおもふがなにかふびんらしくてこゝろひとつにはさだめかねるて
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
もしくは夫等それらからてられた。學校がくかうからは無論むろんてられた。たゞ表向おもてむきだけ此方こちらから退學たいがくしたことになつて、形式けいしきうへ人間にんげんらしいあととゞめた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
夫等それらは人間を配合した季題の面白味を主としたもので、之に反し近代的な日常生活を中心におき、其真を把握する事に努力して、季感は副の感がある。
大正女流俳句の近代的特色 (新字新仮名) / 杉田久女(著)
中津人は俗物であるとおもって、骨肉こつにく従兄弟いとこに対してさえ、心の中には何となくこれ目下めした見下みくだして居て、夫等それらの者のすることは一切とがめもせぬ、多勢たぜい無勢ぶぜい
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
思うに伊達家の先人には陸奥介行宗むつのすけゆきむねおくりなが念海、大膳太夫持宗が天海などと海の字の付く人が多かったから、満海のはなしも何か夫等それらから出た語り歪めではあるまいか。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
二抱え三抱えに及ぶ夫等それらの大きな老木がむっちりと枝を張って見渡す野原の其処此処に立っている。
みなかみ紀行 (新字新仮名) / 若山牧水(著)
夜にりては「レローイ」珈琲館かひいかんと云えるに行きたま歌牌かるたの勝負を楽むが捨難すてがた蕩楽どうらくなりしが、一夜あるよ夫等それらの楽み終りて帰り来り、球突たまつきたわむれを想いながら眠りにつきしに
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
打振うちふり否々いや/\に非ず夫等それら火光くわくわう人氣にんき和融くわゆうなれば自然しぜんとそらへ丸くうつるべきに今彼光は棒の如くとがりて映れり彼人氣じんき勇烈ゆうれつを含むの氣にて火氣と云ひ旁々かた/″\我々を召捕んとて出口々々を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
勇敢に口や筆で夫等それらの人々が宣伝につとめた努力は報いられて、次第に同好者を獲得することに成功し、後年の隆盛を想わせる曙光にも似た明るい前途を約束し得るに至ったことは
初めて秩父に入った頃 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
此方はどんなに淋しいか? 私はどんなにつまらないか? 夫等それらのことは姉様の方が余程よく承知してゐる筈なのに——等とみつ子は、それからそれへと、とりとめもなく姉の幻を追つてゐるうちに
香水の虹 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
真裸かで夫等それらのものに面接するのだ
さうして夫等それらあいきるものがかさならないばかり隙間すきまなく清水谷しみづだにから辨慶橋べんけいばしつゞいて、たがひむつまじくういてゐると、とほがゝりの小僧こぞうだの閑人ひまじんが、いしけて
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
き心の起らぬものとては一個ひとつも無し、藻西太郎の妻倉子は此上も無き衣服なり蕩楽とか聞きたりかゝる町に貧く暮してはさぞかし欲き者のみ多かる可くすれば夫等それらの慾にいざなわれ
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
張揚はりあげだまれ長庵夫等それらの儀を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
随分困難して居たと云いますからもし夫等それらの話から自然の老人の事にでも移り——倉
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)