香水の虹こうすいのにじ
窓帷をあけて、みつ子は窓から庭を見降した。やはらかな朝の日射が、ふかぶかと花壇の草花にふりそゝいでゐる。 姉はカーネーシヨンの花が好きだつた。花壇の隅に美しく咲き誇つてゐる桃色の花を眺めながら、みつ子は姉のことをしきりに想ひつゞけた。きらき …