かゝあ)” の例文
しかし中にはかれの不断の読経どきやうやら、寺に来てからの行状やらから押して、普通の僧侶——其処等にざらにあるかゝあを持ち、被布ひふを着
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
今もかゝあに云はれた通り、一つ長屋の彦兵衞さんが繩附きになつて出て行くのを知つてゐながら、今まで默つてゐたのはどうも良くねえ。
権三と助十 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
それからわしもお内儀かみさん、うしてひとり辛抱しんばうしてんでがすが、わしかゝあときにや子奴等こめらこたあ心配しんぺえしたんでがすかんね
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
れゃ、うちへ帰ったら、早速、かゝあを貰うんだ。」シベリアへ志願をして来た福田も、今は内地へ帰るのを急いでいた。
雪のシベリア (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
六平もまだや、さき方かゝあさ迎に行ったれどどっちも帰らんわいの。子供を仰山ぎょうさん連れとるさかいに大丈夫やろうけれど、あんまり遅いさかいまた子供を
恭三の父 (新字新仮名) / 加能作次郎(著)
だれだとおもふ、かゝあながわづらひでなけりや、小兒がきなんぞれちやねえ。う、やつこ思切おもひきつて飛込とびこめ。生命いのちがけで突入つツぺえれ! てめえにやあついたつて、ちやんにはぬるいや。
銭湯 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其の内でも私はお萩原様の家来同様に畑をうなったり庭を掃いたり、使い早間はやまもして、かゝあすゝぎ洗濯をしておるから、店賃たなちんもとらずにたまには小遣こづかいを貰ったり
うですか。』と云つたが、フン、宅とは何だい、俺の前でかゝあぶらなくたつて、貴樣みたいな者に手をつけるもんか。と云ふ氣がして、ツイと女を離れたなり、スタ/\驅け出した。
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「何處へも行きやしません。かゝあがよく知つて居ます」
權三 こいつもかゝあと同じやうなことを云やあがる。手前の兄貴はどうだか知らねえが、この權三は牢に入れられるやうな惡いことはしねえのだ。
権三と助十 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
「へえ、わしやはあ可怖おつかなくつてやうねえんですから、わしらんねえところへはかゝあばかりえ/\たんでがすから」
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
らあ、かゝあがまた子供を産んで寝よるし、暇を出されちゃ、困るんじゃがのう。」彼はしょげて哀願的になった。
砂糖泥棒 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
いや、今年の春頃から、かゝあがはりに連れて来たんだといふ話で、何でも、はア、芋沢いもさはあたりの者だつて言ふ事だす。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
長「はい、かゝあがあると銭のことばかり云って仕事の邪魔になっていけませんから持たないんです」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
わしやお内儀かみさんかゝあおつころしてからつちものは乞食こじきげだつて手攫てづかみでものしたこたあねえんでがすかんね、そらおつうげもはあことわつてくんでがすから
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
助十 えゝ、おめえのやうな曳摺ひきずかゝあがによろによろしてゐたつて何の役に立つものか。よし原の煤掃すゝはきとは譯が違はあ。早く亭主をひき摺り出せといふのに……。
権三と助十 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
大方先の阿魔女あまっちょなんかおまえこわもてゞ云やアがったんだろう、お前がかゝあがあるから女房に持つ事が出来ないと云ったら、そんなら打捨うっちゃって置かないとか何とかいうのだろう
「通ったらえらいものじゃがなあ。」源作は、葉書をかゝあに読んできかせた後、こう云った。
電報 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
かうした女の張り詰めた心も同情するに足りる。作をするなら何うしてもこの女の方が主人公だ。それを内田君が、『裏店のかゝあのやうな無恥な行為』と言つたのは、理解出来兼ねる。
初冬の記事 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
權「はい、わしもお蔭で喰うにゃア困らず、彼様あんな心懸のい女をかゝあにして、おまけに旦那様のお媒妁なこうどで本当はのお千代もいやだったろうが、仕方なしに私の嚊に成っているだアね」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
源作のかゝあの、おきのは、隣家へ風呂を貰いに行ったり、念仏に参ったりすると
電報 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
「あの女があいつのかゝあになるとは思はなかつたな?」
アカシヤの花 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
丁度あの鳶頭が来た翌日あくるひでした、吉原なか彼女やつ駈落かけおちと出懸けやしたがね、一年足らず野州やしゅう足利あしかゞで潜んでいるうちにかゝあは梅毒がふき出し、それが原因もとで到頭お目出度めでたくなっちまったんで
寺の近くに住んでゐるある百姓のかゝあは言つた。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
実は此処こゝにいる多助を己が跡目相続に貰った訳というものは、十三年あと八月二日、千鳥まで田地を買いにく時、追貝村おっかいむらでな、今のかゝあのおかめのせんの亭主、岸田屋宇之助という旅商人たびあきんど
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ちっとあなたのお耳へ入れては御心配でございましょうが、彼処あすこに寝て居りますのはわっちかゝあで、昨晩間違いが出来ましたと云うのは、湯の中でけつを撫でたとかお情所なさけどころうとかしたと云うので
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
伴「えゝ/\かゝあにも云わない位な訳ですから、なんで世間へ云いましょう」
權「衆人みんなが然う云います、へえかゝあは誠に器量がいって」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
嘉「へえ、わしかゝあでごぜえます、ぞんぜえもので」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
國「なアに、これはわっちかゝあです、引込ひっこんでいな」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)