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嗽
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うが
ふりがな文庫
“
嗽
(
うが
)” の例文
とん、とん、とん……とその
襟元
(
えりもと
)
へ二階から女の足音がすぐ降りて来た。
如才
(
じょさい
)
なく彼のそばへ
手拭
(
てふ
)
きやら
嗽
(
うが
)
い
碗
(
わん
)
など取り揃えて
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ええ、ええ、たいへんでしたわ。おいしいおいしいって
食
(
たべ
)
てしまってから、たねを
明
(
あか
)
すと、
嗽
(
うが
)
いをなさるやらなにやら——」
江木欣々女史
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
乳は真鍮の
嗽
(
うが
)
ひ茶碗へいくら絞つても出て来なかつた。叔母は眉をひそめたまま、半ば彼をからかふやうに「信ちやんに吸つて貰はうか?」と言つた。
大導寺信輔の半生:―或精神的風景画―
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
房楊枝
(
ふさようじ
)
を
井桁
(
いげた
)
に挟んで、ガボガボと
嗽
(
うが
)
いをやった平次、一向物驚きをしない顔を、ガラッ八の方に振り向けました。
銭形平次捕物控:086 縁結び
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
出て来ると
楊枝箱
(
ようじばこ
)
に
真鍮
(
しんちゅう
)
の大きな
金盥
(
かなだらい
)
にお湯を
汲
(
と
)
って
輪形
(
りんなり
)
の大きな
嗽
(
うが
)
い茶碗、これも
錦手
(
にしきで
)
か何かで
微温
(
ぬるま
)
の頃合の湯を取り、焼塩が少し入れてあります。
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
偖
(
さて
)
其夜も
白々
(
ほの/″\
)
と明渡りけるに大勢の客人共は皆々一同に
起出
(
おきいで
)
嗽
(
うが
)
ひ
手水
(
てうづ
)
を
遣
(
つかう
)
ゆゑ後藤半四郎も同じく
起出
(
おきいで
)
て
嗽
(
うが
)
ひ
手水
(
てうづ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
……それからお
嗽
(
うが
)
いの水も……塩をすこし余計に入れてナ……エエカ……すぐに持って来るんだぞ
霊感!
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
鶴は洗面所で
嗽
(
うが
)
いして、顔も洗わず部屋へ帰って押入れをあけ、自分の
行李
(
こうり
)
の中から、夏服、シャツ、
銘仙
(
めいせん
)
の
袷
(
あわせ
)
、
兵古帯
(
へこおび
)
、毛布、運動靴、スルメ三
把
(
ば
)
、銀笛、アルバム
犯人
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
温泉附近の路が
酷
(
ひど
)
くくずれている、宿の前で
嗽
(
うが
)
いをした
筧
(
かけひ
)
の水などは、埋没してしまっている。
白峰山脈縦断記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
夫は感冒予防の
嗽
(
うが
)
いをしろと云って、わざと度の強い過酸化水素水を
拵
(
こしら
)
えて、それで始終彼女に嗽いをさせていました。そのために彼女は
咽喉
(
いんこう
)
カタールを起していたのです。
途上
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
余は病気になって以来今朝ほど安らかな頭を持て静かにこの庭を
眺
(
なが
)
めた事はない。
嗽
(
うが
)
いをする。虚子と話をする。南向うの家には尋常二年生位な声で本の復習を始めたようである。
九月十四日の朝
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
咽喉をぐるぐるつと塗られて、
嗽
(
うが
)
ひをさせられて、はふはふの体で逃げだす診察室の白壁には、便所にさがつてゐるのと同じガラスの筒が、いつも置き忘れられたやうに下つてゐた。
地獄
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
マダム丘子のあけすけな言葉に皆はフッと視線を
外
(
そ
)
らして冷めたいお茶を啜った。私は青木の顔を
偸見
(
ぬすみみ
)
ると、彼は額に皺を寄せた儘わざと音を立てて
不味
(
まず
)
そうにお茶で口を
嗽
(
うが
)
いしていた。
蝱の囁き:――肺病の唄――
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
醉つて見知らぬ男と友人になつたり、兄弟と呼んで接吻した醉漢は、朝になつて百度も唾を吐いて
嗽
(
うが
)
ひをする。そして髮の毛をむしりながら、あらゆる嫌厭と憎惡とを、自分自身に向つて痛感する。
酒に就いて
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
少し吐いたとみえて、
嗽
(
うが
)
い
茶碗
(
ぢゃわん
)
や
濡手拭
(
ぬれてぬぐい
)
が丸盆の上にあった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
朝の食事
嗽
(
うが
)
いなどは暗いうちにすまし、宿舎を立ってから、一、二里も行った頃、ようやく、日の出を見るのが、ほとんど毎朝の例であった。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それからテエブルの上にあつた消毒用の水薬で
嗽
(
うが
)
ひをしました。すると細君の腹の中の子は多少気兼でもしてゐると見え、かう小声に返事をしました。
河童
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
見廻しけるに首は
落
(
おち
)
ず何事も無
健全
(
まめ
)
息災
(
そくさい
)
なり依て我が家へ立歸りしぞと
物語
(
ものがた
)
りしかば娘は
嬉
(
うれし
)
く是全く
金毘羅樣
(
こんぴらさま
)
の御
利益
(
りやく
)
ならんと早々
嗽
(
うが
)
ひ
手水
(
てうず
)
にて身を
清
(
きよ
)
めて金毘羅の掛物を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
井戸端で
嗽
(
うが
)
ひ
手洗
(
てうづ
)
を濟ませて、大急ぎで入口に顏を出すと、遠州
縞
(
じま
)
のお仕着せに、店の名『池田屋』と染めた前掛をした、十五六の小僧が、突つ立つたまゝ顫へてをりました。
銭形平次捕物控:331 花嫁の幻想
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
余は病氣になつて以來今朝程安らかな頭を持て靜かに此庭を眺めた事は無い。
嗽
(
うが
)
ひをする。虚子と話をする。南向ふの家には尋常二年生位な聲で本の復習を始めたやうである。やがて納豆賣が來た。
九月十四日の朝
(旧字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
時どき
嗽
(
うが
)
ひをしながら、しばらく手術椅子の上で安静にしてゐた。
少年
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
近侍たちは、彼のために、たちまち
艫
(
とも
)
の一部にお
嗽
(
うが
)
いの設けを置く。——尊氏はその
小桶
(
こおけ
)
の水で顔を洗い、
碗
(
わん
)
の水をふくんで海面へぱッと吐いた。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
現に小学へはいった頃、年の若い彼の叔母は年始か何かに来ているうちに乳の張ったのを苦にし出した。乳は
真鍮
(
しんちゅう
)
の
嗽
(
うが
)
い
茶碗
(
ぢゃわん
)
へいくら絞っても出て来なかった。
大導寺信輔の半生:――或精神的風景画――
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
平次は八五郎を追ひやるやうに、ガブガブと
嗽
(
うが
)
ひをしました。
銭形平次捕物控:097 許婚の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“お
嗽
(
うが
)
ひ水”と称する清水や、“笠懸けの森”という伝説の地や、また帝が、山村の夕煙を見て、
詠
(
よ
)
まれたとなす
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
が、その景色が眼にはいると、お蓮は
嗽
(
うが
)
いを使いがら、今までは全然忘れていた
昨夜
(
ゆうべ
)
の夢を思い出した。
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
口に含んだ
嗽
(
うが
)
い
水
(
みず
)
を、ゴロゴロと
喉
(
のど
)
で鳴らしながら、
眩
(
まぶし
)
げに、青空へ向けて顔をひっくりかえしていると
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
楼台を降った曹操は、冷泉に
嗽
(
うが
)
いし、衣服をかえ、帯剣を
鏘々
(
しょうしょう
)
と鳴らしながら、石廊を大歩して行った。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼はそこの
掛樋
(
かけひ
)
ノ
床
(
ゆか
)
の
水瓶
(
みずがめ
)
から水をくんで、
嗽
(
うが
)
いをし初め、独りで髪の毛をなであげていた。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
同志六名は、
嗽
(
うが
)
い
手水
(
ちょうず
)
の身清めしたうえ、
晁家
(
ちょうけ
)
の奥の間にある祭壇に向って立ちならんだ。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
翌朝、頼春と菊王が眼をさまして、裏庭の流れへ、朝の
嗽
(
うが
)
いに出てゆくと、もう
叢竹
(
そうちく
)
にかこまれた書院風の一室では、若い人々の気配にまじって、時親の笑い声もながれていた。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、
庭面
(
にわも
)
へ下りて、流れに
嗽
(
うが
)
いし、髪をなで、
衣紋
(
えもん
)
を直してから、
従
(
つ
)
いて行った。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして着がえや朝の
嗽
(
うが
)
いをすまして見えた俊基を、別の亭へ案内して行った。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
で新九郎は、身動きもせず夜明けまで寝込んでいたが、やがてムックリ起き上がると、庭へ出て泉水に
嗽
(
うが
)
い
手水
(
ちょうず
)
を使い、すぐむこうの数寄屋の一室へ入って、心静かに切腹の身仕度をした。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夫人は、
侍女
(
こしもと
)
の手も借らずに、
嗽
(
うが
)
いや、塗りの
水盥
(
みずだらい
)
をそろえる。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
嗽
(
うが
)
い、食事、着服などをすまして、すぐ役部屋に臨む。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
董承は、席を改め、口を
嗽
(
うが
)
いして、密詔を示した。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
嗽
(
うが
)
いをして、虹みたいに吐いた。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“嗽(うがい)”の解説
鵜飼い
うがい(嗽、gargling, mouth rinse, mouthwash)とは、水などをふくんで口やのどをすすぐこと。洗口、含嗽ともいう。
(出典:Wikipedia)
嗽
漢検1級
部首:⼝
14画
“嗽”を含む語句
咳嗽
含嗽
欬嗽
含嗽茶碗
嗽口
含嗽剤
盥嗽
含嗽莨
嗽手水
嗽水
咳嗽払
盥嗽跪拝
嗽茶碗
嗽茶椀
咳嗽菽豆
口嗽
含嗽手水
含嗽劑
合嗽