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あずまばし
ふりがな文庫
“
吾妻橋
(
あずまばし
)” の例文
雷門に向って右が
吾妻橋
(
あずまばし
)
、橋と門との間が花川戸、花川戸を通り抜けると
山
(
やま
)
の
宿
(
しゅく
)
で、それから
山谷
(
さんや
)
、例の山谷堀のある所です。
幕末維新懐古談:11 大火以前の雷門附近
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
吾妻橋
(
あずまばし
)
の上を渡りかかると、さっきから後を付けて来たらしい一人の男が、ふいに駈けて来てうしろからお光を突き飛ばした。
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
三度目に
掛合
(
かけあ
)
った老車夫が、やっとの事でお豊の望む賃銀で小梅行きを承知した。
吾妻橋
(
あずまばし
)
は午後の日光と
塵埃
(
じんあい
)
の中におびただしい
人出
(
ひとで
)
である。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
総身
(
そうしん
)
の活気が一度にストライキを起したように元気がにわかに
滅入
(
めい
)
ってしまいまして、ただ
蹌々
(
そうそう
)
として
踉々
(
ろうろう
)
という
形
(
かた
)
ちで
吾妻橋
(
あずまばし
)
へきかかったのです。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ホラ、
此頃
(
こないだ
)
、雪の降った日が有りましたろう——ネ。あの翌日でサ。私が河蒸汽で
吾妻橋
(
あずまばし
)
まで乗って、あそこで上ると、ヒョイと向島に
遭遇
(
でっくわ
)
しました。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
夕方遅くなったりなんぞすると、母は
吾妻橋
(
あずまばし
)
の
袂
(
たもと
)
から
俥
(
くるま
)
をやとって、大川を渡って帰った。そんなとき、私は母の
膝
(
ひざ
)
の上に乗せられるのが好きだった。……
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
吾妻橋
(
あずまばし
)
を渡って
田原町
(
たわらまち
)
から東本願寺へ
突当
(
つきあた
)
って右に曲り、それから裏手へまいり、
反圃
(
たんぼ
)
の
海禅寺
(
かいぜんじ
)
の前を通りまして
山崎町
(
やまざきちょう
)
へ出まして、上野の
山内
(
さんない
)
を抜け、谷中門へ出て
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その時鼠骨氏が色々面白い話をした中に、ある新聞記者が失敗の
挙句
(
あげく
)
吾妻橋
(
あずまばし
)
から投身しようと思って、欄干から飛んだら、後向きに飛んで橋の上に落ちたという挿話があった。
高浜さんと私
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
川には材木を積んだ
筏
(
いかだ
)
が流れて来たり、よく沈まないことと思うほど盛上げた土船も通ります。
下手
(
しもて
)
には
吾妻橋
(
あずまばし
)
を通る人が見えます。橋の欄干に立止って見下している人もあります。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
吾妻橋
(
あずまばし
)
の
欄干
(
らんかん
)
によって、人が大ぜい立っている。時々巡査が来て
小言
(
こごと
)
を云うが、すぐまた元のように
人山
(
ひとやま
)
が出来てしまう。皆、この橋の下を通る花見の船を見に、立っているのである。
ひょっとこ
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「東京の
吾妻橋
(
あずまばし
)
とか柳橋とかに似てるからじゃありません?」と云った。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
一方
吾妻橋
(
あずまばし
)
橋畔の、三之丞と鬼小僧とはどうしたろう?
柳営秘録かつえ蔵
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それから、その年の夏に隅田川で川施餓鬼のあった日、師匠は私を呼んで、これを
吾妻橋
(
あずまばし
)
から流すようにといいつかりました。
幕末維新懐古談:51 大隈綾子刀自の思い出
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
吾妻橋
(
あずまばし
)
両国橋
(
りょうごくばし
)
等の眺望は今日の処あまりに不整頓にして永代橋におけるが如く感興を一所に集注する事が出来ない。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
たまたま
吾妻橋
(
あずまばし
)
を通り掛って身投げの芸を仕損じた事はあるが、これも熱誠なる青年に有りがちの
発作的
(
ほっさてき
)
所為
(
しょい
)
で
毫
(
ごう
)
も彼が智識の
問屋
(
とんや
)
たるに
煩
(
わずら
)
いを及ぼすほどの出来事ではない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
おそらく
百本杭
(
ひゃっぽんぐい
)
は河水の
氾濫
(
はんらん
)
からこの
河岸
(
かし
)
や
橋梁
(
きょうりょう
)
を防ぐ工事の一つであろうが、大川橋(今の
吾妻橋
(
あずまばし
)
)の方からやって来る隅田川の水はあだかも二百何十年の歴史を語るかのように
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
向島
(
むこうじま
)
に住んだ頃は、浅草へ行くというのが何よりの楽しみでしたけれど、歩いて行く時は、
水戸様
(
みとさま
)
の前から
吾妻橋
(
あずまばし
)
を渡って、
馬道
(
うまみち
)
を通って観音様の境内へ入るので、かなりの道なのです。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
小春
日和
(
びより
)
の日などには、看護の人に手をひいて
貰
(
もら
)
って、
吾妻橋
(
あずまばし
)
まで歩いていったという
便
(
たよ
)
りなどが来た。それほど快くなりかけていた父が、二度目の発作を起したのは十二月のなかばだった。
花を持てる女
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
毎夜
(
まいよ
)
吾妻橋
(
あずまばし
)
の橋だもとに
佇立
(
たたず
)
み、
往来
(
ゆきき
)
の人の袖を引いて遊びを勧める闇の女は、
梅雨
(
つゆ
)
もあけて、あたりがいよいよ夏らしくなるにつれて、次第に多くなり
吾妻橋
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その人は、
吾妻橋
(
あずまばし
)
を渡って並木の方から東雲師の店(当時は
駒形
(
こまがた
)
に移っていた)を差してやって来たのでした。
幕末維新懐古談:33 蠑螺堂百観音の成り行き
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
その晩帰りに
吾妻橋
(
あずまばし
)
で何かあったでしょう——詳しい事は言いますまい、当人の御迷惑になるかも知れませんから——あれだけの証拠がありゃ充分だと思いますが、どんなものでしょう
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
わたくしは言問橋や
吾妻橋
(
あずまばし
)
を渡るたびたび眉を
顰
(
ひそ
)
め鼻を
掩
(
おお
)
いながらも、むかしの追想を喜ぶあまり
欄干
(
らんかん
)
に身を
倚
(
よ
)
せて濁った水の流を眺めなければならない。
水のながれ
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
大川へ出た船は、流を
溯
(
さかのぼ
)
って
吾妻橋
(
あずまばし
)
を通り抜けて、
今戸
(
いまど
)
の
有明楼
(
ゆうめいろう
)
の
傍
(
そば
)
に着けたものだという。姉達はそこから
上
(
あが
)
って芝居茶屋まで歩いて、それからようやく設けの席につくべく、小屋へ送られて行く。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
今日の永代橋には最早や
辰巳
(
たつみ
)
の昔を回想せしむべき何物もない。さるが故に、私は永代橋の鉄橋をばかえってかの
吾妻橋
(
あずまばし
)
や
両国橋
(
りょうごくばし
)
の如くに
醜
(
みに
)
くいとは思わない。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
吾妻橋
(
あずまばし
)
を渡ると久しく
麦酒
(
ビール
)
製造会社の庭園になっていた旧佐竹氏の浩養園がある。しかしこの名園は災禍の未だ起らざる以前既に荒廃して
殆
(
ほとんど
)
その跡を
留
(
とど
)
めていなかった。
向嶋
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
吾妻橋
(
あずまばし
)
の手前
東橋亭
(
とうきょうてい
)
とよぶ
寄席
(
よせ
)
の
角
(
かど
)
から
花川戸
(
はなかわど
)
の路地に
這入
(
はい
)
れば、ここは芸人や
芝居者
(
しばいもの
)
また遊芸の師匠なぞの多い処から何となく
猿若町
(
さるわかまち
)
の
新道
(
しんみち
)
の昔もかくやと推量せられる。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
雷門
(
かみなりもん
)
といっても門はない。門は慶応元年に焼けたなり建てられないのだという。門のない門の前を、
吾妻橋
(
あずまばし
)
の方へ少し行くと、左側の
路端
(
みちばた
)
に乗合自動車の
駐
(
とま
)
る知らせの棒が立っている。
寺じまの記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
春の
夕陽
(
ゆうひ
)
は赤々と
吾妻橋
(
あずまばし
)
の向うに傾いて、花見帰りの混雑を一層引立てて見せる。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
試
(
こころみ
)
に
吾妻橋
(
あずまばし
)
の欄干に
佇立
(
たたず
)
み上汐に
逆
(
さから
)
って河を
下
(
お
)
りて来る舟を見よ。
夏の町
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
“吾妻橋”の解説
吾妻橋(あづまばし)は、隅田川にかかる橋で、東京都道463号上野月島線吾妻橋支線(雷門通り)を通す。西岸は台東区雷門二丁目、および花川戸一丁目を分かち、東岸は墨田区吾妻橋一丁目。橋東岸の墨田区の町名でもあり、一丁目から三丁目まで存在する。
(出典:Wikipedia)
吾
漢検準1級
部首:⼝
7画
妻
常用漢字
小5
部首:⼥
8画
橋
常用漢字
小3
部首:⽊
16画
“吾妻”で始まる語句
吾妻
吾妻下駄
吾妻鏡
吾妻山
吾妻川
吾妻村
吾妻屋
吾妻座
吾妻袂
吾妻郡