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劃
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かぎ
ふりがな文庫
“
劃
(
かぎ
)” の例文
その巌は削れるがごとくそばだち、刻めるがごとく畳みたり、荒波の間より起り、大空を
劃
(
かぎ
)
れるさまの荘厳なるはいふばかりなし。
松浦あがた
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
前後左右を
劃
(
かぎ
)
っていて、街の下を流れる下水の如くに、時々ほんのちょっとした隙から
微
(
かす
)
かな
虚
(
むな
)
しい響を聞かせるように三造には思われた。
狼疾記
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
阿勒騰塔格
(
アルチンタツク
)
の大山脈と
庫魯克格
(
クルツクタツク
)
の小山脈とに南北を
劃
(
かぎ
)
られた
羅布
(
ロブ
)
の沙漠のちょうどこの辺は底らしい。どっちを見ても茫々とした流れる砂の海ばかりだ。
沙漠の古都
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
たゞ私の眼には全景の左手を
劃
(
かぎ
)
る、
安積山鼻
(
あさかやまはな
)
が際だつてゐるばかり、それで全體の湖水の風景は、いつもより茫漠たる廣さをもつてゐるやうに感ぜられた。
受験生の手記
(旧字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
坂の上に鋼鐵色の空を
劃
(
かぎ
)
つた教會の屋根から、今しも登りかけた許りの二十日許りの月が、帽子も冠らぬ渠の頭を斜めに掠めて、後に長い長い影を曳いた。
病院の窓
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
近く空を
劃
(
かぎ
)
って、
頭抜
(
ずぬ
)
けている、「あの山の頂を踏んだ」という誇が、人々の顔にまざまざと読まれた。
白峰山脈縦断記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
劃
(
かぎ
)
る黒い
尖々
(
とげとげ
)
の
山稜
(
さんりょう
)
の向うに
落
(
お
)
ちて
薄明
(
はくめい
)
が来たためにそんなに
軋
(
きし
)
んでいたのだろうとおもいます。
インドラの網
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
それに、高い深い山で全くあたりが
劃
(
かぎ
)
られてゐる中に、渓流の音がしたり、
野碓
(
ばつたり
)
の音がをりをりけたゝましく響いて来たりするのも、世離れた春といふ感じを私に誘つた。
春
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
芭蕉これに対して今少し和歌の臭味を加えよという、けだし芭蕉は俳句は簡単ならざるべからずと断定してみずから美の区域を狭く
劃
(
かぎ
)
りたる者なり。芭蕉すでにかくのごとし。
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
山間の盆地が、その傷ましい、荒蕪な杯盤の上に、祈念の如くに空に
擎
(
ささ
)
げてゐる一つの小さな街。夜ごとに音もなく崩れてゆく胸壁によつて、正方形に
劃
(
かぎ
)
られてゐる一つの小さな街。
測量船
(新字旧仮名)
/
三好達治
(著)
荒いがこの風、
五十鈴川
(
いすずがわ
)
で
劃
(
かぎ
)
られて、宇治橋の向うまでは吹くまいが、相の山の長坂を下から
哄
(
どっ
)
と吹上げる……これが悪く
生温
(
なまぬる
)
くって、
灯
(
あかり
)
の前じゃ砂が黄色い。月は雲の底に
淀
(
どんよ
)
りしている。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私は道ばたに腰を下し、大事にポケットに蓄えて来た日本の「敷島」へ火を移した。レエスを下げた窓も見える。草花の鉢を置いたバルコンも見える。青芝を
劃
(
かぎ
)
ったテニス・コオトも見える。
長江游記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
太陽
(
たいやう
)
が、
朝日
(
あさひ
)
が、
彼
(
かれ
)
自
(
みづか
)
らが、
山
(
やま
)
と
空
(
そら
)
とを
劃
(
かぎ
)
つた
雪
(
ゆき
)
の
線
(
せん
)
に、その
輝
(
かゞや
)
く
面
(
おもて
)
を
表
(
あら
)
はしかけてゐた。
光
(
ひかり
)
は
直線
(
ちよくせん
)
をなしてその
半圓
(
はんゑん
)
の
周圍
(
しうゐ
)
に
散
(
ち
)
つた。
彼
(
かれ
)
を
見
(
み
)
ようと
思
(
おも
)
へば
私
(
わたし
)
は
眼
(
め
)
をつぶらなければならなかつた。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
雪の線
劃
(
かぎ
)
りて黒き落葉松の
群落
(
ぐんらく
)
はよしほそき木の
梢
(
うれ
)
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
新墾小田
(
にひはりをだ
)
を
劃
(
かぎ
)
りたる
花守
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
海の水平線は
画幀
(
がとう
)
の上部を狭く
劃
(
かぎ
)
って、青灰色の天空が風に流れている。そこには
島山
(
しまやま
)
の噴煙が
靡
(
なび
)
き、雲が
這
(
は
)
っている。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
家々にも街頭にも灯ははいり始めたが、まだ暮れ切らない空の向うを、教会の尖塔や風変りな
破風
(
はふ
)
屋根をもった山手の高台のシルウェットが
劃
(
かぎ
)
っている。
狼疾記
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
坂の上に
鋼鉄色
(
はがねいろ
)
の空を
劃
(
かぎ
)
つた教会の屋根から、今しも登りかけた許りの二十日許りの月が、帽子も冠らぬ渠の頭を斜めに掠めて、後に長い長い影を曳いた。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
黄金の
筵
(
むしろ
)
を敷き、灌漑用の水路には、水の銀箔が延べられてい、地平線を
劃
(
かぎ
)
って点々と立っている村落からは、犬の吠え声と鶏の啼き声とが聞こえ、藁家の垣や庭には
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
一線を
劃
(
かぎ
)
った、その境目から下は灰色で、上は黯緑だ、黯縁の偃松は、山の峰へ峰へと、岩石を乗り越え、岩壁の筋目へと喰い入り、剃刀のような
脊梁
(
せきりょう
)
を這って、天の一方へと
白峰山脈縦断記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
選ばれたのは、畠と寺とを
劃
(
かぎ
)
った
榛
(
はん
)
の木に近いところであった。ひょろ長い並木の影が夜の闇の中にかすかにそれと指さされる。垣の外にいたずらにのびた桑の広葉がガサガサと夜風になびく。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
芭蕉これに対して今少し和歌の臭味を加へよといふ、けだし芭蕉は俳句は簡単ならざるべからずと断定して自ら美の区域を狭く
劃
(
かぎ
)
りたる者なり。芭蕉既に
此
(
かく
)
の如し。芭蕉以後言ふに足らざるなり。
俳人蕪村
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
日車
(
ひぐるま
)
は
莟
(
つぼみ
)
を持っていまだ咲かず、
牡丹
(
ぼたん
)
は既に散果てたが、
姫芥子
(
ひめげし
)
の
真紅
(
まっか
)
の花は、ちらちらと咲いて、姫がものを言う唇のように、芝生から畠を
劃
(
かぎ
)
って一面に咲いていた
三色菫
(
さんしきすみれ
)
の、紫と、白と、
紅
(
くれない
)
が
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
劃
(
かぎ
)
られし
園
(
その
)
の
配置
(
はいち
)
の
黄
(
き
)
にほめき、靄に三つ四つ
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
陰影
(
ものかげ
)
のそこここに、やや強く光
劃
(
かぎ
)
りて
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
人は皆ここに
劃
(
かぎ
)
られ、あくがれぬ。
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
實
(
げ
)
にそが
黄金環
(
こがねわ
)
劃
(
かぎ
)
る
虚空
(
みそら
)
のみち
独絃哀歌
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
浪を
劃
(
かぎ
)
りて
磯濱
(
いそはま
)
に
草わかば
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
劃
(
かぎ
)
られし
水
(
みづ
)
の
面
(
も
)
の
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
劃
漢検準1級
部首:⼑
14画
“劃”を含む語句
劃然
区劃
區劃
一劃
企劃
劃期
計劃
劃策
劃期的
劃時代的
字劃
参劃
仕劃
劃目
區劃整理
期劃
空劃線
財政計劃
輪劃
間劃
...