切符きつぷ)” の例文
「お毒樣どくさまです。——おつれはもうひません。……切符きつぷはチツキをれませんから、代價だいか割戻わりもどしが出來できます。」
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其處そこ國府津こふづまでの切符きつぷひ、品川しながはまでき、そのプラツトホームで一時間じかん以上いじやうつことゝなつた。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
それが、幾何いくらでもゐる。大抵はわかい男女である。一日目いちじつめに与次郎が、三四郎に向つて大成功とさけんだ。三四郎は二日目ふつかめ切符きつぷを持つてゐた。与次郎が広田先生をさそつてけとふ。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
五分ごふんあればにあひませう。」其處そこで、べつ赤帽君あかばうくん手透てすきるのを一人ひとりたのんで、そのぶん切符きつぷことづけた。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
宗助そうすけ電車でんしや終點しゆうてんまでて、運轉手うんてんしゆ切符きつぷわたしたときには、もうそらいろひかりうしなひかけて、しめつた徃來わうらいに、くらかげつのころであつた。りやうとして、てつはしらにぎつたら、きふさむ心持こゝろもちがした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
切符きつぷ三枚さんまいたのむと、つれをさがしてきよろついた樣子やうすあんじて、赤帽君あかばうくん深切しんせつであつた。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
切符きつぷつて、改札口かいさつぐちて、精々せい/″\きりすそ泥撥どろはねげないやうに、れた石壇いしだんあがると、一面いちめんあめなかに、不知火しらぬひいてたゞよ都大路みやこおほぢ電燈でんとうながら、横繁吹よこしぶききつけられて
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
洋杖ステツキ紙入かみいれと、蟇口がまぐち煙草入たばこいれを、外套ぐわいたうした一所いつしよ確乎しつかおさへながら、うや/\しく切符きつぷ急行劵きふかうけん二枚にまいつて、あまりの人混雜ひとごみ、あとじさりにつたるかたちは、われながら、はくのついたおのぼりさん。
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
切符きつぷ何處どこひますな、」と、もんうかれるのがある。
画の裡 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)